不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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2021グッドデザイン賞|分譲マンション(23区)

公益財団法人日本デザイン振興会は10月20日、2021年度のグッドデザイン賞の受賞結果を発表。今年度は過去最多となった5,835件を対象に審査し、過去最多の1,608件の受賞を決定。

23区の分譲マンションで受賞した主な物件は9件、うち大手3社(住友、野村、三井)がそれぞれ2件。

2021グッドデザイン賞(23区分譲マンション)


物件名

※総戸数の多い順


宮益坂ビルディング

宮益坂ビルディング

(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:旭化成不動産レジデンス

物件概要:渋谷区、15階建て、128戸、2020年7月竣工

築70年近い宮益坂ビルの建替は、多大な時間をかけた複雑な問題解決努力の過程であった。渋谷駅至近の立地、多様な地権者が関わる事業という背景においては、用途構成の自由度や形態的な表現・仕様・コストは必然的に制限される。そうした中で、ここから再び始まるこの建物の長い時間軸を見据え、柔軟性を考慮したプランニング、適切な動線、奇をてらわず建築が主張しすぎない街の背景としての配慮など、誠実な建築的解答が示されている

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プラウド杉並方南町

プラウド杉並方南町

(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:野村不動産

物件概要:杉並区、4階建て、87戸、2021年2月竣工

3棟の分棟配置とし、接道面は道路拡幅や小さな公園の提供など地域に貢献する緑地帯を確保。なかでも西側小学校と接する面には、新たな貫通通路を新設している。歩行者専用の曲がりくねった小道は、緑を眺めながら散策する地域の人々に愛され、子供たちの通学路となる。外周部を緑に囲まれた環境は住民にとって豊かであるだけでなく、積極的に近隣に開放されることで、新しい地域住民との関係を創り出している。このような点で本件は特筆すべき計画であるといえる。

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シティハウス品川サウス

シティハウス品川サウス
(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:住友不動産

物件概要:品川区、18階建て、66戸、2020年3月竣工

従来のマンションでは玄関や窓まわりに設置していた各種配管、メーター類、空調室外機等を、共用廊下の屋外側にマルチコアとして集約。扉のついたマルチコアはすっきりとした共用廊下を創り出し、外観の要素にもなっている点が高く評価された。従来よりも幅広くなった共用廊下には、あらかじめベンチを設置したり、玄関先で立ち話ができるような居場所を創ることもできるのではないだろうか。「居住者に限らず様々な人が利用する集合住宅の廊下は半公共空間である」という応募者の言葉通り、今後も共用廊下から小さなコミュニティを育てる試みを続けてほしい。

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パークホームズ中野本町 ザ レジデンス

パークホームズ中野本町 ザ レジデンス

(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:三井不動産レジデンシャル

物件概要:中野区、7階建て、46戸、2020年9月竣工

従前建物の記憶を引き継ぐという意思が、事業性を含めた新たな計画与件の解決と綺麗に結びついている。全体の質感や形態が部分部分で分断されることなく、美しい統一的な体験を生むように注意深くデザインされており、また「塀」の緑との関係、手すりガラスの意匠など、公園に対する構えは外側からの景観価値と内側の居住価値を同時に生み出すものとしてデザインされている。周辺の街の雰囲気に調和させながら商品価値を高めている点も評価された。

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パークホームズ中目黒

パークホームズ中目黒

(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:三井不動産レジデンシャル

物件概要:目黒区、5階建て、46戸、2020年11月竣工

画一的で無難な意匠になりやすい分譲マンションにおいて、本プロジェクトのような建築デザインにおけるチャレンジはなかなかできるものではないだろう。立地条件の価値ポテンシャルの見立てやコストバランスの判断において、デザイン上の差別化という強い軸を持って意思決定がなされていったことが見てとれる。外観の形態や素材の扱い、樹木の保存・配置など、街に対する構えにおいてもこだわりと挑戦の結果として、周辺環境へのポジティブな影響とユニークネスが生まれている

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シティハウス四谷坂町

シティハウス四谷坂町

(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:住友不動産

物件概要:新宿区、7階建て、43戸、2018年11月竣工

一般的な共同住宅の開口計画をよくよくみてみれば、無自覚に設けられたものが多くあり、結果あるのに開けない、カーテンで閉じられているものだったりもする。この計画は、通風可能な二面開口を実現している。煙突効果の気流により風を促し、暮らしの中に実感できる通風を実現させている。さらに、コストの制限が厳しい共同住宅において、スパンを8mから7mへと間口を小さくすることでクリアさせている点も評価したい。

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ピアース目黒青葉台

ピアース目黒青葉台

(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:モリモト

物件概要:目黒区、6階建て、37戸、2021年2月竣工

シャープで美しいコンクリートの壁面が印象的な計画である。不定形な敷地に対しても合理的にプランをおさめ、コンクリートはその独特な形状をさらに際立たせ、この敷地ならではの意匠に高めている。1Fがセットバックし、少し暗い素材でまとめ上げているのも、とても良い。まちは複数の建物が集まって出来上がっているわけだが、こうした丁寧なものづくりは、美しい街を作っていく上ではとても大切なことだ。

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プラウド神田駿河台 ※グッドデザイン・ベスト100

グッドデザイン・ベスト100(2021年度グッドデザイン賞受賞対象の中で、審査委員会により特に高い評価を得た100件)に選ばれた。

プラウド神田駿河台

(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:野村不動産

物件概要:千代田区、14階建て、36戸、2021年2月竣工

都市に最も多く建つ中大規模のビルディングタイプである集合住宅が、果敢に高層・木造ハイブリッドに挑戦していることを評価したい。現時点では高価だが、工場での製作要素が増え、数も増えてくれば、短工期や職人の減少対応として価値も出るはずだ。内装にも木を利用しているが、従来の分譲マンションは均質な品質の採用が重要であるため、なかなか自然素材は利用されにくいはずであった。木造というコンセプトのもとに、分譲マンションにつきまとっていた常識が覆っていることも、その構造と同様に挑戦的である。

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ウエリス市谷加賀町

ウエリス市谷加賀町

(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

受賞企業:NTT都市開発

物件概要:新宿区、5階建て、20戸、2021年2月竣工

端正な佇まいの中に、工夫を凝らしたプランの集合住宅である。中コア・ドーナツ型の住戸配置によって、全ての住戸がコーナーリビングとなっていることは、敷地の中央に置かれた配置計画や、L型の平面計画とも相性が良い。また各住戸が皆少しずつプランが変わる計画も素晴らしい。一点指摘をする点があるとすれば、コーナーリビングの魅力を活かすためには、もうすこし開口部が大きい方がよかったのではないかと思われる。

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