杉並区議会「19年第3回定例会」決算特別委員会(10月4日)で、羽田新ルートに関して、川野たかあき議員(立憲)の質疑応答があった。
録画放映をもとに、テキスト化(約2千文字)しておいた。
※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。
飛行検査について
川野たかあき議員(立憲民主党、区議2期、上智大卒、43歳)
川野:飛行検査の実施について
羽田(新ルート)のほう、いきます。
先日、環境課のほうから「新飛行経路の決定と飛行検査の実施について」というペーパーをいただきました。内容、ご説明お願いします。
環境課長:8月30日から12月にかけて飛行検査を実施
「羽田空港の新飛行経路の決定と飛行検査の実施について」ですが、来年3月29日からの羽田空港における新飛行経路の運用開始に先立ちまして、新飛行経路を離着陸する航空機が安全に飛行できるようにするため国土交通省が今年の8月30日から12月にかけて検査のための小型飛行機を使用して、飛行検査を実施するというものでございます。
川野:飛行検査、杉並はいつ?
検査は杉並のほうは、いつになるんでしょうか。
環境課長:終わった
杉並区の上空を飛ぶのは1回だけ検査があるようだったんですが、そちらは先日ホームページを確認しましたところ、終わったということが出てございました。
川野:新飛行ルート、杉並の上は通らないという回答だった
事前に何日かというのはたしか分からなかったと思うんですけども、もう終わってるということなんですが、3年ほど前、私一般質問でこの新飛行ルートについて質問させていただいた時に、その検査ではなくて実際の運行が始まった場合でも杉並区は上空を通らないとお答えいただきまして、また、ちょうど先月なんですけども、ちょうど私、国交省の担当者に直接ヒアリングする機会がありまして、もう1回そこで聞いてみたんですけど、やっぱり杉並の上は通らないという回答だったんですが、しかし、今回飛行検査では杉並の上空を飛行したというわけなんですが、これはなぜなんでしょうか。
環境課長:電波の到達範囲を確認するために1回程度飛行
国交省によりますと、航空保安施設などが正常に機能しているかですとか、出発・進入方式などが安全上問題ないかなど、そういったものを検証するために実際の飛行ルートとは異なるルートで検査を行うとのことでして、杉並区の上空については電波の到達範囲を確認するために1回程度飛行しますというお話でございました。
説明会について
川野:上空飛行予定の地域以外でも積極的に説明会など開催すべき
いずれにしましても、以前の質問でも申し上げましたので、ここでは繰り返しませんけれども、新飛行ルートになった場合、様々な理由で、やはり予定とは違って、イレギュラー的に区の上空を飛行するという可能性が私は十分にあると思いますし、そういうこと言ってる専門家もいますし、またそうでなくても、中野ですとか渋谷とか港と品川とかそういった上空をすぐ上を飛行する地域に当然杉並区民がお出かけをするということも当然あるわけでして、やはり無関係であると言い切ることができないのかなあと考えます。
国交省の担当者の方に、上空飛行予定の地域以外でも積極的に説明会など開催すべきではないかと、ちょっと詰め寄ってみたところ、「各自治体が会場さえ用意してくれたらいくらでもやります」と、前向きなんだかよく分からないんですけれども、力強い回答いただきましたんで、せっかくなので、区のほうからもちょっとアプローチしていただいて、国による説明会というのを区で開催していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
環境課長:移動型の情報発信拠点、国と調整しているところ
国交省のほうからは、「要望があれば伺いますよ」ということをいただいておりますので、来年3月の運用開始に向けて移動型の情報発信拠点、説明のブースになりますけども、そういったもの何日か設置する方向で現在、国のほうと調整しているところでございます。
川野:時期?
時期の予定なんか分かれば。
環境課長:1月から2月の間くらいで
1月から2月の間くらいで、1階のロビーを使用してと考えているところでございます。
川野:今後運用されることの内容の説明、ホームページや広報で
ぜひお願いします。
万が一、区民が何かこの件で巻き込まれたりなんてことがあった場合に、「区は何も説明してくれてなかったじゃないか」なんてことになっては大変かと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
それも、1回というよりも、できれば何か所かで複数回とかやってもらったらいいかなと思いますし、説明会だけではなくて、別の形も何か必要ではないかと思います。
現在、飛行検査に関しては、区のホームページも載っけていただいてますが、これももう終わってるということなんで、たぶん内容変えないといけないんでしょうけども、その検査のことだけじゃなくて、今後運用されることの内容の説明ですとか、ということもホームページや、例えば広報に1度ぐらい載っけてみてもいいと思いますし、そういった工夫、ご検討いただければと思いますが、最後に伺って私の質問を終わります。
環境課長:区民の皆様に届きやすい周知・・・
区では現在、区ホームページなどで適宜お知らせしてるところでございますが、今後も引き続き、より分かりやすく区民の皆様に届きやすい周知をとなるように、工夫に努めてまいりたい。かように存じます。
雑感(お気楽な議論…)
羽田新ルートは杉並区上空を通過しない(次図)。そんなこともあり、杉並区議会での議論は特に気にかけていなかったのだが、決算特別委員会で立憲民主党の区議が羽田新ルート問題を取り上げたとの情報を得たので、今回チェックしてみた次第。
「騒音影響を受ける区民100万人超」より
すでに飛行検査は終わっていた
質疑応答を視聴していて、最も脱力させられたのは、杉並区上空の検査飛行の時期を尋ねられた環境課長の答弁だ。
杉並区の上空を飛ぶのは1回だけ検査があるようだったんですが、そちらは先日ホームページを確認しましたところ、終わったということが出てございました。
ホームページで確認したら、すでに飛行検査は終わっていたという、なんとも間の抜けた答弁。
羽田新ルートは杉並区上空を通過しないことになっている。なのになぜ、飛行検査の小型機は杉並区を飛んだのか。しかも、もう終わっていたという。
実はこういうことだ。
WAM(Wide Area Multilateration)の検査のための飛行が8月30日から9月2日の間で1回だけ実施されたのである(次表)。
WAMとは、航空機から送信される信号を4カ所以上の受信局で受信して、受信時刻の差から航空機の位置を測定する装置のこと。たしかに杉並区上空を1回程度通過する計画となっていた(次図)。
「飛行検査|羽田空港のこれから」掲載図にピンクを加筆
いまさらながらの情報発信拠点(展示パネル)
もうひとつ脱力させられたのは、川野議員が杉並区での説明会の開催を要望したことだ。
万が一、区民が何かこの件で巻き込まれたりなんてことがあった場合に、「区は何も説明してくれてなかったじゃないか」なんてことになっては大変かと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
羽田新ルートが上空を通過しない杉並区の区民にも、国がきちんと説明の機会を設けることの必要性は理解できる。ただ、いまさらながらの情報発信拠点(展示パネル)の設置は、「区民に周知しました」という役所や区議のエクスキューズに主眼が置かれているのではないのか。
旅客機を用いた試験飛行は来年の1月末に始まる予定。まるでこの時期に合わせたかのように、「1月から2月の間くらいで」情報発信拠点(展示パネル)を設置するという。
なんともお気楽な議論に時間を費やしているように見えるのだが……。
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