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羽田新ルート|大田区議会「21年第3回定例会」決算特別委員会(質疑応答)

大田区議会の「21年第3回定例会」決算特別委員会(10月6日)で、羽田新ルートに関して、渡司 幸 議員(自民)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約3千400文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※答弁は、空港まちづくり課長


騒音影響等について

渡司 幸 議員(自民)
渡司 幸 議員(自民党、区議2期、放送大学卒、59歳)

渡司:騒音影響等についての区の見解?

羽田空港の機能強化について伺います。

現在国が進めている新飛行経路運用による羽田空港の機能強化の必要性については、理解をしているところです。そして、従来より騒音対策や落下物等の安全対策については、万全を期すると共に、地域に対してしっかりと情報提供を行っていくことが重要であると考えてまいりました。


国は新飛行経路の運用に向けて、これまで6度 にわたる住民説明会を開催するとともに、低騒音機の導入促進など、騒音影響の軽減等に向けた環境影響等に配慮した方策や落下物防止対策基準の制定など、様々な対策を実施してまいりました。


そして、令和2年3月29日から新飛行経路の運用が開始され約1年半が経過いたしました。コロナ禍で航空機の運航率が非常に低い状況ではございますが、この間の運用実績に対する騒音影響等についての区の見解をお聞かせください

空港まちづくり課長
空港まちづくり課長

課長:顕著な減便下の数値

国は飛行経路の運用に際して19箇所に騒音測定局を設置し、常時騒音測定を実施するとともに、運航便数や騒音測定結果などの情報を定期的に公表してきました。

その中で大田区内では、大森第五小学校および羽田小学校において、騒音モニタリングが実施されてきましたが、いずれの測定局においても、実測値の平均値について国が住民説明会等で示してきた推計平均値を上回る月は少なく、事前の想定を大きく上回る結果ではございませんでした。

これは新型コロナウイルス感染症の影響に伴う顕著な減便下の数値であり、航空会社が使用する航空機を小型化している状況下での騒音値の実績であると受け止めております。

そのため今後も復便がされていく中で、国において設置している騒音測定局のデータも含め騒音状況を注視するとともに、引き続き国の責任における徹底した検証、評価、分析および実情に応じた騒音軽減策などの実施を求めてまいります。

ゴーアラウンドについて

渡司:区内市街地上空を通過するゴーアラウンドについて?

はい、ありがとうございます。

区の職員の皆様も、地域の方と同じように同じ気持ちで騒音影響について心配をし、知恵を絞って頂きながら、国との協議を重ねていただいているというふうに感じております。

その中でも特に、大田区への騒音影響が大きいB滑走路から西向き離陸に関して、当面の減便を踏まえた暫定的な対応であるとは聞いておりますが、比較的騒音影響の大きい B777型機を可能な限りA滑走路からの離陸に振り替えることにより騒音軽減を図っていただいていることは有効な対策であり、これは区が国に対して粘り強く要望を重ねてきた成果の一つであると思い評価をいたします。

しかしながら、今後の復便の状況によっては暫定運用ができなくなることが想定されますので、引き続き航空機の復便状況や騒音モニタリング等に注視するとともに、フル運用に備え、国との協議を継続していただきたいと思います。


また、新飛行経路の運用における騒音ばかりが注目されておりますが、空港に隣接している羽田地区では、従来の滑走路運用におけるゴーアラウンドによる騒音にも悩まされてまいりました。この区内市街地上空を通過するゴーアラウンドについて、改めまして区の考えをお聞かせください

課長:大変重要な課題である

ゴーアラウンドとは、航空機が着陸進入する際、悪天候や高度不良、管制塔の指示など、危険回避のために一旦着陸を断念し、再上昇してから着陸をやり直すことです。


羽田空港には4本の滑走路があり、風向きなどにより運用される滑走路はその都度異なりますが、北風運用時のA滑走路北向き着陸や、南風運用時のB滑走路西向き着陸時におけるゴーアラウンドについては、区内市街地上空を通過する場合があり、その際、騒音影響が生じているものでございます。

区としましては、これまでも大変重要な課題であると捉え、区に影響があるゴーアラウンドが発生した場合には国からの報告を求めており、羽田空港対策特別委員会において毎回ご報告させて頂いております

渡司: ゴーアラウンドの理由別での発生割合?

ありがとうございます。区内市街地の上空通過に伴う騒音については、私の所にも地域の方からご意見を頂戴することがございます。

もちろんゴーアラウンドについては安全が第一であり、気象や自然等どうしてもやむを得ないものに関しては理解するところでございますが、報告されている理由の中には人為的な要因で発生しているものが散見されます。

そこで伺います。ゴーアラウンドの理由別での発生割合について教えてください

課長:気象・自然的な理由約46%、人為的・物理的な理由約45%

気象や自然等のやむを得ない理由については、ウィンドシア(windshear:局地的に風向や風速が急激に変化する現象)、横風や背風、気象の乱れにより進入が不安定、バードストライクによる滑走路閉鎖などがございます。

一方、人為的もしくは物理的な理由については、飛行経路からの逸脱、着陸準備が整わなかった、他の到着機との管制間隔、機材・計器トラブル、トーイング機などの滑走路離脱遅れ、オイルリークや部品紛失報告による滑走路閉鎖などがございます。

また、羽田空港対策特別委員会で報告している令和2年のゴーアラウンドの理由別割合を確認したところ、気象や自然的な理由は約46%、人為的もしくは物理的な理由は約45%、その他は9%でした

渡司:シールやデカール類を捜査するために滑走路閉鎖、見直すことができない?

ゴーアラウンド理由の中で、人為的な部分に関しては色々と改善できる点があるのではないかというふうに考えます。

特に、部品欠落報告時に滑走路臨時点検のためのゴーアラウンドをしているケースについて、特別委員会の中でも多く報告されている印象がございます。

国が公表している部品欠落の状況を見てみますと、部品別割合で一番多いのがスクリュー・リベット類で約50%、2番目に多いのがシール・デカール類で約30%でございました。重量別割合では、10グラム未満が全体の80%とされております。

どこで紛失したか分からないシールやデカール類を捜査するために滑走路閉鎖が行われ、そのタイミングで着陸姿勢に入っていた航空機がゴーアラウンドしている例がございます。その結果として区内市街地に大きな騒音影響を与えていることから、もちろん安全性をしっかりと照査した上での話になりますが、この運用について見直すことができないものでしょうか。答えください。 

課長:委員から頂いたお話、地域域からの強い要望と受け止め

区としましては、羽田空港の機能強化に伴う新飛行経路の運用に対する要望と合わせ、従来の滑走路運用における騒音影響の軽減についても国に提議してきたところでございます。

中でも委員お話の通り、人為的な要因などによるゴーアラウンドの減少については、航空会社などと連携しながら、騒音軽減措置を講じていただきたい旨、要望してきたところでございます。これを受け現在国では、部品の欠落を理由とした臨時の滑走路点検のタイミングを工夫するなどにより、ゴーアラウンドを減らせないかの検討を進めていると聞いてございます。

その他、着陸後の迅速な滑走路からの離脱を徹底するために、国が発行する航空機運用の出版物である「航空路誌」に記載するとともに、適切な運用が行われていない航空会社には個別に指導を行うなど、ゴーアラウンドの減少に向けて取り組んでいると聞いてございます。

この度の委員から頂いたお話につきましては、地域域からの強い要望と受け止めまして、ゴーアラウンドの減少に向けた検討、取り組みを進めるように、改めて国に要望してまいります

渡司:空港関係者の方が多く、「飛行機はうるさい、危ない」という一方的な立場ではなく

どうぞよろしくお願いいたします。引き続きゴーアラウンドの減少に向けた検討、取り組みを国に要望していただけるということですので、期待をしております。


羽田の街の人にとっては「今日はやけにうるさいね」などと空を見上げたり、孫を抱いて「ほら、飛行機だよ。大きいね」などと空港のある暮らしが当たり前となっております。

空港で働く人、空港に物を納めている人、航空会社と契約しているハイヤーやタクシーの運転手さんなど、近所にも空港関係者の方が多く、簡単に「飛行機はうるさい、危ない」という一方的な立場ではなく、街の人の生活環境への影響を最小限に止めるよう、今後も緊張感をもって継続して取り組んで頂けますことお願いしたいと思います。

雑感

自民だけが羽田新ルート問題を取り上げたのは珍しい

これまで大田区議会定例会本会議の一般質問で羽田新ルート問題を取り上げた区議は少ないし限られていた。20年第2回定例会(6月12日)で大竹辰治 議員(共産)が取り上げて以降、1人も取り上げていない(次表)。

羽田新ルートに係る定例会本会議一般質問(実績)

 

このように大田区議会では羽田新ルート問題への区議の関心が低いことから、委員会まではチェックしていなかったのだが今回、決算特別委員会をチェックしてみて、共産議員が取り上げていないなかで、自民の議員が取り上げていたのに気が付いたので、文字起こしした次第。

自民だけが羽田新ルート問題を取り上げたのは珍しい。衆議院議員選挙(投票日10月31日)の東京3区(大田3区)で松原仁氏(立民、当選)と石原宏高氏(自民、落選⇒比例復活)が接戦を繰り広げていたことと関係があったのだろうか……。

渡司議員の質疑、気になった2点

一問一答形式の質疑応答なのに、なぜ”原稿棒読み大会”が可能なのか、とっても不可解である。

それはさておき、渡司議員(自民)の質疑で気になったのは次の2点。

1点目は、大田区内の市街地上空を通過するゴーアラウンド問題に絞って質疑をしていること。たしかに人為的・物理的なゴーアラウンドは削減可能かもしれないが、そもそものゴーアラウンドの発生頻度は高いわけではない

大田区議会のホームページに、羽田空港対策特別委員会の配布資料として、定例会の都度、公開されている東京国際空港におけるゴーアラウンド実績データを可視化したのが次図。

ゴーアラウンドした航空機が大田区内を通過するのは、B滑走路西向き着陸では最も多かった19年8月で日平均1.5回だが、他の月では年間を通してみると日平均0.0~0.5回程度。また、A滑走路北向き着陸では最も多かった19年9月で日平均0.8回だが、他の月では年間を通してみると日平均0.0~0.5回程度。

羽田空港におけるゴーアラウンド実績

 

では、頻度の少ないゴーアラウンドではなく、羽田新ルートそのものを止めるのかといえばそうではない。自民は羽田新ルートを推進する立場だから、そのようなことは決して口にしてはならない。

そこで2点目。

渡司議員の質疑は、羽田新ルートによる騒音・落下物の影響を受け入れることが前提になっていること。羽田空港は多くの住民にとって食い扶持になっているので、文句をいうなということなのかもしれない

議員の次の締めくくりがそのことをよく表している。

空港で働く人、空港に物を納めている人、航空会社と契約しているハイヤーやタクシーの運転手さんなど、近所にも空港関係者の方が多く、簡単に「飛行機はうるさい、危ない」という一方的な立場ではなく、街の人の生活環境への影響を最小限に止めるよう、今後も緊張感をもって継続して取り組んで頂けますことお願いしたいと思います。

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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