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羽田新ルート|降下角3.45度、パイロットらの懸念

羽田新ルートの運用開始(3月29日)に向けて、実際に乗客を乗せた旅客機を使った飛行試験(実機飛行確認)が1月30日から3月11日まで、うち7日間の予定で実施されている。

元日本航空機長杉江氏によると、都心上空を通過して羽田空港に着陸ルートで設定される降下角3.45度は世界のほぼ全てのパイロットは経験しておらず、羽田は世界で最も着陸が難しい空港となり、尻餅事故など多発しかねないと警告している。

この降下角3.45度について、現役のパイロットたちはどのように受け止めているのだろうか?

以下、専門用語が多くて門外漢には理解しにくいところもあるが、羽田新ルートが降下角3.45度で運用されることに、世界中のパイロットが大いに懸念していることだけは、よくわかった。


もくじ

国際定期航空操縦士協会連合会からの懸念

じつは、降下角3.45度に対する懸念の声が、海外の航空会社から挙がっているのである。
IFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会)は1月20日、Safety Bulletin 20SAB01「New Approaches For Haneda」(PDF:279KB)として、降下角3.45度に係る注意事項を発表(次図)。

※IFALPAは、世界100か国10万人を超えるパイロットを代表する組織体。

New Approaches For Haneda
(英文、A4判×3枚)

上記文書を受けて、IFALPAに加盟している日本の組織であるALPA Japan(日本乗員組合連絡会議)は同日、日本語版「羽田に関する新進入方式」(ワード形式)を公表している。

「懸念される点」として掲げられている内容を全文抜粋しておこう。

同時独立並行進入

 RNP進入は同時独立並行RNP進入という形で運航が行われる予定ですが、LNAVによる非精密進入も認められています。これはAPV(Approach Procedure with Vertical guidance)方式、つまり精密進入方式においてのみ許容されるICAOの推奨する方式に沿ったものではありません

通常より角度が大きい進入

 今回のRNP進入は3.45度で公示されています。この進入角は、「Steep Approach(急角度進入)」の要件に近いもので、この進入を行うために運航乗務員は運動エネルギーの適切なコントロールが求められます。

 夏季の数ヶ月間、外気温は40℃近くまで上昇することから、進入角は3.8度近くにまで達し、ほとんどのパイロットが今まで経験したものとは大きく異なる進入角を経験することになります。

その他、進入を続けるに当たり運動エネルギーを適切にコントロールする必要がある様々な要因があります。それは以下のような場合です:

  • 進入中に背風が急に向い風になった時によく起こることですが、航空機の運動エネルギーが増大すること
  • 最終進入の最後に、強い南風が吹き込んだ時
  • 最終進入の後半において、特にウィンドシアーが観測されるような状況においてエンジンの出力がすぐには上がらないことに対する懸念
通常とは異なる滑走路の見え方

 3度パスというのは世界標準であり、進入を継続する間、その角度を維持した滑走路の見え方はパイロットにとって見慣れた光景です。

 3.45度から3.8度(温度によって変化する)進入角は、この進入方式で飛行するパイロットにとって非常に違和感のある見え方となり、航空機がとても高い場所にいるように感じるものです(実際にそうなのですが)。こうした通常とは異なる見え方は、進入中にPAPIが白4つを示すこと、また滑走路が短縮運用されていることで更に悪い方へ向かいます。

 降下率は安定した気流という条件下で900fpmから1,000fpmの範囲になるでしょう。気流が乱れている時にはより大きな降下率となる可能性があります。
 GPWS(Ground Proximity Warning System)の警報で“Sink Rate”が進入中に発出されるかも知れません。

通常とは異なるフレア(着陸引き起こし操作)

 航空機は大きめの角度で、大きめの降下率で着陸のための引き起こし操作に入ります。フレア操作は強めの着陸(ハードランディング)を防止するため、修正操作が必要となります。

 フレア操作が不足ししたり多過ぎたりする危険性が増大するとハードランディングや着陸の延びすぎといった状況を引き起こす可能性が潜在的に増大します。

 夜間では引き起こし高度の判定が更に難しくなることが考えられます。

利用出来ないILS進入

 この進入を実施するパイロットは、RNP進入を受け入れることが「出来ない」のでILS進入を要求した場合、ILS進入が実施出来るまで順番待ちをすることとなり、長時間に渡る待機状態に入ることを計画しておかなければならないことを肝に銘じておく必要があります。

 RNP進入を実施中に進入復行や着陸復行を行った航空機が2度目の進入を行う時にILS進入を要求した場合でも、ILS進入を実施するまでの間、待機することを予想しなくてはなりません。

 複数の航空機がRNP進入を実施中に着陸のやり直しを実施した場合は、ILS進入がメインの進入方式となり、RNP進入は実施されなくなる、といった可能性はあると思います。

3.45 度 RNAV 進入を実施する場合の推奨手順

ALPA Japanは1月22日、より具体的な運航情報を記した追加文書として、羽田空港を離発着する航空会社の関係者宛に配布済みの「羽田新運用に関する追加情報」を公表している(次図)。

3.45 度 RNAV 進入を実施する場合の推奨手順


「3.45度RNAV進入を実施する場合の推奨手順」として、次の3つの方法が掲げられている。

  • 手順A
    公示された3.45度の進入角でVNAVを使用する方法

    公示された3.45度の進入角でVNAVを使用する方法

  • 手順B-1
    V/SModeやFPAModeを使用して、1,500ft付近で3度の進入角に会合する方法
    (FAF以降、対地1,500ft付近で3度の進入角に会合するにはISA状態で3.77度程度の深い進入角で降下する必要あり)
    ※イラストなし

  • 手順B-2
    いわゆる「TailoredData(特別仕立てのデータ)」を使用した進入
    (FMSにデータ入力をしたVNAV経路を使用して、対地1,500ft付近で3度の最終進入経路に会合する)

    「TailoredData(特別仕立てのデータ)」を使用した進入


「結論」として、気温が15度未満の場合や重量が軽い場合であれば、3.45度のRNAV進入方式は実施可能だが、そうでない場合には会社毎に特別仕立て(Tailored)の進入手順を設定することが推奨されている。

結論

気温が15度未満の場合や重量が軽い場合で、1,000ft未満において航空機の速度が対地170ktsを超えないような状況であれば、3.45度のRNAV進入方式を実施することは実施可能でしょう。

しかし、強めの追い風や擾乱を伴う横風が吹いている場合、着陸復行となる可能性があります。特に真夏の時期(過去10年間の東京における最高気温は38℃)に、航空機が接地するまで安定した進入を実施するためにも、会社毎に特別仕立ての進入手順を設定することを推奨します。

これによって、PAPIとの非整合や通常とは異なる着陸技倆の必要が無くなります。

  • PAPI(パピ、Precision Approach Path Indicator)とは、飛行場灯火のうち進入角指示灯の1つで、着陸しようとする航空機に適正な進入降下角度を示すために、航空機から見て滑走路の左側に設置された表示灯である。(PAPI - Wikipedia

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