不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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南風時の都心低空飛行ルート運用実績を可視化(22年2月)

南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートの運用が開始されたのは20年4月3日。新型コロナの影響により国内線・国際線ともに大幅な減便が続いているなかで、羽田新ルートの運用が強行されている。

22年2月の運用実績を可視化する。

※本記事は、南風時の都心低空飛行ルートのみが対象。南風時の川崎ルートと北風時の荒川沿い北上ルートは含まれてない(次図)。
羽田新ルート概略図
※破線は「悪天時」ルート

通過頻度・機数の推移(南風時の到着ルート)


ポイント

【機/月】ピークは20年8月(23日間、1,800機超)

南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートが運用された日数・機数の推移を下図に示す。

  • 20年度
    • 機数・日数ともに8月がピーク(23日間、1,800機超)
    • 機数・日数ともに9月以降大幅に減少し、南風運用が少ない1月がボトム(1日間、11機)。
  • 21年度(~22年2月)
    • 日数・機数ともに、21年10月~22年1月は1年前よりも多い。

飛行機数・日数の月次変化(南風時の到着ルート)

 

猛暑になるとゴーアラウンドが増えるというような事象は、20・21年の夏ともに発生しなかったといえる。なぜならば、夏場にゴーアラウンド率(=ゴーアラウンド回数÷飛行機数)が特に上昇したわけではないからだ(次図)。

ゴーアラウンド実績(南風時の到着ルート)

【メモ】

  • 気温が上昇して空気密度が低くなると、揚力が小さくなるので、操縦難度が上がりゴーアラウンドが増えると言われている。
  •  21年1月のゴーアラウンド率が極端に高いのは、南風運用が1日(通過機数11機)しかなかったことの影響が大きい(GA1機÷11機⇒9.1%)。


猛暑に関連した記事については、以下参照。

【機/日】A・Cルート、昨年の最多記録を1月に更新

1時間当たりの通過機数の推移を下図に示す。

  • 20年度
    • 5月まで続いていた減便は、6月、7月と回復に向かい、8月初旬には、A滑走路到着ルートは1日あたり30機を、C滑走路到着ルートは1日あたり60機を超えた。
    • 8月中旬を過ぎて機数が減少傾向の後、10月下旬から増加の兆候が見られたが、南風時の運用日数そのものが大幅に減少した。
  • 21年度(~22年2月)
    • A滑走路到着ルートは、昨年の最多記録(8月8日:36機)を更新(11月23日&1月2日:38機/日)。
    • C滑走路到着ルートは、昨年の最多記録(4月4日:69機)を1月に更新(1月2日:78機/日)

通過機数の推移(南風時の到着ルート)

【メモ】
  • ところどころ機数が大幅に少ないのは、当日の運用時間が短かったことによる。
  • 実機飛行確認の機数はflightradar24で、運用開始後の機数は「羽田空港飛行コース」の航跡動画をもとに調べた(以下、同じ)。
  • 「羽田空港飛行コース」の「システムトラブルのため」21年3月の3日間(3/1、3/20、3/21)のデータ欠損分は、flightradar24のデータで補填した。

 

上図を月ごとの平均値・中央値に集計したのが次図。

  • 20年度
    • 新型コロナ水際対策として12月28日から全世界からの外国人新規入国停止した影響が出た。
    • 1月に底を打ったあと、特にC滑走路到着ルートにおいて増加傾向が見られた。
  • 21年度(~22年2月)
    • A・C滑走路到着ルートともに12月に減少
      ※南風運用日数が減少していることに加え、オミクロン株の感染拡大を受け11月30日午前0時から全世界を対象に外国人の入国を禁止した影響が出ているのではないか。

通過機数の推移(南風時の到着ルート)

【機/時】A・Cルートとも、増加から減少へ

1時間当たりの通過頻度の推移を下図に示す。

国交省の計画では、A滑走路到着ルートは1時間当たり14回(4分17秒ごと)、C滑走路到着ルートは1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で飛ぶことになっている。

  • 20年度
    • 新型コロナの影響による減便が著しく、4月下旬以降、A滑走路到着ルートでは1時間当たり5機程度、C滑走路到着ルートでは1時間当たり10機程度だった。
    • 6月、7月はA・C滑走路到着ルートともに回復に向かい、8月初旬にはA滑走路到着ルートは1時間あたり10機を、C滑走路到着ルートは1時間あたり20機を超えた。
    • 8月中旬を過ぎて機数が減少傾向の後、10月下旬から増加の兆候が見られたが、南風時の運用日数そのものが大幅に減少した。
  • 21年度(~22年2月)
    • A・C滑走路到着ルートともに増加から減少へ

通過頻度の推移(南風時の到着ルート)

【メモ】

  • ところどころC滑走路到着ルートの通過頻度が跳ね上がっているのは、当日同ルートの運用時間が短かったことによる。

 

上図を月ごとの平均値・中央値に集計したのが次図。

通過頻度の推移(南風時の到着ルート)

【機材】国交省見込みよりも大型機の割合が小さい

機材区分別(小・中・大型機)の通過機数の推移を下図に示す。

  • 20年度
    • 4月初旬に45機前後飛行していた小型機は、4月下旬以降半減。中型機も同様の傾向が見られた。
    • 6月以降8月中旬まで、小・中・大型機ともに機数が増加。8月中旬を過ぎて小・中・大型機ともに機数が減少傾向の後、10月下旬から増加の兆候が見られたが、南風時の運用日数そのものが大幅に減少した。
  • 21年度(~22年2月)
    • 小型・中型機とも、12月に大幅に減少。

機材区分別の通過機数の推移(南風時の到着ルート)

 

上図を月ごとの平均値に集計したのが次図。

機材区分別の通過機数の推移(南風時の到着ルート)

 

国交省の説明資料によれば、羽田空港で使われている飛行機は、小型機48%、中型機25%、大型機26%となっている(次図)。

国交省データ(19年1月時点)
FAQ冊子v6.2_P58

 

機材区分別の通過機数割合の推移を下図に示す。

  • 20年度
    • 国交省データ(19年1月時点)と比べて大型機の割合が小さく、そのぶん小・中型機の割合が大きくなっている。
      ※計画通り運用されると騒音環境はさらに悪化することに要留意。
  • 21年度(~22年2月)
    • 大型機の割合は10%前後で推移。国交省が見込んでいた26%を大きく下回ったままだ。21年11~22年2月は、小型機の割合が減少したぶん、中型機の割合が増加している。

機材区分別の通過機数割合の推移(南風時の到着ルート)

 

20年度で最も多かった機材はボーイング737-800(小型機)の3,083機(37%)だった(次表)

機材区分
※機材区分は概ね、大型機(300席以上)、中型機(200~300席)、小型機(200席未満)とした。

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2024年6月1日、このブログ開設から20周年を迎えました (^_^)/
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