「マンションは管理を買え」と言われるわりには、マンション管理会社の実態は、ほとんど知られていないのではないか。
業界紙「マンション管理新聞」は毎年5月、「総合管理受託戸数ランキング」を掲載している。同記事のなかから、マンション管理会社の総合管理受託戸数をもとに可視化・分析してみた。
マンション総合管理受託戸数ランキングTOP20
「マンション管理新聞」21年5月25日号には、530社が管理している2021年3月末現在の「組合数」「棟数」「戸数」が掲載されている。
(マンション管理新聞 21年5月25日号)
総合管理受託戸数では、日本ハウズイングと大京アステージの2社が頭一つ出ている。
以下にTOP20社のマンション総合管理受託戸数を示す。
- 1位:日本ハウズイング(469,898戸)
- 2位:大京アステ一ジ(431,656戸)
- 3位:長谷エコミュニティ(373,760戸)
- 4位:東急コミュニティ一(341,642戸)
- 5位:三菱地所コミュニティ(334,074戸)
- 6位:大和ライフネクスト(275,140戸)
- 7位:合人社計画研究所(223,041戸)
- 8位:三井不動産レジデンシヤルサ一ビス(202,606戸)
- 9位:住友不動産建物サ一ビス(173,194戸)
- 10位:野村不動産パ一トナ一ズ(166,976戸)
- 11位:日本総合住生活(161,437戸)
- 12位:コミユニティワン(160,683戸)
- 13位:あなぶきハウジングサ一ビス(131,347戸)
- 14位:穴吹コミユニティ(110,491戸)
- 15位:伊藤忠ア一バンコミユニテイ(106,243戸)
- 16位:グロ一バルコミュニティ(101,028戸)
- 17位:東京建物アメニティサポ一ト(77,613戸)
- 18位:近鉄住宅管理(68,477戸)
- 19位:ナイスコミュニティ一(64,555戸)
- 20位:レ一ベンコミユニティ(57,190戸)
ランキング上位13社のシェアが5割
マンション管理会社のシェア(市場占有率)はどうなっているのか?
国交省が公表している分譲マンションのストック数は20年末時点で約675.3万戸。
そこで、横軸を管理会社のランキング、縦軸を管理戸数シェア(=各社が受託管理している合計戸数を「分譲マンションのストック数約約675.3万戸」で割った値)として描いたのが次のグラフ。
グラフの見方としては例えば、ランキング上位13社の合計受託管理戸数(3,445,454戸)は、分譲マンションのストック数約675.3万戸の5割(50.1%)を占めていることを表している。
具体的な数字で言うと、ランキング上位の13社が5割、74社が8割、172社が9割のシェアを握っているということになる。
※上位10社のシェアは44.3%
1位日本ハウズイング、2位大京アステージとの差は年々拡大
「マンション管理新聞」のバックナンバーをひも解き、上位10社の過去12年間のマンション管理戸数の推移を可視化したのが次のグラフ。
- 第1グループ(40万戸超):日本ハウズイングと大京アステージ
日本ハウズイングの増加は著しく、17年に大京アステージを抜きその差は年々広がっている。 - 第2グループ(30万戸超):長谷工コミュニティ、東急コミュニティー、三菱地所コミュニティ
- 第3グループ(20万戸超):大和ライフネクスト、合人社計画研究所、三井不動産レジデンシャルサービス
- 第4グループ(10万戸超):住友不動産建物サービス、野村不動産パートナーズ
※長谷エコミュニティが20年3月に急増し3位に浮上したのは、長谷工スマイルコミュニティ(前回26位)と総合ハウジングサービス(同28位)を吸収合併したことによる。
大京アステージ、東急コミュニティー、三菱地所コミュニティ、長谷エコミュニティ、三井不動産レジデンシャルサービルは、グループ会社が販売したマンションを自動的に管理受託しているから自ずと戸数が多くなる。独立系の管理会社である日本ハウズイングが管理受託戸数を伸ばしているのは、低コストを武器に他社の受託戸数を侵食しているからなのであろう。
注目すべきは9位の住友不動産建物サービスのマンション管理戸数が20年3月に1割近く減少したこと。昨今の人手不足、人件費高騰を受けて同社がサービスの品質を保てないとして『契約辞退』を申し入れた結果の表れ。
これからは、マンション管理組合が管理会社を選ぶのではなく、管理会社がマンション管理組合を選ぶなんてことも。
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