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羽田新ルート|間違いではないが不適切!「ニュースレター第16号(2022年冬)」

国交省は12月23日、「ニュースレター第16号(2022年冬)」を発行。

羽田新ルート問題に詳しくない人が読むと、安心感が得られる内容となっているのだが……。

※投稿22年12月25日(追記22年12月26日)


もくじ

「ニュースレター第16号(2022年冬)」発行

国交省は12月23日に「ニュースレター第16号(2022年冬)」を発行。

国交省が運営しているサイト「羽田空港のこれから」に掲載された「ニュースレター」のリンクを辿っていくと、白黒8枚のPDF(4.62MB)「ニュースレター第16号(2022年冬)」が開く(次図)。

ニュースレター第16号(2022年冬)

ウェブ上の公開資料であるにも係わらず、なぜカラーではなくわざわざ視認性の低い白黒を採用しているのかという、読者視点のない国交省のお役所ぶりはさておき、気になる点を2点以下に指摘しておこう。

間違いではないが不適切

6枚目に掲載された「部品欠落に関する情報」のページ。

羽田新ルート問題に詳しくない人が読むと、安心感が得られる内容となっている(次図)。

航空機の落下物対策と部品欠落に関する 情報についてお知らせします

■ 落下物防止対策

新飛行経路において確認された落下物は0件です。2018年3月にとりまとめた「落下物対策総合パッケージ」に基づき、関係者(国・メーカー・航空会社等)が一丸となって対策を実施しています。
2022年11月末時点。地上(空港内で発見されたものを除く)で、部品または氷塊が発見された場合には「落下物」としています

■ 部品欠落報告

部品欠落の報告制度により、国際線が多く就航する空港において2021年度に報告された欠落部品の総計は1,064個でした。
そのほとんどは100g未満で、8割以上は10g未満でした。

減便が発生していた当該期間においても、駐機中の機体を含めて徹底的な点検等が実施されています。
到着後の点検において航空機の部品がなくなっていることが確認されたもの。

「落下物は0件です」

「落下物は0件」が謳われているが、小さな注釈文字に目を凝らすと次のように記されている。

「地上(空港内で発見されたものを除く)で、部品または氷塊が発見された場合には「落下物」としています」

ぼーっとして読んだだけでは理解できない。要するに地上で発見されたものでなければ、「落下物」とは認定しないことになっているのだ。

着陸後の機体検査でいくら部品が欠落しても、地上で発見されない限り「落下物0件」という建付けなのである。

国交省はこのような戯けたルールを作ったものだから、22年3月14日に渋谷区内のテニスコート内に空から氷塊が落下しても、航空機由来のものだとは認めず、調査も早々に打ち切ってしまった。

渋谷区内のテニスコートに氷塊落下
羽田新ルート|氷塊、渋谷区内のテニスコートに落下!?」より

部品欠落「そのほとんどは100g未満」

また、部品欠落にしても、「そのほとんどは100g未満」というように、落下物リスクの矮小化に力を注いでいる

部品欠落の報告制度により、国際線が多く就航する空港において2021年度に報告された欠落部品の総計は1,064個でした。
そのほとんどは100g未満で、8割以上は10g未満でした。

成田空港内で22年2月11日、上海から飛来した貨物専用機ボーイング747-8F型から重さ約60kgのフラップカバーが落下し、滑走路を越えた空港保安用道路で発見されたこと(次図)については全く触れられていない

この約60kgのフラップカバーが発見されたのは、成田空港内だったので、「空港内で発見されたものを除く」という「落下物除外ルール」によって、「落下物」としては認定されていない。

国交省が設定したルールに対しては間違いではないが、社会常識に照らし合わせてみれば不適切ではないか。

成田空港で重さ60キロ部品落下
毎日新聞「成田空港で重さ60キロ部品落下 取り付け部分や金具の破損判明」22年3月16日記事に掲載されたイメージ図をもとに筆者作成

【追記】「落下物」の定義、どのようにして決められたのか

※追記22年12月26日

着陸後の機体検査でいくら部品が欠落しても、地上で発見されない限り「落下物0件」となるようなルールは、いつどのようなかたちで決められたのか。

調査結果を以下に記す。

落下物防止等に係る総合対策推進会議(第1回)」(17年11月6日開催)で配布された資料2「最近の落下物・部品脱落の状況と対策の現状について」P3に「落下物と部品脱落の関係について」次の図が掲載されている。

落下物と部品脱落の関係について
拡大

上図のような整理はどのようにして決められたのか。

2018年3月に「落下物対策総合パッケージ」が策定される過程で、落下物の未然防止に活かすために2017年11月、国際線が多く就航する空港について、外国航空会社も含めた全ての航空会社から航空機の部品欠落情報が報告されるよう、部品欠落報告制度が拡充されたことで決められたようだ。

拡充された部品欠落報告制度の詳細は不明だが、長妻衆院議員が20年10月2日に国交省に照会し、国交省航空局首都圏航空課が20年10月29日に回答した文書「20年10月2日付ご質問事項への回答」に「落下物」の定義がズバリ記されている。

国交省航空局首都圏航空課が20年10月29日に回答した文書
「20年10月2日付ご質問事項への回答」(PDF:2.6MB

(長妻議員)

国交省の定義として「落下物」と「消失した部品」はどのように異なるのか。

(国交省回答)

国土交通省においては、航空機からの物体の落下を目撃した旨や航空機から落下したと疑われる物体を発見した旨の通報等を受けた場合(当該物体が空港内で発見等された場合を除く。)に、同省の職員による現地調査等を踏まえ、当該物体が航空機からの落下物であるかどうかの判断を行っており、この制度により航空機からの落下物であると認定された物体を[落下物]と定義している。

一方、空港到着後等の点検において、航空機の部品が無くなっていることが確認された場合については、「部品欠落」と定義している。なお、「落下物」として認定された物体は「部品欠落」の集計からは除外している。

以上のように、[落下物]の定義は、2017年11月に拡充された「部品欠落報告制度」において設定されたと考えられる。

地上で発見され、国交省の職員による現地調査等を踏まえ、航空機からの落下であると判断(誰が判断?)されたものだけが「落下物」と認定される仕組みが出来上がったのである。

「落下物対策総合パッケージ」を喧伝する一方で、落下物の発生件数を少なく見せる仕組みをシッカリ構築している国交省。

中国で新型コロナ規制緩和後、公式統計上「死者数ゼロ」が続いていることを、我々は笑ってられるのだろうか……。

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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