不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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『ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方』祥伝社新書

不動産プロデューサー牧野知弘氏の新著『ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方』祥伝社新書(2021/9/30)を読了。

コロナ禍がきっかけで、人々のライフスタイルは変化しつつある。住まい選びの新たな論点につき分かりやすく解説されているので、これからマンション選びを始める人にとって、本書を読んで損はないだろう。

朱書きは、筆者コメント。


もくじ

タワマンは住んで楽しいか?

一日中いて楽しくないタワマンはこれからの時代にどれほどの価値を持ち続けることができるのかという筆者の見解。

タワマンは住んで楽しいか?

(前略)価値があり続けるならば、毎日の生活に多少の不便があったとしても我慢して住み続ける選択もありえます。しかし今後オフィスの持つ価値が変わっていくということは、同時に通勤だけを「強み」にしていたタワマンの価値は維持できなくなる可能性があることを示しています。

(中略)何でもかんでもタワマンさえ買えばそれが資産形成、つまり金持ちになるための一里塚と考えるのは、もはや時代遅れです。金融商品でも言えることですが、投資というものはそんなに甘っちょろいものではありません。みんながやるから儲かるだろう、などと考える人はしょせんは投資の素人です。
 自分の買った物件を早く片付けたいために、投資のプロは何も知らずに、儲かりそうだなと思ってやってくる素人に売りつけて、はい、ゲームオーバーなのです。
 一日中いて楽しくないタワマンはこれからの時代にどれほどの価値を持ち続けることができるのか、今回のコロナ禍は大いに勉強になったはずです。

(P30-31/第1章 コロナ禍は、家のあり方をどう変えたのか)

 なんだかんだ言っても、タワマン人気は衰えを見せていない。

23区では18年以降は120棟・6万戸程度で推移している。このことから23区では当面、超高層マンションは120棟・6万戸程度の開発余地があると推定できるのではないか。

「発表年」以降の超高層マンションの開発余地(23区)
タワマンは今後どのくらい供給されるのか?」より

これから起こる首都圏大量相続

2024年末には団塊世代全員が後期高齢者となるため、団塊世代の相続が本格化する頃には、不動産マーケットには大量の売り圧力がかかる可能性が高いという筆者の見立て。

これから起こる首都圏大量相続

(前略)2022年からこの団塊世代が75歳の後期高齢者に仲間入りし、2024年末には全員が後期高齢者となります。首都圏には団塊世代のおよそ4分の1が住んでいるといわれます。この世代の相続が本格化する頃には、不動産マーケットには大量の売り圧力がかかる可能性が高いのです。
 働き方が変化して、オフィスというしがらみから離れて、自らの時間割で好きな場所で好きな仕事を選んで働くようになれば、家選びの基準は変わってきます。その中で、首都圏では家の売り物件が大量に出回る姿が容易に想像されます。
 世田谷区の瀟洒な戸建て住宅が驚くような安さでマーケットに出回る時は、もうそこまで来ているのです。この四半世紀では、若い人たちを中心に家を持つことの必要性をまったく感じなくなるようになるかもしれません。だって、家なんてそこいらじゅうにいくらでもあるし、自分の好きな時、必要な時にちょっと借りてればいいじゃない。そんな感覚になっているかもしれません。(以下略)

(P55-56/第2章 時代とともに変容してきた「家選び」の基準)

※今後の中古マンションの成約件数を年間1.6万件と想定すると、団塊世代放出中古マンションが中古マンション市場に与えるインパクトは25%との試算結果(マン点調査)。

中古マンション市場へのインパクト
団塊世代から放出される中古マンション今後10年間で10万戸、市場へのインパクト(試算)」より

新築にこだわることは時代遅れ

新築マンション神話はとっくに崩れ去っているという。

新築にこだわることは時代遅れ

(前略)新築マンションを崇め奉った時代は終わっています。無理に背伸びして新築物件の匂いを嗅ぎに行かなくても、立地を吟味して、自分のライフスタイルにあった物件を地道に探るのがこれからのマンション選びです。私たちプロから見ても、中古マンションは新築よりも良い立地にある物件が多く、ネットなどを活用すれば、ほしいマンションの情報はいくらでも手に入れることができる時代です。
 新築マンション神話はとっくに崩れ去っているのです。

(P67-68/第3章 令和時代の新・マンションの買い方、選び方)

※首都圏全体では、5年連続で中古マンションの成約戸数が新築マンションの発売戸数を上回った。特に、19年以降は新築の落ち込みが目立つ(次図)。

首都圏マンション戸数推移(新築vs中古)

新築vs中古!過去15年間の「首都圏マンション市場動向」を可視化」より

本書の構成

6章構成。全223頁。

  • 第1章 コロナ禍は、家のあり方をどう変えたのか
  • 第2章 時代とともに変容してきた「家選び」の基準
  • 第3章 令和時代の新・マンションの買い方、選び方
  • 第4章 令和時代の新・戸建て住宅の買い方、選び方
  • 第5章 これからの世の中で家は資産となるか
  • 第6章 住む場所にこだわる―おすすめの街選び

ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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