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羽田新ルート|練馬区議会「19年第1回定例会」質疑応答

練馬区議会の「19年第1回定例会」本会議一般質問(2月5日、6日)で、羽田新ルートに関して、やくし辰哉議員(共産)やない克子議員(生活者ネットワーク)の質疑応答があった。

議会放映(録画)をもとに、テキスト化(約3千900文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※答弁は環境部長


やくし議員(共産)

やくし辰哉議員(共産)

やくし辰哉議員(共産、区議2期、東経大卒、30歳)

次に、羽田空港の機能強化問題についてです。
国交省は2020年に羽田空港の機能強化を名目とした、都心上空を飛行する新ルートの実施を計画しています。

品川では住宅密集地上空わずか300mを旅客機が飛行する計画で、騒音と排気ガス、落下物による影響が心配されており、昨年行われた区長選挙でも最大の争点となりました。
練馬区でも最低で900m上空を飛行することから、同様の影響が心配されており、新ルートの撤回を求めて、区民が署名や宣伝活動を行っております。

そもそも海上の飛行ルートの設定は、住民との合意でした。
航空機騒音は1960年代から問題となり、江戸川区は、区(国の間違い?)を相手取って裁判を起こし、1973年に当時の運輸省航空局長と区との間で、海上の飛行コースを設定するとの合意に至っています。
大田区や品川区でも住民、区議会あげての問題に広がり、1981年に区(国の間違い?)が進めていた羽田空港の拡張計画についても、当初の計画より沖合に展開する計画に変更され、飛行ルートの設定に際しても様々な確認が行われました。
ところが、区(国の間違い?)はこうした約束を事実上反故にして、新ルートの実施を進めています。

国交省は住民説明会を行っていますが、教室型(説明会)のように参加者が議論を共有できる形式でなく、パネル展示が主体であるオープンハウス(型説明会)が実施され、あくまで決まったことを伝えるだけの説明会になっている。住民合意に基づいて進める姿勢が見られません

新飛行ルートで心配されることは、落下物です。
国交省によれば、全国で確認されている部品落下は2009年から8年間で450件。しかもこれは国内の航空会社に限ったもので、海外の航空会社を含めればもっと多くなります。
国交省は機体のチェック体制も強化するとしていますが、完全に防ぐことは困難で、上空で付着した氷についてはそもそも機体のチェックでは防ぐことはできません。
やはり1番の対策は密集市街地の上を避けることです。

問1-1:旋回時(略)騒音が大きくなり、排気ガスも多くなる

騒音や排気ガスも心配されています。
練馬上空を通過する場合、飛行機は北から侵入して、旋回しながら南東に開くようになります。旋回時機体の揚力は弱まるため、エンジンを吹かなければなりません。そのため騒音が大きくなり、排気ガスも多くなることが予想されています。
区はこれでも「安全だ」と言えるのでしょうか。答弁を求めます。

問1-2:茨城空港などを活用すれば羽田増便は必要ない?

なぜ、いま羽田空港の機能強化なのか。
オリンピックの影響は一時的で、実際には国は企業が活動しやすい国とするために企業立地を促進しようとし、そのためにインフラ整備として羽田増便が狙われているのです。しかも、この間の規制緩和により航空会社は少しでも利益が上がる空港や時間帯での発着を希望して、空港競争が激化しています。

結局、機能強化はすべて企業の儲けのためではありませんか。儲けのために住民の安全・安心を犠牲にしていいとお考えですか。答弁を求めます。

しかし、こうしたやり方は東京の一極集中をさらに激しくするでしょう。すでに羽田と成田で全国の利用者数の約60%、総貨物量の約70%を占めており、機能強化による一極集中がさらに強化されることになります。

一方で、国内98か所の地方空港の多くは赤字経営となっており、2016年実績で中部国際空港や関西国際空港の運用実績は処理能力の7割という余裕があります。

さらに首都圏には茨城空港などもあります。もちろん住民合意は必要ですが、こうした空港を活用すれば無理した羽田空港増便を行う必要はありません答弁を求めます。

いまこそこの危険な新ルートの撤回を区として国に求めるべきです。お答えください。

問1-3:住民合意が得られなければ実施を強行しないよう国に求めるべき

また、これだけ大きな問題にもかかわらず、いまだ多くの区民がこうした問題があることすら知らされていません

区報などあらゆる媒体を使って繰り返し住民に周知するとともに、懸念されている問題、課題も周知すること、教室型説明会を開き、住民が議論を共有できる場を作ることなど、少なくとも住民合意が得られなければ実施を強行しないよう国に求めるべきです。
3点をお答えください

 

環境部長
環境部長

私から羽田空港の機能強化についてお答えします。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、安全を確保したうえでの羽田空港の機能強化は、東京の国際競争力を高めるとともに、多くの観光客の誘致、都民の利便性を向上するうえで必要なことであり、区は撤回を求める考えはありません

また、機能強化に伴う飛行経路の変更により、南風時の午後3時から7時の間の実質3時間程度、約3000から4500フィートの練馬区上空を飛行することになります。

このため航空機騒音や落下物等の問題が発生する懸念があり、区民の安全と安心のために、区はこれまでも国に対し、丁寧な情報提供と落下物対策の確実な実施や区民へのさらなる周知などを求めてきました。さらに区報やホームページで必要な情報提供を行っています。

答1-1:騒音低減に努める、大気汚染物質の影響は限定的

次に、練馬区上空で旋回する場合の騒音や排気ガスについてです。
国は「騒音については、低騒音機の導入促進や着陸経路の高度引き上げなどにより、低減に努める」としています。

排気ガスについては、航空機のエンジンには国際基準に基づく排出物規制が課せられており、国は「航空機から排出される大気汚染物質についてはその割合はごくわずかであり、影響は限定的である」としています。

答1-2:アクセスに優れた羽田空港の国際線の増便が必要

次に、首都圏の空港活用についてです。
首都圏周辺には茨城空港や静岡空港がありますが、国は「いずれも都心へのアクセスの改善が課題となっており、アクセスに優れた羽田空港の国際線の増便が必要である」としています。

答1-3:国の航空政策として、国の責任において進めるべき

次に、住民合意についてです。
国はできるだけ多くの方にご理解いただけるよう、羽田空港機能強化について、情報提供行う必要があると考え、これまで5段階、区内では延べ10回の住民説明会や新聞広告、折り込みチラシなどによる周知を行ってきました。さらに情報提供手法の1つとして、地域住民を対象とした教室型形式による地域説明会を始めたところです。

羽田空港の機能強化につきましては、国の航空政策として、国の責任において進めるべきものと考えております。
区といたしましては、引き続き国に対し様々な機会をとらえて、地域説明会の開催を含め、区民への丁寧な周知活動を要請してまいります。

やない議員(生活者ネット)

やない克子議員(生活者ネットワーク

やない克子議員(生活者ネット、区議2期、都立大泉北高校卒、56歳)

問2:(教室型説明会)開催を引き続き要望

最後に、羽田空港国際線増便に伴う都心上空超低空飛行新ルート計画について伺います。
1月12日、29日に区内でオープンハウス(型説明会)が開催されました。区が住民への丁寧な説明のために、教室型説明会の開催を継続して(国に)要望してきたことは私たちも承知していますが、いまだに開催されていません

最近になってようやく品川区、江戸川区、渋谷区、新宿区と、教室型(説明会)が開催され始めましたが、丁寧な対応とは言い難い状況と聞いています。
たとえば、初回の開催日のたった1週間前に区報で告知したり、参加者の地域を限定したり、的確に答えられる職員が来ていなかったりという課題が指摘されています。

練馬区での(教室型説明会)開催を引き続き要望するとともに、すでに実施した自治体での課題を把握し、改善した形で開催することを要望します。
区の考えをお聞かせください。

環境部長
環境部長

答2:地域説明会の開催を含め区民への丁寧な周知活動を要請

次に、羽田空港機能強化についてです。
区はこれまでも国に対して、説明会の開催や常設窓口の設置など、丁寧に説明するよう要請してきました

国はこれまで5段階、区内では延べ10回の住民説明会や新聞広告、折り込みチラシなどによる周知を行ってきました。さらに情報提供手法の1つとして、地域住民を対象とした教室型形式による地域説明会を始めたところです。

羽田空港の機能強化につきましては、国の航空政策として国の責任において進めるべきものと考えております。
区といたしましては、引き続き国に対し様々な機会をとらえて、地域説明会の開催を含め区民への丁寧な周知活動を要請してまいります。

雑感(コピペ答弁…問われる質問力)

コピペ答弁…問われる質問力

環境部長の答弁(国に要請、国の責任において・・・)は、他の区議会でも繰り返し聞かれたお決まりのフレーズ。

しかも、両議員への答弁(答1-3と答2)では、「これまで5段階、・・・区民への丁寧な周知活動を要請してまいります」(101文字)と完全なコピペである(答弁の日が異なるので、聴衆者はこの完コピに気づきにくい)。

答弁が一貫している部長を褒めるべきなのか、議員が舐められているのか。同じ答弁しか引き出せない議員の質問力が問われている。

教室型説明会の先にコマを進めよう

少なくとも4つの区(品川、江戸川、渋谷、新宿)ではすでに教室型説明会が実施・予定されている。したがって今後、練馬区で教室型説明会が実施されることは、公平性の観点から当然のこととして、たとえば「いつ開催される予定なのか?」とか「区と国交省はどのような手順で進めていて、いつまでに開催日が決定するのか?」というような質問に工夫を凝らす余地はなかったのか。

いずれにせよ、教室型説明会の実施は当然のこととして、その先の対応についてコマを進めるべき時期にきている。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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