不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンション管理会社、総合管理受託戸数ランキング2022

「マンションは管理を買え」と言われるわりには、マンション管理会社の実態は、ほとんど知られていないのではないか。

業界紙「マンション管理新聞」は毎年5月、「総合管理受託戸数ランキング」を掲載している。過去記事もひも解き、マンション管理会社の実態を可視化してみた。


もくじ

マンション総合管理受託戸数ランキング

「マンション管理新聞」22年5月25日号には、534社が管理している2022年3月末現在の「組合数」「棟数」「戸数」が掲載されている。


(マンション管理新聞 22年5月25日号)

TOP20:1位東急コミュニティー、2位日本ハウズイング

総合管理受託戸数では、東急コミュニティーと日本ハウズイングの2社が頭一つ出ている。

マンション総合管理受託戸数TOP20社


以下にTOP20社のマンション総合管理受託戸数・棟数を示す。

  • 1位:東急コミュニティー(504,334戸、10,029棟)
  • 2位:日本ハウズイング(478,240戸、10,116棟)
  • 3位:大京アステージ(429,786戸、8,018棟)
  • 4位:長谷エコミュニティ(382,174戸、4,648棟)
  • 5位:三菱地所コミュニティ(328,529戸、5,091棟)
  • 6位:大和ライフネクスト(275,846戸、4,373棟)
  • 7位:合人社計画研究所(229,708戸、4,847棟)
  • 8位:三井不動産レジデンシャルサービス(205,226戸、2,736棟)
  • 9位:住友不動産建物サービス(174,838戸、2,194棟)
  • 10位:野村不動産パートナーズ(170,493戸、2,556棟)

  • 11位:日本総合住生活(161,421戸、7,638棟)
  • 12位:あなぶきハウジングサービス(143,653戸、2,960棟)
  • 13位:穴吹コミュニティ(111,408戸、2,067棟)
  • 14位:伊藤忠アーバンコミュニティ(107,125戸、1,635棟)
  • 15位:グローバルコミュニティ(大阪)(101,901戸、2,361棟)
  • 16位:東京建物アメニティサポート(78,773戸、1,286棟)
  • 17位:近鉄住宅管理(69,331戸、1,035棟)
  • 18位:ナイスコミュニティー(65,104戸、1,467棟)
  • 19位:レーベンコミュニティ(59,619戸、1,029棟)
  • 20位:浪速管理(57,803戸、781棟)
ランキング上位12社のシェアが5割

マンション管理会社のシェア(市場占有率)はどうなっているのか?

国交省が公表している分譲マンションのストック数は20年末時点で約675.3万戸(22年6月21日時点)。

そこで、横軸を管理会社のランキング、縦軸を管理戸数シェア(=各社が受託管理している合計戸数を「分譲マンションのストック数約約675.3万戸」で割った値)として描いたのが次のグラフ。

グラフの見方としては例えば、ランキング上位12社の合計受託管理戸数(3,484,248戸)は、分譲マンションのストック数約675.3万戸の5割(51.6%)を占めていることを表している。

具体的な数字で言うと、ランキング上位の12社が5割、67社が8割、145社が9割のシェアを握っているということになる。

※上位10社のシェアは47.1%

マンション総合管理戸数シェア(22年3月)

独立系管理会社、小規模マンションの管理戸数が多い

534社の受託管理戸数と棟数の間には何らかの関係性あるのか?

横軸に受託管理戸数、縦軸に受託管理棟数として描いたのが次図。

534社のマンション総合管理受託戸数・棟数(22年3月)

  • 不動産大手の管理会社は大規模なマンションの管理を受託しているのに対して(青色破線より下に位置している)、日本ハウズイングや合人社計画研究所といった独立系の管理会社は相対的に小規模なマンションの管理を受託している(青色破線より上に位置している)
  • 東急コミュニティーが相対的に小規模なマンションの管理を受託している傾向があるのは、前年12位だった100%子会社のコミュニティワン(21年3月:3,478棟、160,683戸)を吸収合併したことの影響が大きいのではないか。
  • 日本総合住生活は、UR都市機構が出資する住宅管理サポート企業。1棟当たりの戸数はダントツで少ないことが分かる(21戸=161,421戸÷7,638棟)。

マンション管理戸数の推移

東急コミュニティー、子会社の吸収合併で50万戸を突破し1位

「マンション管理新聞」のバックナンバーをひも解き、上位10社の過去13年間のマンション管理戸数の推移を可視化したのが次のグラフ。

  • 第1グループ(40万戸超):東急コミュニティー・日本ハウズイング・大京アステージ
    東急コミュニティーは21年10月、前年12位だった100%子会社のコミュニティワンを吸収合併したことにより50万戸を突破。
    日本ハウズイングの増加は著しく、17年に大京アステージを抜きその差は年々広がっている。
  • 第2グループ(30万戸超):長谷工コミュニティ、三菱地所コミュニティ
  • 第3グループ(20万戸超):大和ライフネクスト、合人社計画研究所、三井不動産レジデンシャルサービス
  • 第4グループ(10万戸超):住友不動産建物サービス、野村不動産パートナーズ

マンション総合管理戸数の推移(上位10社)
※長谷エコミュニティが20年3月に急増し3位に浮上したのは、長谷工スマイルコミュニティ(前回26位)と総合ハウジングサービス(同28位)を吸収合併したことによる。

東急コミュニティー、大京アステージ、三菱地所コミュニティ、長谷エコミュニティ、三井不動産レジデンシャルサービルは、グループ会社が販売したマンションを自動的に管理受託しているから自ずと戸数が多くなる。独立系の管理会社である日本ハウズイングが管理受託戸数を伸ばしているのは、低コストを武器に他社の受託戸数を侵食しているからなのであろう。

注目すべきは9位の住友不動産建物サービスのマンション管理戸数が20年3月に1割近く減少したこと。昨今の人手不足、人件費高騰を受けて同社がサービスの品質を保てないとして『契約辞退』を申し入れた結果の表れ。

これからは、マンション管理組合が管理会社を選ぶのではなく、管理会社がマンション管理組合を選ぶなんてことも。

グループ別ラキング:上位8社に順位の変動はない

グループ上位15社の推移を次図に示す。

上位8社に順位の変動はないが、日本ハウズイングGと長谷工管理ホールディングスの伸びが目立つ。

  • 第1グループ(50万戸超):大京G・東急コミュニティーG
  • 第2グループ(40万戸超):日本ハウズイングG・長谷工管理ホールディングス
  • 第3グループ(30万戸超):大和ハウスG・三菱地所コミュニティ
  • 第4グループ(20万戸超):三井不動産レジデンシャルサービスG・合人社計画研究所G

マンション総合管理戸数の推移(グループ上位15社)

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