「マンションは管理を買え」というが、マンション管理会社の実態は、ほとんど知られていない。
低価格な提案(これを「リプレイス」という)があったからといって、管理会社を変更してよいものかどうか判断に迷うだろう。
少なくとも多くの実績があれば安心できるのではないか。
業界紙「マンション管理新聞」には毎年5月、マンション管理会社別の受託戸数ランキング・データが掲載されている。
ネットではなかなかお目に掛からない貴重なデータを収集し、分析してみた。
マンション管理受託戸数ランキングTOP20
2016年版(2016年3月末現在)のマンション管理受託戸数のTOP20社は次図のとおり。
大京アステージと日本ハウズイングの2社が飛び抜けている。
- 1位:大京アステージ(426,482戸)
- 2位:日本ハウズイング(425,026戸)
- 3位:東急コミュニティー(324,421戸)
- 4位:三菱地所コミュニティ(297,657戸)
- 5位:長谷工コミュニティ(260,572戸)
- 6位:大和ライフネクスト(249,018戸)
- 7位:三井不動産レジデンシャルサービス(249,018戸)
- 8位:住友不動産建物サービス(197,308戸)
- 9位:合人社計画研究所(188,400戸)
- 10位:日本総合住生活(158,676戸)
- 11位:コミュニティワン(149,636戸)
12位:野村不動産パートナーズ(146,160戸) - 13位:三菱地所丸紅住宅サービス(103,613戸)
- 14位:穴吹コミュニティ(83,282戸)
- 15位:グローバルコミュニティ(77,058戸)
- 16位:伊藤忠アーバンコミュニティ(75,400戸)
- 17位:あなぶきハウジングサービス(62,776戸)
- 18位:近鉄住宅管理(60,468戸)
- 19位:大成有楽不動産(59,669戸)
- 20位:ナイスコミュニティー(54,234戸)
大京アステージ、日本ハウズイングが2強
「マンション管理新聞」のバックナンバーをひも解き、上位10社の過去7年間のマンション管理戸数の推移をまとめたのが次のグラフ。
大京アステージと日本ハウズイングが2強であろることが分かる。
第2グループは、東急コミュニティーに加え、この1年間で急激に戸数を伸ばしてきた長谷工コミュニティ・大和ライフネクスト・三井不動産レジデンシャルサービルの4社。
大京アステージ、東急コミュニティー、長谷エコミュニティ、三井不動産レジデンシャルサービルは、親会社が建設したマンションを自動的に管理受託しているから自ずと戸数が多くなる。
独立系の管理会社である「日本ハウズイング」がコンスタントに戸数を伸ばしているのは、建設系管理会社の受託戸数に侵食しているためなのであろう。
ちなみに、大和ライフネクスト(大和ハウス工業の100%子会社)が急伸しているのは、2014年年4月1日に、大和ライフネクスト(消滅会社)とダイワサービス(存続会社)と経営統合したため。
上位20社が57%のシェアを占めている
横軸を管理会社のランキング、縦軸を管理戸数の累計として描いたのが次のグラフ。
曲線が急激に立ち上がり、横に寝始めるのは上位50位あたり。
つまり、上位50社あたりがマンション管理事業のかなりのシェアを握っているということになる。
シェアについて、もう少し具体的にみてみよう。
国土交通省が公表しているデータによれば「全国のマンションストック戸数」は、2015年末で約623万戸(次図)。
一方、上位20社のマンション管理戸数の合計を計算すると約358万戸だから、約57%のシェアを占めていることが分かる。
特にこの2年、寡占化が進んでいる!
「全国のマンションストック戸数」に対する「上位管理会社による管理戸数」の割合、すなわちシェアの変化を可視化したのが次図。
特にこの2年で寡占化が進んでいるようだ。
新規マンション需要の激減に向けて(15年後の住宅着工戸数4割減の衝撃!ビジネスモデルを転換しないと生き残れない時代へ)、大京など一部の大手デベロッパーは≪「箱の産業」から「場の産業」へ向かう不動産ストックビジネス≫への転換を進めている結果の表れであろう。
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