国土交通省は2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田新ルートの運用を開始すべく、住民に「丁寧に情報提供」するとしている。
「丁寧に情報提供」の実績を重ねている国交省
具体的な手段として、「ニュースレター」「ホームページ」「新聞・雑誌」「情報発信拠点」「特設窓口」「住民説明会」を掲げている(次図)。
羽田空港の国際線増便に向けた取り組みの状況については、さまざまな手法を組み合わせ、丁寧に情報提供させていただくとともに、皆様のご質問やご懸念に丁寧にお答えしていきます。
ただ、これらの情報提供手段はいずれも、国交省の実績作りにこそなれ、住民の役に立っているとは言い難いことは、このブログで紹介してきた。
このほかにも、国交省は10月3日から3か月間、文化放送(ラジオ)で毎週水曜9時45分からの5分枠を使って、羽田空港の機能強化の取り組みを宣伝しているのだが、放送内容は羽田新ルートの影響を受ける多くの人たちに届いているのか(羽田新ルート|国交省が文化放送で情報提供)。
地下鉄「窓上ポスターの字は小さすぎて読めないっ!」
さらに最近は、電車のドア上部に設置した液晶ディスプレイで羽田新ルートの動画CMを流したり、窓上のポスターで宣伝したりしているのを見かけるようになった(写真)。
「窓上ポスターの字は小さすぎて読めないっ!」(渡辺謙風に)
近づいて読んでみると、「環境への影響をできる限り小さく」とか、「世界に類を見ない厳しい基準を策定」とか、都合のいいことしか書かれていないことが分かる。
2020年 羽田空港空 国際線増便の実現に向け、準備を進めていきます。
皆様からいただいたご意見を踏まえ、騒音と落下物への対策を徹底します。
- 騒音対策
環境への影響をできる限り小さくすべく、取り組みを実施します- 落下物対策
世界に類を見ない厳しい基準を策定し、対策を強化します
何人くらいがどの程度の騒音の影響を受けるのかとか、不動産価値下落のことなど、羽田新ルート推進にとって都合の悪いことは触れられていない。
ちなみに、ドア上部液晶ディスプレイ(東京メトロビジョン)の料金は、1週間15秒スポットで300万円(税別)。また、窓上ポスターの料金は、2週間・A枠・ワイドサイズの場合、銀座線で246万円(税別)、丸ノ内線で237万円(税別)となっている(いずれもメトロアドエージェンシー「料金表一覧」より)。
「丁寧な情報提供」の実績づくりのために、血税がムダに使われていないか……。