5月18日に開催された「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」の会合で、国交省は渋谷区内で発生した氷塊落下事案につき調査の意向を示していた。ところが、その後、省内で検討し「調査は必要ないと判断した」という。
氷塊落下調査、国交省が一転「必要ない」(東京新聞)
5月18日に開催された「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」の会合で、国交省は渋谷区内で発生した氷塊落下事案につき調査の意向を示していた。ところが、その後、省内で検討し「調査は必要ないと判断した」という。
渋谷の氷塊問題めぐり航空機調査せず 国交省が一転「必要ない」
羽田空港(東京都大田区)の新飛行ルート直下に近い渋谷区のテニスコートで今年3月に氷塊が見つかった問題で、国土交通省が、当時付近を飛行していた航空機が着陸のためにいつ車輪を出したかの調査をしないと決めたことが19日、同省への取材で分かった。
18日に開かれた「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」の会合で、車輪を出す際に機体から氷塊が落ちるケースがあると指摘され、担当者が調査する意向を示したが、その後、省内で検討し「航空機から落下した可能性は極めて低いので調査は必要ないと判断した」という。
国交省は調査を確約していたのか?
東京新聞の記事では「車輪を出す際に機体から氷塊が落ちるケースがあると指摘され、担当者が調査する意向を示した」とされているが、実際にはどのような発言だったのか。
5月18日に開催された「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」のYouTube動画から、関連するか所を抜粋してみよう。
※敬称略
松原仁
- 事実として、どの辺でこの時の、いつ氷が飛行機から落ちたとして、落下したかっていうのは分かりませんが、その時にその上を飛んでいる飛行機が、その時にその場所辺りで脚下げをした飛行機があるのかないのかを含めて調査してもらえませんか。できるかどうかわからないけど。
それはこうやって飛行機を、上空を飛ばしている国土交通省としては最低の矜持だと私は思っておりますんで、杉田(室長)さん、お願いします。どうですか。杉田室長(航空ネットワーク部 首都圈空港課 杉田博章室長)
- いま松原さんがおっしゃったように、できるかどうか分からないというところでございますが、確認をさせていただきます。
松原仁
- じゃあ、確認をするということでいいですね。お願いします。
福島瑞穂
- 聞いたら、うちはそこは完璧にやっているので落としていませんという回答だったということなんですが、すいません、いくつの飛行機に関してそれを(航空会社に)聞きましたか。
国交省
- 15時30分ぐらいに落ちたというふうに言われていますけれども、前後およそ20分、前後の20分、トータル40分ぐらいにA滑走路に向かって進入する航空機8機に対して調査を行いました。
福島瑞穂
- わかりました。そしたらですね、8機であれば、(脚の)上げ下げがいつだったかというような細かいことを聞くことは可能じゃないですか。やってくださいよ。どうですか。
海江田万里
- やるんでしょ?
国交省
- 確認はしますが、脚下げはまさにパイロットの判断でされてますので、いつだったかということを確認できるかどうかは、正直できるということは申し上げられないということでございます。
- 海江田万里
何時何分に(脚を)下げたという記録、当然取ってるでしょ。記録に取ってるんでしょ? 取ってないの。どうなんですか、それは。記録は。国交省
- 航空会社に確認しないと、それは分かりませんので。
海江田万里
- そんなの知らないの?
松原仁
- このことに関して、今日(出席)の航空局の他の方でコメントできる人います?
分かりました。いずれにしても、これ出してください。
やっぱりそういうところの誠意がないということは、それは非常に住民との対話を考えた場合、マイナスになるだろうと思っております。
国交省は「調査をする」とは言っておらず、あくまでも航空会社に「確認」することを確約したに過ぎない。言質を取られまいとする役人根性がよく表れている。
国交省が一転「必要ない」というので開示請求してみた
野党の「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」(5月18日開催)で厳しく迫られた国交省は、当時テニスコート付近を飛行した航空機8機が、着陸のためにいつ車輪を出したか調査する意向を明らかにした。ところが翌19日に「調査は必要ないと判断した」という。
いったい誰がどのような判断をしたのか、詳細を知るべく5月20日、国交省に開示請求してみた。
(請求する行政文書の名称等)
東京新聞 TOKYO Web(22年5月19日)によれば(下記URL参照)、<18日に開かれた「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」の会合で、車輪を出す際に機体から氷塊が落ちるケースがあると指摘され、担当者が調査する意向を示したが、その後、省内で検討し「航空機から落下した可能性は極めて低いので調査は必要ないと判断した」>とあります。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/178361「その後、省内で検討し(略)調査は必要ないと判断した」内容が分かる、メモなどを含む一切の文書
それから1か月が経過した6月22日、国交省から「行政文書不開示決定通知書(PDF:953KB )」が郵送されてきた。
不開示とした理由
- 当該請求に係る行政文書は、作成取得をしておらず不存在。
雑感
調査が必要ないと判断するに至った行政文書は作成していない、というのが国交省の回答。
筆者が開示請求したのは「メモなどを含む一切の文書」だから、国交省は省内打ち合わせに関してメモも残さず、口頭で行ったということになる。
議連に出席していた国交省は7人。杉田室長は打ち合わせ記録さえ残さずに、国会議員9人と交わした約束を反故に。野党議員も随分と舐められたものである。
ただ、同議連のホームページを見ると、5月18日に開催された議連の記事が1か月経ってもいまだ「記事準備中」のままだから(6月22日現在)、国交省に舐められた対応をされても仕方がないのかも……。
ちなみに、先週閉じた第208回国会(22年1月17日~6月15日)では、衆参議員だれも羽田新ルートに係る質問主意書を提出していない(羽田新ルートに係る質問主意書ゼロ、衆院選が当面ないから!? )。
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