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不動産情報ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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法令違反リスクを負うのはホスト!Airbnbではない

法令違反リスクを負うのはホストであってAirbnbではない。

 

実際に、2014年5月、木造3階建ての自宅の1~2階部分にある3室(24.9m2)を1泊1人2,500~5,000円程度で提供していた英国人男性(28)が旅館業法違反で逮捕、略式命令(罰金3万円)を受けている。

昨年5月には、東京都足立区の自宅など複数の物件で旅行者を泊めていた英国人男性が旅館業法違反(無許可営業)容疑で逮捕され、6月には東京簡裁から罰金3万円の略式命令を受けた。同区保健所によると、男性は自分の物件の紹介サイトを運営し、ホテルの予約サイトにも登録していた。保健所は10回ほど男性宅を訪ね、許可をとるよう求めたが、男性は従わなかったという。
(朝日新聞デジタル 2015年1月18日)

 

日本におけるAirbnbの法的問題について、整理しておいた。


もくじ

日本でAirbnbのホストとなることは違法か?

結論を先に言えば、繰り返し貸して、ある程度の収益を得ているAirbnbのホストは、「旅館業法」に抵触する可能性が高い

 

旅館業法第2条において、旅館業とは、「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」であることとされ、「宿泊」とは「寝具を使用して施設(ホテル、旅館等)を利用すること」とされている。

 

違法性を議論するうえでのポイントは、Airbnbのホストが提供している行為が「営業」に該当するか否かだ。

 

厚労省の資料(下図参照)によれば、「営業」に該当するか否かは、継続反復性にあるとされている。

f:id:flats:20150814102333j:plain

第25回提案募集検討専門部会(平成27年8月7日開催)資料4_旅館業に関する規制について(厚生労働省健康局) [PDF:227 KB]より

 

繰り返し貸して、ある程度の収益を得ているAirbnbのホストは、この「旅館業法」に抵触する可能性が高いと、多くの弁護士らが指摘している。

 

具体的に4人の弁護士のコメントを抜粋して紹介しよう。

旅館業法では、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」をホテルや旅館として規制対象にしていますが、個人が部屋を有料で提供する場合であっても、反復継続して行えば、旅館業法上のホテル営業や旅館営業に該当すると言わざるを得ません
旅館業に該当すると評価される以上、旅館業法で要求されている旅館業の営業許可が必要となります。無許可で行えば、無許可旅館営業罪として処罰対象となります
星野宏明弁護士 | storie 2015年8月10日)

 

「営業行為」とは、繰り返し貸していて、ある程度の収益を得ているのであれば、該当する可能性が高いです。この「営業行為」かどうかは、個別の事情を判断していくことになります。
よって、Airbnbのホストは、旅館業法に抵触する可能性があるのです。
中野秀俊弁護士 | IT企業のインターネット法務、法律に強い弁護士 2015年7月24日)

 

airbnbを使って空き部屋をゲストに貸す、という行為は旅館業法の営業許可がない限り、違法となる可能性が高いだろう。

高崎俊弁護士 | HARBOR BUSINESS Online 2015年7月23日)

 

平成26年5月、足立区内にある住宅を宿泊施設として営業している英国人男性が旅館業法違反の疑いで逮捕されましたが、不在時に自宅をAirbnbで貸し出す行為もこの事件と同様、旅館業法違反に問われる可能性はあるでしょう。

鈴木翔太弁護士 | シェアしたくなる法律相談所 2015年5月10日)

 

繰り返し貸して、ある程度の収益を得ているAirbnbのホストは、この「旅館業法」に抵触する可能性が高いことは確認できた。

では、Airbnbサービス自体の適法性はどうなのか?

Airbnbサービス自体の適法性は?

Airbnbのサービス自体が直ちに違法になるわけではないとする弁護士が多い。たとえば中野弁護士の次のコメント。

Airbnbのホストが、旅館業法に抵触可能性があるとして、ただちにサービス自体が違法になるわけではありません。なぜなら、直接家を貸し借りしているのは、利用者同士であり、Airbnbは、それを仲介しているに過ぎないからです。

中野秀俊弁護士 | IT企業のインターネット法務、法律に強い弁護士 2015年7月24日)

 

ただ、Airbnbの「旅館業法違反の幇助」にあたる可能性を指摘する弁護士はいる。

客観的行為としては「旅館業法違反の幇助」にあたる可能性がある。しかし、「幇助犯としての故意」が認められるか、そもそもairbnb内の誰について幇助犯の成立を考えるかは、また難しい問題だ。

(高崎俊弁護士 | HARBOR BUSINESS Online 2015年7月23日)

 

では、Airbnb自身は、Airbnbサービスの日本で適法性について、どのようなスタンスなのか?

Airbnbのスタンス

以下に抜粋する3つのAirbnbヘルプ文書を読むと、Airbnbは自らの適法性を確保し、シッカリと責任回避行動を取っていることが分かる。

法令違反リスクはホストに負わせているのだ。

 

次の文書からは、Airbnbが地元の法令確認と遵守義務をホストに負わせていることが分かる。

【Airbnbでホスティングを始める前に、法律や規制の面で気を付けるべきことは何ですか?】

(略)当面は、Airbnbにお部屋を掲載する前に地元の法令をご確認いただきますようお願いします。詳しくは「ホストの責任」ページの「お住まいの市町村の法令」の欄をご覧ください。
Airbnb利用規約に同意しリスティングを掲載することで、地方の法令を遵守することに同意したことになります
Airbnbでホスティングを始める前に、法律や規制の面で気を付けるべきことは何ですか? | Airbnbヘルプセンター

 

 

次の文書からは、Airbnbは法令の情報を提供している過ぎず、法令を正確に理解し遵守することはホストの役割であると、Airbnbが責任回避していることが分かる。

【お住まいの市町村の法令】

あなたがAirbnbのホストになるかを決める際、あなたの都市において適用される法律を理解することが重要です。以下に、あなたが最初に確認すべきリンクを記載します。この情報は法的助言ではなく、あなたが調査を行うための出発点に過ぎない点を、明確にご理解下さい

Airbnbは、記載しているリンク先について独自の検証を行っておりませんので、ウェブサイトやガイドが政府機関により提供されるものであっても、各自において正確性をご確認下さい。また、あなたに対して法的拘束力を有する他の契約や規則(賃貸借契約や建物の内規など)についても理解し、これを遵守することが重要です
ホストの責任 | Airbnbヘルプセンター

 

次の文書からは、ホストの物件の適法性について、「関連政府機関に直接問い合わせるか、弁護士を雇って法的助言を受けてください」と記すことで、Airbnbに責任が及ばないようになっていることが分かる。

役所に問い合わせたり、弁護士に相談するようなホストが、はたして何人いるのだろうか――。

【Japan】

あなたの調査の出発点として、以下の日本のリンク及び情報を記載します。

  • 都市計画法(区画の規制を規定した法律)
  • 旅館業法(ホストが許認可を取得しなければならない条件を規定した法律)
  • 厚生労働省による各種通知(旅館業法上の通知も含みます)

これらの法律やその他の法律が、あなたやあなたの物件にどのように適用されるのか質問がある場合は、関連政府機関に直接問い合わせるか、弁護士を雇って法的助言を受けて下さい
Japan | Airbnbヘルプセンター

 

Airbnbのホストの行為は、「旅館業法」に抵触する可能性が高いと、多くの弁護士らが指摘しているなかで、Airbnb自体はシッカリと責任回避行動を取っていることが確認できた。

 

では、Airbnbのような「民泊」に対して、役所のスタンスはどうなっているのか?

観光庁(国土交通省の外局)のスタンス

海外から多くの観光客を多く呼び込みたい立場の久保観光庁長官のコメントは、「様々な形の宿泊形態があって然るべきだ(略)いろんな観点や課題があるので、実務的に詰めた上で対応を進めないといけない」という、何ともつかみどころのない内容となっている。

  • Airbnbに代表されるようなネットを仲介した宿泊場所の確保というのは、特区制度の中で新たな形の民泊を認めるものと、旅館業違法によるものの両方があると思う。
  • 特区制度の方は、制度の形はできたが、現実にはまだ動き出してないということなので、今後、動かしていくにはどうしたら良いのかということと、Airbnbのような形のものについては旅館業法を所管している厚労省と実務的な相談をしているという段階にあると認識している。

 

民泊等が広がっていくべきだということか?という質問に対して)

  • 様々な形の宿泊形態があって然るべきだと思う。
  • 現在、いろんな観点や課題があるので、実務的に詰めた上で対応を進めないといけないと考えている。

久保長官会見要旨 2015年4月22日

 

では、民泊の管轄省庁である厚生労働省のスタンスはどうなっているのか?

厚労省の本音?

イベント開催時の旅館業法上の特例を「使ってほしくない」というのが厚労省の本音らしい。

【厚労省“丸投げ”に透ける「臭い物に蓋」】

(略)旅館業法に基づいて、旅館業に対して許可を出すのは地方自治体だ。違反があったときの注意喚起などは自治体の保健所が中心となって行われる。各自治体で条例なども違うため、「特に厚労省からガイドラインなどは示さない。自治体の判断で行ってもらう」(厚生労働省)

(略)

前出の自治体関係者はそう言い、こう続けた。「詳しい説明があるわけでもないし、無責任ですよ。一方的な連絡がきただけで、どうすりゃいいのという感じです。厚労省の本音としては、使ってほしくないのかもしれないですね」

Airbnbに規制緩和は追い風か? | 日経ビジネスオンライン 2015年7月16日)

 

まとめ

  • 繰り返し貸して、ある程度の収益を得ているAirbnbのホストは、「旅館業法」に抵触する可能性が高い。
  • Airbnbのサービス自体が直ちに違法になるわけではない。なぜなら、直接家を貸し借りしているのは、利用者同士であり、Airbnbは、それを仲介しているに過ぎないから。
  • Airbnbは自らの適法性を確保し、シッカリと責任回避行動を取っている。法令違反リスクはホストに負わせている。
  • 観光庁(国土交通省の外局)は、なんともつかみどころのないスタンス。
  • イベント開催時の旅館業法上の特例を「使ってほしくない」というのが厚労省の本音らしい。 

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2016年6月1日、このブログ開設から12周年を迎えました (^_^)/
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