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築20年超マンション購入検討者必読!『優良中古マンション 不都合な真実』

なぜ、古いマンションの給湯管(銅管)ピンホールによる漏水事故はあまり知られていないのか。

心ならずも漏水事故の当事者となってしまった著者。不都合な真実を社会に広く知らしめるために、関係者らへの精力的な取材を重ねた労作(途中で自らマンション管理組合の理事長にもなっている)。

築20年を超える中古マンションの購入を検討している人には強くおススメしたい1冊。

優良中古マンション 不都合な真実


もくじ

給湯管ピンホールによる漏水事故

マンションの漏水事故。

知らないうちに自分が階下への漏水被害への加害者になっていたら、きっとあたふたするに違いない。

まだ、給湯配管に銅管が使われていた時代の古いマンションでは、銅管が腐食し小さな穴(ピンホール)が開き、階下への漏水事故が発生することがあることはあまり知られていない。

2000年頃からは銅管から架橋ポリエチレン管への転換が進んだので、ピンホールによる漏水問題は解決されている。逆に言うと築20年超の中古マンションの検討をしている人は要注意ということになる。

※現在の新築マンションでは、給水・給湯配管とも架橋ポリエチレン管をさや管に通した「さや管ヘッダーシステム」が採用されている(次図)。

さや管ヘッダーシステム
さや管ヘッダーシステム|架橋ポリエチレン管工業会

本書を出版するに至った著者の動機

心ならずも突然漏水事故の加害者となってしまった著者。その悲惨な経験が世の中に共有されていないことが執筆の動機。

はじめに

(前略)30年かけてようやく住宅ローンを完済、購入当時は買い替えを想定していた我が家は終の棲家となり、その我が家が名実ともに自分のものになった矢先、心ならずも突然漏水事故の加害者となってしまいました。

かつて不動産の仕事に従事していましたし、法律と会計を主要執筆分野と位置づけている筆者にとって、不動産は現在の執筆分野の一つでもあります。にもかかわらず、マンションの漏水事故に関する知識も、マンションをとりまく諸制度や商慣習についても、まったく無知だったことを思い知らされました。

20年近く前から、多くの人が突然漏水事故の加害者となり、悲惨な思いをしてきたにもかかわらず、その経験は世の中に共有されず、新たに加害者となる人はまったく情報がない中で途方に暮れるということが繰り返されてきました。

記者を職業とする筆者に災いが降りかかったのは、いわば天命との思いで本書を執筆しました。マンションの漏水問題が社会問題として、一人でも多くの人に共有されることを願ってやみません。

(P1-2/はじめに)

悪だくみの構図

管理会社と設備工事会社が結託すれば、調査費、加害者宅、被害者宅の工事代すべてにおいて、暴利をむさぼることができるという構図。

加害者の神経を逆なでする示談書の「加害者」欄
(前略)管理組合、加害者、被害者のいずれもが何も言わないと、一連の手続きの登場人物は、管理会社、設備工事会社、保険会社、保険査定会社の4社だけとなり、管理会社と設備工事会社が結託すれば、調査費、加害者宅、被害者宅の工事代すべてにおいて、暴利をむさぼることができるのです。

加害者宅は狼狽えていますし、調査費と被害者宅の工事代金は当事者の負担はゼロなので厳しいチェックは基本、入りません。

唯一の歯止めは保険会社の査定のはずなのですが、業者がうまく見積書をつくれば、見積もりどおりに査定は下りてしまうのです。

(P176/第4章 マンション総合保険の裏側)

保険会社から支払われたお金が管理組合・被害者をスルーして設備工事会社に支払われている(次図)。

悪だくみの構図
伊藤歩 (著)「優良中古マンション 不都合な真実」P168-169図を元にマン点作成

「加害者負担ゼロ」の仕組み

加害者宅の修繕費を調査費と被害者宅の工事費に分けて上乗せし、その額で保険金を請求し、加害者の負担をゼロにするというやり方は、マンション管理会社のフロントマネージャーにとっての業界慣習であるという見立て。

「加害者負担ゼロ」はフロントマネージャーの常識?

(前略)漏水調査、加害者宅の修繕、被害者宅の復旧。この3つの工事をすべて、1社が受注した場合、業者としては3つの工事の代金の合計額を受け取れればよいわけで、3つの工事の代金の内訳がどうかはどうでもよくなります。

そこで、加害者宅の工事代金を、調査費と被害者宅の工事代金に分けて上乗せして見積書をつくり、その見積書が管理会社のフロントマネージャー、管理会社の保険代理店部門を通じて保険会社に渡り、難なく査定が下りてしまうのです。

この、加害者宅の修繕費を調査費と被害者宅の工事費に分けて上乗せし、その額で保険金を請求し、加害者の負担をゼロにするというやり方は、遅くとも2005年頃までに全国のマンションで当たり前に行なわれるようになった、マンション管理会社のフロントマネージャーにとっての業界慣習であることは間違いありません

(P190/第4章 マンション総合保険の裏側)

本書の構成

全5章、274ページ。参考文献付き。

  • 第1章 まさかの漏水事故が起きてしまった
  • 第2章 「水回り設備がダメになる」の謎
  • 第3章 「無保険マンション」「スラム化」を避けるために
  • 第4章 マンション総合保険の裏側
  • 第5章 マンションの資産価値を守る!

優良中古マンション 不都合な真実

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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