不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、不動産(マンション購入・賃貸)に係る分析記事を提供しているブログメディア


羽田新ルート陳情(3件)板橋区議会、社民の言い分、自民の言い分

板橋区議会「22年第1回定例会」本会議で3月3日、羽田新ルート陳情3件に関して、五十嵐やす子議員(社民)と川口雅敏議員(自民)の「討論」(≒賛否の開陳)があった。

起立採択の結果、不採択(≒却下)となったので、備忘録として、議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約4千200文字)しておいた。

※時間のない方は「討論のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


討論のポイント

十嵐 議員(社民):採択理由は騒音、落下物や事故、成田はガラガラ

十嵐やす子議員(社民)

五十嵐やす子議員(社民党、区議3期、共立女子大院卒、57歳)

「陳情第190号 羽田空港新ルート運用の一時凍結を求める陳情」「陳情第192号 羽田新飛行ルートの再考を求める陳情」「陳情第204号 住民の安全・安心な生活を守るために、羽田空港の機能強化による都心低空飛行ルート運用の一時凍結および航空事故を想定した防災体制の敷設を求める陳情」に賛成の立場から社会民主党が討論を致します

これらの陳情の要旨は、第190号においては、2020年3月から始まった羽田空港新ルートに関し、コロナ禍前の飛行実績に回復するまでの間、一時凍結して従来の飛行ルートに戻すよう板橋区議会から国に求めてください、というものです。

次に、第192号は、羽田新飛行ルートの再考を板橋区議会から国に求めてください、 というものです。

第204号は、第190号と同様に、羽田新ルートの一時凍結と、あらゆる航空事故を想定して、国および都、区や消防・警察などが一体となった防災体制を敷設し、具体的な対策を施すことについての2項目を、板橋区議会から国に意見書の提出を求める、というものです。


国土交通省は、国のインバウンド政策のもと、日本の経済成長、並びに東京2020大会の円滑な開催など的として、羽田空港の機能強化として羽田空港へ離発着する飛行機の便数を増やすとし、新たな飛行ルートを導入し、2020年3月29日から新飛行ルートの運用を実施しています。


現在、板橋区の上空には、成増・赤塚新町ルートとして、好天時のA滑走路、悪天時のC滑走路、小豆沢・常盤台・向原ルートとして、好天時のC滑走路の2ルートが設定され運用されています。


板橋区は、これまでも板橋区議会が陳情を不採択としたような案件でも、国に対して安全を求めるなどの意見や要望を出し、区民のために動いてきたことに、感謝しています。


これまでも計画の早い段階から度々質問でも取り上げ、また国土交通省が開催する説明会にも、足しげく参加し、その場で直接、国の職員に質問したり、国土交通省との直接交渉にも複数回参加し、意見を申し上げてまいりました。しかし、実際に新ルートの運用が始まると、当時頂いた答えと現実の乖離を、頭の上を飛行機が飛ぶたびに痛感しております。

陳情に賛成する理由は、大きく3つあります。

初めに、騒音などのストレスについては、実際に飛行機が飛ぶ様子や、またその音を聞くにつけ、私も未だに慣れることはありません。区民の方々が感じる、頭の上を飛ぶ飛行機による圧迫感や、3時間続く騒音からのストレスは、いかばかりかと思います。

更に、着陸ルートの飛行機の音だけでなく、離陸する飛行機が板橋区上空を朝から通るため、その騒音が辛いというご意見も頂いています。

これを個人差で片づけてしまうことは、まるで音に慣れないのは自己責任といわれているようにも感じます。

様々な障がいをお持ちの方もいて、音に敏感なため困っていたり、視覚障がいをお持ちの方からも、不安の声がありました。この方たちへの支援は、まだ何もありません。

その日の気象や飛行機の高度、機種によっても、音は変わります。これはいくら丁寧に説明されても、今のままでは改善は難しいと思います。


次に、落下物や事故についてです。

最近では、2020年には沖縄の那覇空港で、エンジンの不具合からファンブレードの破損、
その後もデンバー空港などでも同じファンブレードの破損からエンジンの損傷につながるなど、危険な事故が相次ぎました。

さらに、先日は成田空港で日本貨物の飛行機から、重さ60キロものプラスチックカバーが落下し、翌日になって空港敷地内で見つかるという事象が起きています。

落下物が都心上空では起きないとは、誰も保証できません。事故が起きてからでは遅く、また、もし羽田空港周辺で同じような落下物があった場合、近くには川崎の石油コンビナートや高圧ガスタンクなどもあります。大きな被害が出るであろうことは想像に難くありません。

万が一、墜落など大参事事故が起きた場合についても、常に考えることが必要です。避けられた事故が避けられなくなるのは、人災です。その認識を持つことが必要です。そして、飛行機事故は起きています。特に「魔の11分」と言われる、飛行機が一番事故を起こしやすい時間帯が、この都心上空となります。


もしもの際の対策として、中央防災会議で防災基本計画が作られているとのことですが、事故は複数の自治体にわたって起きる可能性もありますので、国だけではなく東京都や近隣自治体との連携が欠かせず、訓練も必要です。アメリカでは町をあげて航空機事故に対しての訓練をしていたお陰で、尊い人命が大勢助かったという報告も伺っています。


最後に、国際線の利用者についてですが、陳情にもあるように、世界的にも最も権威があると言われている IATAによれば、2024年までは国際線の需要は回復しないとの分析がなされています。

一方、当初の計画では国際線を羽田にということでしたが、今は羽田を離発着しているのは、国内線が中心です。成田はガラガラです。

そもそも、今になって「国際線を羽田に」と言うなら、なぜ人が命を落とすことになってまで、成田空港を造ったのか、説明がつかないのではないでしょうか。また海外では空港を郊外へと移していて、日本のように都心回帰の所は稀です。


以上の理由から、改めて本陳情の採択を強く求め、本陳情への賛成討論といたします。

川口 議員(自民):不採択理由は羽田空港の機能強化が重要

川口雅敏議員(自民)
川口雅敏議員(自民党、区議6期、日大卒、68歳)

ただいまから自由民主党議員団を代表して、「陳情第190号 羽田空港新ルート運用の一時凍結を求める陳情」「陳情第192号 羽田新飛行ルートの再考を求める陳情」および「陳情第204号 住民の安全安心な生活を守るために、羽田空港の機能強化による都心低空飛行ルート運用の一時凍結および航空事故を想定した防災体制の敷設を求める陳情」について、委員会決定、不採択に対して、賛成の立場から討論を行います。


国土交通省は人口減少や少子高齢化が進むなか、日本の経済社会を維持・発展させていくためにも、今後、より一層諸外国との結びつきを深めていくことが重要としています。その中で、首都東京に位置し、都心から近く、24時間オープンしている羽田空港は豊富な国内線との接続を通じて、地方と世界をつなぎ、首都圏や地方の成長・発展により大きな役割を担うことから、羽田空港の機能強化が不可欠としています


このため、国土交通省においては、国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会においては様々な検討が重ねられたほか、関係自体とは「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」において協議を重ね、将来的な航空需要の拡大を見据え、日本の国際競争力の強化、これまでの千葉県が負担してきた騒音影響の首都圏全体での共有の観点から、令和元年8月に導入を決定したものであります。


また、新飛行ルート周辺を中心に地域住民に対しては、5年にわたり第1フェーズから第6フェーズと、フェーズごとに何度も説明会を重ねるなど、細密で丁寧な情報提供を行ってきていると認識をしております

これらを経た上で、国土交通省は令和2年3月29日、羽田空港において国際線の年間約3万9千回の増便が可能となる新飛行経路の運用を開始いたしました。新たな飛行経路は、南風時の夕方15時から19時の間の約3時間程度と限定された条件で、板橋区を含む都心上空を進着陸ルートが設定をされております。


今回の新コロナウイルスの感染拡大においては、日本の日常生活は諸外国からの輸入に多くを頼っていることを再確認を致しました。島国である日本において、航空機という移動・輸送手段は非常に重要なものと言えます。

現在、新型コロナの影響で減便が生じていますが、新飛行経路について、国土交通省では一時的に利用者が減少しているとはいえ、社会状況が回復した時のために、「首都圏航空機能評価の具体化に向けた協議会」での議論の経過等を踏まえ、引き続き運用していく必要があるとしております。


また、騒音軽減等の観点から、「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」が過去4回開催されております。2つの着陸方式が選定をされ、現在、安全性の評価など今後の取り組むべき具体的な課題についても議論をされて、取り組みを着実に進めているものとされております。


これまでも区議会では、羽田の新飛行ルートに関しては、同じ趣旨の陳情を多く審議しており、その経過も踏まえ、直ちに板橋区として新飛行経路の見直しを求めることにはならないと考えております


板橋区の取り組みとしても、東京都経由の、あるいは国へ直接、徹底した落下物の防止などの安全対策や丁寧な情報提供を主とした要望を13回提出するなど、でき得る措置を講じていると承知をしております


国に対して、引き続き落下物ゼロを目指した世界で最も厳しい基準である安全対策の徹底と、その継続を求めて求め続けていくこと、そしてその取り組みが確実に行われているかを注視していくことが区民のみならず、空港の所在地地域にお住まいの方全員の安心・安全に繋がっていくものと思っております。


安全の確保はまさに日々の不断の努力の積み上げであり、航空機が安全な乗り物、輸送手段として便利に利用していくことができるよう注視し続けたいと思っております。コロナ禍後を見据え、日本の成長や豊かな暮らしを将来の世代に引き継ぐためには、羽田空港の機能強化が重要であると考えております


以上のことから、陳情第190号、陳情第192号および陳情第204号の委員会決定、不採択に賛意を表明し、私の討論を終わります。

議長:委員会報告の通り、不採択と決定

坂本あずまお(自民党)

坂本あずまお議長(自民党、区議4期、マンチェスターメトロポリタン大学卒、法政院卒、43歳)

以上をもって討論を終わります。

続きまして「陳情第190号 羽田空港新ルート運用の一時凍結を求める陳情」「陳情第192号 羽田新飛行ルートの再考を求める陳情」および「陳情第204号 住民の安全安心な生活を守るために、羽田空港の機能強化による都心低空飛行ルート運用の一時凍結および航空事故を想定した防災体制の敷設を求める陳情」について、一括して起立表決を行います


陳情第190号、第192号および第204号に対する委員会報告は、いずれも不採択であります。

委員会報告の通り決することに賛成の方はご起立願います。

起立採決


ご着席に願います。
起立多数と認めます。よって、陳情第190号、第192号および第204号は、委員会報告の通り、不採択と決定いたしました。

雑感(同趣旨の陳情だから却下!? )

陳情(3件)を採択することに反対した川口議員(自民)の「討論」の大半は国交省の言い分に沿った内容である。自由民主党議員団としての独自のロジックは以下の2点。

1点目は、これまで同じ趣旨の陳情を多く審議しており、その経緯を踏まえた判断であること。

「その経過も踏まえ」が、これまで類似の陳情はすべて不採択(≒却下)されたことを指しているのだとすれば、乱暴な議論だ。もう少し具体的で丁寧な説明が求められる。

これまでも区議会では、羽田の新飛行ルートに関しては、同じ趣旨の陳情を多く審議しておりその経過も踏まえ、直ちに板橋区として新飛行経路の見直しを求めることにはならないと考えております。


2点目は、日本の成長や豊かな暮らしを将来の世代に引き継ぐために、羽田空港の機能強化が重要であるとしていること。
日本の成長や豊かな暮らしを将来の世代に引き継ぐために航空政策は重要なテーマではあるが、航空機騒音で都心を汚染させることは、決して次世代に引き継いではならないと思う。自民はこの点を考えようとしていないのではないか

コロナ禍後を見据え、日本の成長や豊かな暮らしを将来の世代に引き継ぐためには、羽田空港の機能強化が重要であると考えております。

あわせて読みたい

2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.