2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすため、都心上空を飛行する羽田新ルート計画。
23区のうち13区の上空に羽田新ルート が設定されているのに、いまだに4つの区(江東、目黒、大田、中野)では教室型説明会が実施されていない(5月25日現在)。
※【6月7日追記】江東区は6月19日に教室型説明会が実施されることになった。
⇒「江東区でも教室型説明会はじまる」
教室型説明会あり(9区)
羽田新ルートが設定されているのは13区。そのうち9つの区(港、新宿、品川、渋谷、豊島、北、板橋、練馬、江戸川)では昨年末から今年の6月にかけて順次、教室型説明会が開催されている(次表)。
教室型説明会未定4区(江東、目黒、大田、中野)
まだ教室型説明会が開催されていないのは、4つの区(江東、目黒、大田、中野)。
中野区と大田区は、「地域説明会」という名のオープンハウス型の説明会でお茶を濁されている。
- 中野区でこっそりと(?)オープンハウス型説明会
中野区役所7階会議室で、6月9日(日)14時~17時 - 3区(北・大田・板橋)でパネル展示
大田区役所1階で、5月25日(土)~5月30日(木)、9時~17時
江東区と目黒区では、まだ教室型説明会が開催されるという情報が流れてこない(5月25日現在)。
なぜ、教室型説明会が開催されない区があるのか
なぜ、羽田新ルートが設定されている13区のうち、4区(江東、目黒、大田、中野)では教室型説明会が開催されないのか?
開催されない可能性として考えられる項目は、次の3つ。
- 飛行高度の違い
- 影響を受ける区民数の違い
- 区議会のパワーバランスの違い
順番に検証してみよう。
飛行高度の違い?
羽田新ルートが通過する13区と教室型説明会の開催有無の関係を可視化したのが次図。
着陸ルートで比べてみると、目黒区や大田区よりも飛行高度が高い(すなわち飛行騒音が小さい)板橋区や北区でも教室型説明会は開催されている。また、離陸ルートで比べてみても、飛行高度に違いがない江戸川区では教室型説明会が開催されているのに、江東区では説明会が開催されていない。
したがって、教室型説明会の開催の有無は飛行高度の違いによるものではないと判断できる。
※図中の数値は騒音の影響を受ける可能性がある住民の割合
「羽田新ルート|騒音影響を受ける区民100万人超」に加筆
影響を受ける区民数の違い?
羽田新ルートが通過する13区につき、騒音被害などの影響を受ける可能性のある住民の数(=羽田新ルート直下から水平距離500mの範囲に住む住民の数)とその割合を可視化したのが次図。
教室型説明会が開催されていない目黒・江東・大田区は、騒音影響を受ける住民数が少なく、その割合も小さい。でも、中野区は、騒音影響を受ける住民数が多く、その割合も大きいが教室型説明会が開催されていない。
したがって、教室型説明会の開催の有無は、影響を受ける可能性のある住民数・割合だけで決定されているわけではないと判断できる。
区議会のパワーバランスの違い?
羽田新ルートの影響を受ける区民数が少ない3区(目黒・江東・大田)はともかく、練馬区に次いで影響人数が多い中野区で、なぜ教室型説明会が開催されないのか?
中野区議会では19年第1回定例会の一般質問(2月19日・20日)で誰も羽田新ルート問題を掲げていなかった。また、過去に1回だけ(17年の第4回定例会)、教室型説明会の開催を求めた陳情に対する採決があったが、賛成少数で不採択(否決)となっている。
※詳しくは、「中野区議会 第1回定例会「羽田新ルート問題」一般質問なし」参照。
中野区議会のパワーバランス(反対派と推進派の割合)は、4月に実施された統一地方選挙で、改選前の推進派(自公、都民F)56%が、改選後は45%に減少した(次図)。
改選後、推進派が5割を下回ったことで、教室型説明会開催の圧力が強まってもよさそうなものだが、5月25日現在そのような情報は聞えてこない。
中野区の立憲民主議員団(現、立憲民主党議員団)は、区議選前の1月25日、酒井直人中野区長に、教室型説明会の開催やテスト飛行の早期実現など記した要望書を提出している。その酒井直人中野区長は18年6月の区長選挙で、立民・国民民主党・自由党・社民党の推薦を受け推薦を受けて、自公推薦を破って当選している。
となると、中野区では近々に教室型説明会が開催されるのか……。