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『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)

不動産コンサルタント長嶋修氏の新刊『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』小学館新書(2022/2/1)を読了。

不動産業界だけを見ていても不動産市場の動向は分からない。不動産だけでなく、政治、経済、金融、歴史など、幅広い情報を発信している”ユーチューバー長嶋修”の最新情報が詰まった1冊。

とはいえ、本記事では不動産関係をピックアップ。

朱書きは、私のメモ。


もくじ

新築マンション販売価格は「官製相場」ならぬ「民製相場」

新築マンション販売価格は「官製相場」ならぬ「民製相場」。中古マンション成約価格は市場をリアルに反映しているという分析。

三極化する不動産市場

(前略)新築マンションの販売価格はマンションデベロッパーがコントロールでき、売出価格しか公表されず、体力さえあれば売らずに保有することもできるため、より市場性を鑑みた成約価格が見えにくいところがあります。株式市場で言われる「官製相場」ならぬ「民製相場」といったところでしょうか。

一方で中古マンション市場は、ほとんどの売り主が個人であるため価格コントロール機能があるわけではなく、成約価格や成約平米単価は、市場をリアルに反映していると言えます。

(P53/第2章 バブルで変わる日本の不動産市場)

※首都圏の新築マンションの供給戸数を減らすことでリーマンショック後も4,500万円前後をキープ。13年度以降は供給戸数が減少するなかで、アベノミクスによる非実需要増の影響などにより平均価格が大幅に上昇している(次図)。

供給戸数と平均価格の推移(首都圏新築マンション)
首都圏新築マンション市場動向(20年度)」より

人気物件に「買い上がり」現象

人気物件に申込者が殺到し、買値がアップするいわゆる「買い上がり」といった現象まで起きているという。

圧倒的に不足している「在庫」

(前略)最近では、5000万円で売りに出ている人気物件に申込者が殺到し、5組、時には10組の購入申込みが入るといった事例もちらほら見られます。なかには「5100万円で買うからこちらに譲ってほしい」「こちらは5200万円だ」というように買値がアップするいわゆる「買い上がり」といった現象まで起きているのです。

新築マッションについても、発売戸数は頭打ちであるものの、これは主に用地取得がうまく進んでいないことが理由で、売れないからといった理由ではありません。価格、契約数ともに上向き。コロナ禍をよそに、不動産市場は活況が続いています。

(P64-65/第2章 バブルで変わる日本の不動産市場)

※城東地区では、「新規登録物件>成約物件」が逆転する「買い上がり」現象が発生した時期が2回ある(次図)。13~14年と20年以降。いずれも在庫が減少した時期と符合している。

中古マンション単価・在庫の推移【城東地区】
23区中古マンション、買い手市場・売り手市場を可視化する」より

実家の不動産ニーズは細るばかり

実家の不動産ニーズは細るばかりなので、即座に処分したほうがいいという。

三極化下位15%の不動産は即売り

(前略) 日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳(厚生労働省/2020年)。親にはもちろん元気で長生きしてほしいものの、やがて実家が空き家になった時、そこに住宅ニーズがないことを子世代は知っています。一方で親世代は、かつての都市郊外ベッドタウンにそこまでニーズがないとは思いもよらず、さほど問題意識もないことが多いのです。

すでに現在の住宅購入ボリュームソーンは30代中盤と、ジュニア世代より一回り下で、人口は団塊世代の半分程度。そのうえ団塊世代のように、住宅の「所有」にこだわる風潮はなく、ジュニア世代より共働き比率が高く、自動車保有率は一段と低下しています。すでにこんな事態である中で、さらに時間が経過すれば、実家の不動産ニーズは細るばかり。近隣に空き家も増え需給悪化も必至。市場で売却しようとしても買い手がつかないどころか、タダでも引き取り手があるかどうかというところです。(以下略)

(P156-157/第7章 激変する時代の投資戦略)

※健康寿命の尽きた団塊世代から放出される中古マンション。団塊の世代を含む75歳以上の世帯が住んでいる23区の中古マンションは今後10年間で約10万戸(年間1万戸)放出される(マン点試算)。団塊世代放出中古マンションが中古マンション市場に与えるインパクトは25%(次図)。

中古マンション市場へのインパクト(概念図)
団塊世代から放出される中古マンション今後10年間で10万戸、市場へのインパクト(試算)」より

本書の構成

7章構成。全190頁。

  • 第1章 史上最大のバブルがやってくる
  • 第2章 バブルで変わる日本の不動産市場
  • 第3章 世界から大量のマネーが流入する日本
  • 第4章 90年バブルはどうして発生したのか
  • 第5章 金融グレート・リセット
  • 第6章 様変わりする世界情勢
  • 第7章 激変する時代の投資戦略

バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日

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