10月2日に投開票された品川区長選挙では、立候補した6人がいずれも法定得票(有効投票総数の4分の1以上)に届かず再選挙となった(2022品川区長選挙の結果)。
5人で争うと見られていた再選挙に11月20日、6人目として石田慎吾氏が出馬。
- 石田慎氏出馬ヘ 元区議6人目(朝日記事)
- 石田慎吾氏プロフ:4期目を狙って49位(定員40人)で落選
- 石田慎吾氏の公約「羽田新ルートの見直し」
- 石田慎吾氏の過去の議会発言:曖昧なスタンス
- 雑感(なぜ、石田慎吾氏は再選挙に出馬したのか)
石田慎氏出馬ヘ 元区議6人目(朝日記事)
19年まで区議を3期務めた石田慎氏は、国民民主党に支援を求め、品川区長再選挙に出馬する。羽田新ルートの「見直し」を訴える方針。
品川区長再選挙 石田慎氏出馬ヘ 元区議6人目
(前略)石田氏は国会議員秘書を経て2007年に品川区議に初当選し、19年まで3期務めた。再選挙への立侯補について、「前回(10月の区長選)も立侯補を検討していたが、準備が整わなかった。再選挙で区民に新たな選択肢を示したい」と述べた。羽田新飛行ルートや区庁舎建て替え計画の見直しを訴える方針で、国民民主党に支援を求めていくという。
(朝日新聞 22年11月21日)
石田慎吾氏プロフ:4期目を狙って49位(定員40人)で落選
19年第1回定例会本会議(2月21日)より
石田慎吾氏(元区議3期、川合孝典参議院議員公設秘書、サンタモニカ大卒、43歳)
1期目の区議選(17年)は40人中2位で当選。ところが2期目32位、3期目38位とじり貧状態が続き、4期目を狙って49位(定員40人)で落選した(次図)。
1期目から3期目は民主党で出馬。4期目を狙って国民民主党公認(推薦人:松原仁衆議院議員)で落選。
石田慎吾氏の公約「羽田新ルートの見直し」
石田しんご氏のホームページを見ると、「7つのACTION」の2つ目に「羽田新ルートの見直し」が掲げられている。
さらに画面を下にスクロールしていくと、「上空を飛ばさない為に区として対策会議を設置し、具体策を示し解決を図る」としている。
・羽田新ルートについては見直しを!
上空を飛ばさない為に区として対策会議を設置し、具体策を示し解決を図る。
石田慎吾氏の過去の議会発言:曖昧なスタンス
品川区議会会議録で石田慎吾氏の羽田新ルートに係る発言を検索すると、3件ヒットする。
- 18年 第1回定例会(2月22日)民進党・無所属、代表質問
- 19年 第1回定例会(2月21日)国民民主党・無所属クラブ、代表質問
- 19年 予算特別委員会(3月7日)
石田慎吾氏の考え方が最もよく表されているのは、予算特別委員会(19年3月7日)での発言。
羽田新ルート問題に係る品川区民の意識調査の必要性を主張しているだけで、反対・賛成のスタンスは明確に示していない。
少々長いが、以下引用する。
(前略)今いろいろと、羽田新飛行ルートには、区民の方たちもさまざま関心を持たれている中で、やはり区民の方たちがどこまで理解しているのか、どこまで新ルートについて知っているのかというのを調査する必要があるのかと思っております。
例えば調査をして、実際にどのぐらいの意識を品川区民が持っているのかというものを調べてもらうというのは、国に対して、今後どうしていくべきかという話し合いをする中でも一定のソースになるのかと思っております。
(中略)
国が一定の地域の理解を得て、この事業は行っていくという発言をされているのであれば、これは品川区が調査をかけるのか、国に対してしっかり調査をかけるように働きかけるのか、二通りあると思いますが、まずはこれは国策ですから、国にしっかり品川区民に対して調査をかけるよう求めるべきだと思います。
その点について改めてお答えいただきたいと思います。それが無理なのであれば、私は品川区で独自に調査して、品川区民の意識調査をするべきだと思いますが、その点を改めてお聞かせください。
石田慎吾氏が上記のように、羽田新ルート問題に明確なスタンスを示していないのは、立憲民主党の「曖昧戦略」に縛られているからなのであろうか。
ちなみに、品川区議会においてはこれまで、羽田新ルートの反対・見直しに係る請願・陳情につき、自公だけでなく、立憲も度々賛成票ではなく、「不採択票」(≒却下)、「継続票」(≒棚ざらし)を投じている。
雑感(なぜ、石田慎吾氏は再選挙に出馬したのか)
朝日の記事によれば、「前回(10月の区長選)も立侯補を検討していたが、準備が整わなかった」という石田慎氏。羽田新飛行ルート見直しを訴える方針で、再選挙では国民民主党に支援を求めていくという。
なぜ、前回(10月の区長選)への準備が整わなかったのか。
石田慎氏(松原氏の元秘書)はこれまでの区議選で応援してもらった松原氏に恩義あったので、前回(10月の区長選)は松原氏が山本康行氏を個人推薦していたため、出馬しなかったのではないか。
では、なぜ、再選挙では出馬することにしたのか。考えられる理由は二つ。
筆者の推測を以下に示す(あくまでも筆者の勝手な推測)。
石田慎氏は、松原仁衆議院議員の秘書を経て2007年4月に品川区議会議員に初当選している。その後、2期目・3期目、民主党公認・国民民主党公認(いずれも松原議員の推薦)で当選。4期目を狙って49位(定員40人)で落選。
普通に考えれば、49位で落選するような人物が、たとえ国民民主から支援を受けられたとしても区長選で当選するとは考えにくい。
石田慎氏は現在、川合孝典参議院議員(国民民主、比例、3期)の公設秘書を務めている。
そこで一つ目に考えられる理由は、たとえ再選挙で落選しても来年4月に実施される区議選の宣伝も兼ねていると考えれば、本人にとっては失うものよりも得るもののほうが多いのではないかということ。18年区長選の西本貴子氏のように、区長選出馬による区議選へのブースト効果を得ることができる(次図)。
二つ目に考えられる理由は、石田慎氏が再選挙に出馬することで、区長選の候補者は前回同様6人となり、再々選挙になる可能性が高くなること。
再選挙は2週間の異議申し出期間の経過後、50日以内に行われることになっているので(公職選挙法第34条)、順調に進めば2月初に再々区長選となる。
もし、異議申し出があれば、再々選挙の時期を来年4月の統一地方選と合わせて実施されることになる。そうなると投票率が高くなる組織支援候補に不利に働くことと、再選挙の区長候補の何人かは区議選に回らざるを得なくなることになり、実質的に羽田新ルート見直し・反対派を一本化できて、山本候補当選の確度が高まる……と松原氏が考え石田慎氏の出馬を容認したとみるのは考え過ぎか(あくまでも筆者の勝手な推測)。
(再選挙の結果次第では、異議申し出という奇策が出てくるかも…)
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