不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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『なぜ東急沿線に住みたがるのか』交通新聞社新書

約40年東急線沿線に住み続ける北海道出身のフリーライター永江朗氏の新著『なぜ東急沿線に住みたがるのか』交通新聞社新書(2022/8/19)を読了。
東急線沿線でマンション選びをされている方にはおススメ。

朱書きは、筆者メモ。

もくじ

蛍光灯を使っている部屋が多いようなら、その物件はやめたほうがいい

マンション選びの核心を捉えた建築家の宮脇檀氏(1936~1998)の物言い。

代官山

建築家の宮脇檀さんが代官山のマンションに住んでいた。何度かおじやまして取材した。マンションは以前の東横線から見えるところにあった。


宮脇さんの話はけっこう過激だった。たとえば、「都心に住みなさい」。美味しくて雰囲気のいい店は都心にある、都心で食事をしてお酒を飲んで、遠く離れた郊外まで帰るのは億劫だろう?


郊外に住んでいたんじや、女の子とデートもできやしない。だから都心に住みなさい。宮脇さんのいう「都心」というのは、東京23区内ぐらいの感じだったと思う。「集合住宅を借りる、あるいは購入するなら、夜、その物件を外から見なさい」ともいっていた。蛍光灯を使っている部屋が多いようなら、その物件はやめたほうがいい、と宮脇さんはいった。理由は「民度が低いから」。照明の質に無頓着で、隅々まで明るく照らせばいいと思っている人は教養がない。そういう人が多く住む物件はやがてスラム化するだろう、なんて。こうして文字にすると嫌味で鼻持ちならないのだけど、宮脇さんがユーモラスに語ると「ふむふむ」と頷いてしまう。(以下略)

(P83-84/第2章 東急線と東急線の駅のこと)

※松濤1丁目(約71~73dB)、広尾4丁目(約71dB)、代官山町(約74dB)といった高級住宅街も、羽田新ルートの騒音の影響を受ける。
羽田新ルート|飛行騒音の影響(23区高級住宅街)

狭小敷地の戸建て住宅も少なくない田園調布

30年前の田園調布での思い出話。

田園調布

(前略)3丁目以外の田園調布には集合住宅もけっこうあるし、狭小敷地の戸建て住宅も少なくない。そういえば30年ぐらい前に定期借地権による集合住宅が話題になったことがある。そのとき環八沿いに建つ田園調布のマンションを取材した。

デベロツパーの広報担当者に「田園調布でこの値段は破格ですね」と勢い込んで聞くと、相手は意外に醒めていて、「あくまで定期借地ですから、こんなもんですよ」といっていて拍子抜けしたのを覚えている。「おトクですよ、買いませんか」といわれるんじやないかと思ったのに。いまもそのマンションの前を通ると思い出す。

(P97-98/第2章 東急線と東急線の駅のこと)

※所在地が田園調布でないのに、マンション名に「田園調布」を謳うマンションもチラホラ(次図)。

マンション名に「田園調布」が含まれる物件の分布図
高級住宅地周辺(田園調布、広尾、成城)、同地名にあやかる物件は少ない!?」より

「買い物の街」から「住む街」に変わった武蔵小山

著者の生活体験を踏まえた武蔵小山の変貌ぶりが描かれている。

武蔵小山

武蔵小山駅周辺は「買い物の街」から「住む街」に変わった。大岡山に住んでいた20代のころ、よく武蔵小山で買い物をした。駅前から中原街道まで続く長いアーケードには安売り洋服店がたくさんあった。20代のころの服はほとんどこのパルム商店街で買っていたんじやないかと思うほど。百貨店に勤めていたのに、百貨店のなかにはぼくの給料で買える服はほとんどなかった。


「住む街」に変わったのはタワーマンションができたから。あるとき東横線に乗っていて学芸大学あたりから遠くを眺めると高いビルが見えた。あれはなんだろうと考えて、武蔵小山にタワマンができたと誰かがいっていたのを思い出した。タワマンの登場に気づかなかったのは不動前から洗足まで目黒線が地下に潜ったからだ。武蔵小山駅も地下になった。久しぶりに武蔵小山駅前に立って見上げたときは、違う街に来たんじやないかと思ったほどだ。パルム商店街に入ると昔と変わらぬ風情。ただし、個人商店が減ってチェーン店が増えたのは他の街と同様。(以下略)

(P122-123/第2章 東急線と東急線の駅のこと)

※住みたい街(駅)ランキング上位100駅【関東編】のひとつが武蔵小山駅。同駅は想定浸水深「範囲外又は未整備」76駅に含まれている。

想定浸水深の調査結果(人気100駅)「範囲外又は未整備」76駅
住みたい街(駅)ランキング上位100駅の水害リスク【関東編】」より

本書の構成

全3章、183頁。

  • 第1章 ぼくの東急沿線小史
  • 第2章 東急線と東急線の駅のこと
  • 終章 田園都市構想とほどよい距離感


なぜ東急沿線に住みたがるのか

あわせて読みたい(本の紹介)

2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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