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羽田新ルート|国交省の広告はマンション広告のごとし…

「今年に入って国交省が羽田新ルートの広告を全国紙に掲載している」という情報を読者から頂戴した。

元女子プロテニス選手の杉山愛を起用した読売の広告(2月28日)と、「今でしょ」でお馴染みの林修先生を起用した朝日の広告(7月20日)である。

これまでに国交省が全国紙に掲載した羽田新ルートの広告内容を整理してみた。


もくじ

国交省 3年連続全国紙に広告掲載

過去3年、国交省が全国紙に掲載した羽田新ルート関連の広告実績を次表に示す。

国交省は3年続けて、羽田新ルートの広告を全国紙に掲載していることが分かる。ただ、過去2年の広告と今年に入ってからの広告には明らかに変化が見られるのだ。

羽田新ルートに係る全国紙広告実績一覧
※上記以外にもあれば、情報をお寄せいただきたく。

16・17年の広告サイズ・内容は4紙共通だが…

16年広告:国交省にとって都合のいい内容

16年9月中旬、4紙に掲載された広告は、サイズ(全15段)だけでなく掲載内容も同じ(写真)。

↓ 朝日の例
16年広告:国交省にとって都合のいい内容
説明文章に目を凝らすと、「各地域で説明会を開催」「環境への影響に十分配慮」「分かりやすい悄報発信を引き続き」といった、国交省にとって都合のいい内容しか記されていないことが確認できる。羽田新ルート周辺の多くの住民が落下物・墜落事故の危険リスクや騒音などの影響を受けるなどの具体的な表現は見られない

飛行経路を見直し、
2020年に向け
国際線の増便を図ります。

(略)様々な方策を検討した結果、滑走路の運用・飛行経路を見直すことで、1日に約50便の増加が可能であると分かりました。この新しい飛行経路については、各地域で説明会を開催し、多くの方々のご意見を伺ってまいりました。その上で、頂いたご意見も踏まえ環境への影響に十分配慮しながら、2020年に向けて国際線増便を実現していきます。実現に向けた取り組みについて、より多くの皆様に分かりやすい悄報発信を引き続き行ってまいります。

17年広告:騒音問題への言及がない

17年10月下旬、4紙に掲載された広告も16年と同様、サイズ(全15段)だけでなく掲載内容も同じ(写真)。

特に、朝日の場合は、「ゆず新メンバー2018名募集」に目が行ってしまって、国交省の広告には気が付きにくい(笑)

↓ 朝日の例
10/27(金)朝日新聞
羽田新飛行ルート問題|国交省が新聞広告!」より

説明内容は、16年の広告と類似しているのだが、「落下物対策の検討状況に関する詳細な情報提供」というくだりが加わっている。

ただ、相変わらず「騒音問題」への言及がない。「環境影響に配慮」の「等」のなかに含まれているとでもいうのだろうか。

「羽田空港の機能強化」に向けた取組について最新の状況をお伝えします。

(略)様々な方策を検討した結果、羽田空港では、滑走路の運用・飛行経路を見直すこと等により、1日に約50便の増加が可能であると分かりました。この新しい飛行経路については、これまでに各地域で説明会を開催し、多くの方々のご意見を丁寧に伺いながら検討を重ねてまいりました。本年11月から開催する説明会においては、環境影響に配慮した方策の進捗に加え、新飛行経路や落下物対策の検討状況に関する詳細な情報提供を行ってまいります。皆様のご参加をお待ちしております。

18年の広告は掲載紙に偏り

18年の広告は、読売(2月28日)と朝日(7月20日)で観測されている。

杉山愛を起用した読売(2月28日)

読売新聞6面に18年2月28日(水)、加藤教授と杉山愛を起用した全面広告が掲載されている(写真)。

※他の3紙2月27日~3月1日を確認したが、同様の広告記事は見当たらなかった。

杉山愛を起用した読売(2月28日)
加藤教授
交通経済が専門の慶庶義塾大学・加藤一誠教授には、羽田増便の経済効果を語らせている。

※加藤教授は、羽田空港の機能強化の検討着手を決めた「交通政策審議会航空分科会基本政策部会」の委員のひとり。

国の試算では、いま計画している羽田空港の増便で、年間約6,503億円の経済波及効果があり、約4.7万人の雇用増加が期待できるとしている。羽田空港の増便か急がれるのは、そのためだ。

羽田新ルート周辺の不動産価値の棄損によるマイナス経済効果は、「年間約6,503億円」に含まれているのか?

↓含まれていない。

羽田空港機能強化による経済波及効果の試算結果 - 国土交通省

杉山愛

元テニスプレーヤーの杉山愛(42)には、羽田増便に寄せる期待を語らせている。

「杉山さんに続け」と、中学・高校の段階から世界に旅立つテニスプレーヤーは少なくない。そうした後輩たちの負担を減らすためにも、羽田空港の機能強化、増便に寄せる期待は大きい。
「日本からだと、どこに行くにしてもフライト時間が長くなりますから。都内のどこからもアクセスのよい羽田空港の増便は、選手の精神的、肉体的な負担減となりますし、地方に住む選手の利便性も高まるので、とてもありがたいです

羽田新ルート下の住民が受ける騒音などの被害には思い至らない……。

林修先生を起用した朝日(7月20日)

朝日新聞6面に18年7月20日(金)、林修先生を起用した全面広告が掲載されている(写真)。

※他の3紙7月19日~7月21日を確認したが、同様の広告記事は見当たらなかった。

林修先生を起用した広告(朝日 7月20日)

望月まりな(15歳、朝日新聞大学入試キャンペーンイメージキャラクター)とのやり取りで、林修先生に、「経済の活性化」「地方の活性化」「東京の魅力も大幅に上がります」といった羽田増便の効果を語らせている。

  • 国際線の主力である成田空港と、アクセスしやすい羽田空港の両輪で外国人観光客が来やすい態勢を整えることで、日本の経済の活性化が期待できます。もともと羽田空港は国際線が充実しているうえ、ここ数年で成田空港にも格安航空会社(LCC)が増えてきていることもあり、両空港のそれぞれの国内線ネットワークをいかして外国人が地方に行くこともできます。そうすれば地方の活性化にもつながります。ニューヨーク、ロンドンと同規模の航空機を受け入れることができるようになり、東京の魅力も大幅に上がります

望月

  • 1日10人の男性からプロポーズをされる日が来るかも!?

  • その前に英語を勉強しましょう。

落下物・墜落事故の危険リスクや騒音などの問題についてはどうなのか?

「環境への影響や安全性を確保するための対策」という抽象的な表現にとどまっている。両名のやり取りの中には、「落下物」という言葉も「騒音」という言葉も出てこない。

  • (略)2020年までには運用が開始される予定です。それに伴い、環境への影響や安全性を確保するための対策も検討されているようですよ。

国交省の広告はマンション広告のごとし…

国交省の新聞広告を整理していてあらためて分かったことは、国交省が主張したいことが記事の中心になっていることである。

言いたいことを強調し、知られたくないことにはできるだけ触れないという広告戦略。何かとよく似ていないか? そう、マンション広告と同じなのだ。

マンション広告を読む極意は、記載されていることではなく、記載されていないことに注視すること。国交省が発信する情報についても、書かれていない情報を読む力が求められる。

 

それにしても18年は、杉山愛の記事も林修先生の記事も、それぞれ1紙にしか掲載されていなかった。

読者層が異なる4紙に、同時期に同じ内容を掲載しないことは、丁寧に情報提供したことになるのか……。

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