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首都圏新築マンション市場動向(20年度)|価格大幅に上昇、2年連続3万戸割れ

不動産経済研究所は4月19日、「首都圏マンション市場動向2020年度」を発表。

  • 供給1.7%増の2万9,032戸、7月以降に急回復も2年連続の3万戸割れ。契約率は67.9%にUP。
  • m2単価は0.4%UPの90.5万円と9年連続の上昇、戸当たり平均は5,994万円で1.0%の下落。

これだけではよく分からない。14年度以降の首都圏マンションの「供給戸数」と「平均価格」のデータが表形式で掲載されているので、同研究所が過去に発表したデータも含めて可視化してみた。


もくじ

価格大幅に上昇、2年連続3万戸割れ

首都圏新築マンションの供給戸数と平均価格の推移を下図に示す。

  • 供給戸数
    耐震偽造事件(05年11月)以降急減し、リーマンショック(08年11月)の翌年に最低を記録。消費税増税8%(14年4月)の駆け込みで需要を先食いした後、再び減少し、20年度は2年連続の3万戸割れ
  • 平均価格
    耐震偽造事件の再発防止のための制度改革により約500万円コストアップ。その後、供給戸数を減らすことでリーマンショック(08年11月)後も4,500万円前後をキープ。13年度以降は供給戸数が減少するなかで、アベノミクスによる非実需要増の影響などにより平均価格が大幅に上昇

供給戸数と平均価格の推移(首都圏新築マンション)


政府はあの手この手で新築マンション需要を喚起しようとしているが、笛吹けども踊らず、2年連続の3万戸割れ。

市場規模縮小、2年連続1.7兆円

次に、市場規模(=供給戸数×平均価格)の推移について(次図)。

首都圏新築マンションの市場規模は、2000年代前半まで3.5兆円前後で推移していたが、耐震偽造事件(05年11月)の翌年度から縮小し始めて、リーマンショック(08年11月)の翌年度が1.65兆円のボトム。

その後、消費税増税8%(14年4月)の前年度まで拡大するが再び縮小。19・20年度と2年連続で1.7兆円に踏みとどまる。

市場規模と平均価格の推移(首都圏新築マンション)

価格が高騰しているのに市場が縮小している状況は、富裕層でないと新築マンションを買えなくなってきている事態を示唆している。

新築から中古へ…

一方、中古マンションの市場規模は、01年度以降、徐々に拡大し15年度に1兆円を突破(次図)。

中古マンションの市場規模は、そのうち新築と逆転するのか。

首都圏マンション市場規模推移(新築vs中古)
※中古マンションのデータは、東日本不動産流通機構公表資料による。

 

ちなみに、供給戸数では16年度以降、中古が新築を上回っている(次図)。庶民は新築マンションの購入を諦め、中古マンションに流れているのであろう。

首都圏マンション供給戸数推移(新築vs中古)
※中古マンションのデータは、東日本不動産流通機構公表資料による。

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