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タワマンの供給は続くのか、それとも飽和か――首都圏で残された開発余地を読む

近年、東京湾岸を中心に超高層マンション、いわゆる「タワマン」が相次いで供給されてきた。湾岸に林立するガラス張りの巨塔群は、都市の風景を一変させた。その勢いは今後も続くのか。あるいは、そろそろ天井に近づきつつあるのか。

今回は、単なる「タワマン」ではなく、もう少し広義の20階建て以上の超高層マンションを対象とし、今後の開発余地を推定する。

※初出:2021年5月19日/更新:2025年5月23日(5月22日公表データを反映)


もくじ

首都圏のタワマン開発実績:989棟・29.5万戸

まずは実績から確認しておこう。

不動産経済研究所が毎年発表する「超高層マンション市場動向」のデータを基に集計すると、これまで首都圏で供給された超高層マンションは累計989棟・294,816戸(賃貸を含む)に達する。

07年には過去最多となる74棟・23,868戸が完成したが、それ以降は供給が減少。25年まではおおむね年間1万戸を下回る水準が続くと見られていたが、26年には再び2万戸近い供給が予定されている(次図)。

超高層マンション完成・計画戸数(首都圏)

全国の地域別計画戸数:23区が独走

次に、25年以降に完成予定の超高層マンションを地域別に見てみると、東京23区が圧倒的な存在感を示している。政令市や地方都市も一定数を見込むが、開発の主役は依然として23区内にある(次図)。

超高層マンション 地域別計画戸数 (2025年以降完成予定)

タワマンの開発余地はあるのか?

問題はここからである。すでに都心部は開発し尽くされたという見方もある一方で、まだまだ供給は続くという声も根強い。

確かに、都心で大規模な用地を確保することは年々困難になっている。しかし、価格が高騰しても購入者が現れるかぎり、供給のモチベーションは維持される。これは、石油価格が上昇すれば採掘可能量が増えるのと構造が似ている。

 

では実際に、どの程度の開発余地が残されているのか。不動産経済研究所のデータをもとに、推定を試みる。

首都圏:開発余地は約7万戸(推定)

次のグラフは、発表年を横軸に、その年以降の完成予定棟数・戸数を縦軸にとったものである。

首都圏では、2017年から2024年にかけての発表ベースで、約8万戸前後の供給が見込まれていた。しかし、2025年には7.2万戸に減少。これを踏まえると、今後しばらくは7万戸程度の開発余地が存在すると見るのが妥当ではないか。

「発表年」以降の超高層マンションの開発予定(首都圏)

東京23区:開発余地は約5万戸(推定)

同様の手法で23区のデータを確認してみよう。

2018年から2023年にかけては、6万戸前後で推移。しかし24年には5.5万戸、25年には4.9万戸と減少傾向が鮮明になってきた。このペースが続くと仮定すれば、23区における今後の開発余地は5万戸前後と見るのが現実的ではないか。

「発表年」以降の超高層マンションの開発予定(23区)

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