羽田問題解決プロジェクト(大村究代表)は10月19日、衆院選挙の東京3区(品川・大田区の一部、島部)で立候補している2野党候補のうち、香西かつ介氏(共産)ではなく、松原仁氏(立憲)を応援することを表明した。
野党候補が一本化できなかった経緯を整理する。
羽田問題解決プロジェクト、松原氏(立憲)応援を表明
羽田問題解決プロジェクト(大村究代表)は10月19日、衆院選挙の東京3区(品川・大田区の一部、島部)で立候補している2野党候補のうち、香西かつ介氏(共産)ではなく、松原仁氏(立憲)を応援することを表明した。
いずれも「羽田低空飛行ルートの中止」に合意している2野党候補のうち、香西かつ介氏(共産)ではなく、松原仁氏(立憲)を応援することに決定した考え方につき、「総選挙への姿勢」としてA4ワンペーパーが公開されている(次図)。
松原氏(立憲)の応援に至った経緯
羽田問題解決プロジェクトが香西かつ介氏(共産)ではなく、松原仁氏(立憲)を応援するに至った経緯を以下に記す。
品川市民団体と2候補との政策協定合意書
品川の市民団体によって東京3区(品川・大田区の一部、島部)の候補一本化を視野に10月11日、 香西かつ介氏(共産)、松原仁氏(立憲)と同一内容の個別政策協定が成立している(次図)。
個別政策協定8項目のうち7項目目に「羽田低空飛行ルートの中止」が掲げられている。
- 憲法に基づく政治の回復
- 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
- 格差と貧困を是正する
- 地球環境を守るエネルギー転換と地球分散型経済システ人への移行
- ジェンダー視点に某づいた自由で公正な社会の実現
- 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
- 羽田低空飛行ルートの中止
- リニア新幹線計画の見直し
応援候補を判断する基準と優先順位
羽田問題解決プロジェクト(大村究代表)が10月19日に発表した「総選挙への姿勢」において、羽田問題解決プロジェクトは「羽田問題を解決するために有益な候補」を応援することとしている。
10月31日の衆議院応援の考え方を整理します。これまで区議選、都議選と、羽田問題を解決するために有益な候補を応援してきましたしが今回の総選挙も同じです。改めて申すまでもなく政治的な信条・所属政党ではなく、あくまでも羽田軸です。私たちプロジェクトは国交省の航空政策は批判していますが、政治的立場を掲げて政治活動一般を行っているわけではありません。
次に、応援候補を判断する基準と優先順位が示されている。
なお 一般的な応援候補優先選択基準は以下の通りです。
- 羽田新ルートをよしとしない立場を明確にとる候補であること。
- これまでの羽田問題への取り組みが効果的で、再当選がかなわないと羽田運動に大きな打撃 をもたらすと思われる現職候補であること。
- 非力なプロジェクトの応援でも、当落が分かれるような当落線上にいる候補であること。
※基本の判断基準と優先順位は以上1.>2.>3ですが、選挙の種類で当選数が1~複数のケースがあり、それ次第で応援する範囲や優先順位もより詳細に状況判断します。
羽田問題解決プロジェクトと共産陣営との調整過程
2候補とも政策協定合意書には完全合意しているものの、両候補への一本化に対しては「共産党側の難色で不調」に終わっている。
不調に終わった経緯は次の通り。
羽田問題解決プロジェクトは10月12日、共産陣営に品川での羽田問題解決の現実的な前進のため、共産党陣営に再要請文書を発出。
(前略)政治的な信条・立場の違いは、もとより理解しているつもりです。
しかしその上で、ここで品川区の「羽田問題」解決を思うとき、羽田に取り組む現職の衆議院議員が存在するかどうかは、極めて現実的に重要な問題です。なおかつ現在の選出現職は「羽田問題」に、特に国会において圧倒的に価値の高い活動をしています。
この状況がもしなくなった場合の羽田運動の痛手は計り知れません。羽田問題解決プロジェクトとしても、相当深刻な事態と想定します。
改めて要請します。喫緊の品川の重要な課題「羽田問題」を解決していくために、立場の違いを乗り越えた御党の英断に期待します。(以下略)
共産党品川地区委員会から統一候補の再要請に応じなかった回答として、立憲サイドから松原氏一本化要請がないことと、松原氏が日本会議に所属していることを掲げている。
(前略)お伝えしたとおり、東京3区については、立憲民主党の全国段階からも、都段階からも、全国的、全都的バランスのなかで、松原氏で一本化してほしいという要請はない、と聞いております。そのことも含めて、党中央委員会として東京3区では香西かつ介さんを擁立してたたかうという判断をしたということであり、私たちはそれを受けとめて全力をあげる決意です。
(中略)
なお、私たちは、松原氏が羽田新飛行ルート中止を主張しておられることは当然、承知しています。同時に、松原氏が、改憲右翼団体の日本会議に所属していることを、強く懸念しております。全国、品川の政策合意のなかで「憲法に基づく政治の回復」が第1の柱として確認されています。この課題も、品川区民にとって「一丁目一番地」というべき最重要課題のひとつです。これにてらしても、松原氏の立場は看過できないものと考えます。(以下略)
東京3区の選挙情勢
東京3区(品川・大田区の一部、島部)の立候補予定者は次の3名。
- 石原宏高(57)
自民、現4、慶大卒 - 松原仁(64)
立憲、現7、希望の党比例東京ブロックで復活当選、早大卒 - 香西克介(45)
共産、新、大森高卒
過去の戦績から類推すると、香西氏(共産)の勝ち目は低い(次図)。
香西氏(共産)が立候補したことで野党票が割れることから、石原氏(自民)に有利な状況が働いている。
「羽田新ルート周辺の衆議院議員選挙区(2021候補予定者まとめ)」より
ちなみに、週刊誌の予測(週刊現代10/23・30、週刊ポスト10/29)では、松原氏(立憲)と石原氏(自民)が競り合っている状況(次表)。香西氏(共産)には全く触れられていない。
「週刊誌の当落予測(まとめ)」から東京3区を抜粋
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