民泊絡みの事件といえばこれまで、違法民泊を運営している業者らの摘発が主であった。
- 16年9月 埼玉県:教師もすなる違法民泊
- 16年7月 台東区:一罰百戒?台東区で違法民泊の摘発
- 16年4月 大阪市:なぜ大阪府警は生野区の違法民泊を摘発したのか?
- 15年11月 京都市:京都府警が悪質な民泊を摘発!
- 14年5月 足立区:法令違反リスクを負うのはホスト!Airbnbではない
今回、違法民泊が犯罪の拠点に悪用されていたというのは初めての事件である。
これまでも、違法民泊が犯罪の温床になり得ることは指摘されていたのだが、遂に恐れていたことが顕在化したのである。
台湾人らが無許可民泊拠点に不正出金(共同通信)
台湾籍の男らが無許可民泊拠点に不正出金を繰り返していたという事件。
無許可民泊拠点に不正出金 偽造銀聯カードの台湾人ら
偽造された中国の「銀聯カード」で日本国内の現金自動預払機(ATM)から現金が引き出された事件で、警視庁組織犯罪対策特別捜査隊が逮捕した台湾籍の男らが無許可営業の民泊を拠点に引き出しを繰り返していたことが1日、捜査関係者への取材で分かった。
組特隊は、本人確認が徹底されない無許可民泊を犯罪グループが悪用したとみて調べている。(以下略)
(共同通信 5月1日)
起こるべくして起こった事件!?
今回の事件の拠点になった無許可民泊は、新宿区の賃貸マンションの一室とされている。
新宿区は、23区のなかでもダントツで民泊件数が多い(次図)。
だから、今回の事件も起こるべくして起こったといえなくもない。
しかも、最近では中国系の民泊物件が増えている(次図)。
「中国版Airbnb|自在客の登録件数が住百家を逆転 」より
新宿警察署生活安全課長の懸念が顕在化
「第1回 新宿区民泊問題対応検討会議(平成28年10月26日開催)」で、警視庁新宿警察署の生活安全課長は、「法整備ができていない状況で民泊施設ができてしまうと、犯罪の温床になることも懸念」というように、まるで今回の事件を想定していたかのような発言をしていた。
(前略)予防、防犯環境整備の観点から身分確認ももちろんだが、犯罪が起きにくい環境整備をしていくことが重要だと考える。
インターネットサイトの地図情報に基づき現地を調査しても建物自体がなかったり、離れた場所にあったりと施設の特定、把握が困難である。
法整備ができていない状況で民泊施設ができてしまうと、犯罪の温床になることも懸念される。(以下略)(検討会議|議事概要 P5)
新宿区は昨年10月、区民の安全・安心の確保を目的に「新宿区民泊問題対応検討会議」を立ち上げ、年度内に3回会議を重ねた。
「第4回検討会議(未定)」が開催されないまま、時間だけが過ぎていく。
新宿区の対応が急がれる。