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UR賃貸、外国人労働者受け入れ拡大の受け皿か

政府は24年3月29日、人手不足の分野で一定の技能がある外国人労働者を受け入れる在留資格「特定技能」について、2024年度から5年間の受け入れ枠を82万人とすることを閣議決定。 

5年間で最大約82万人という外国人の居住環境はどのように確保されるのか。現実は国会での議論よりも先を行っていて、埼玉県川口市のUR芝園団地では、移民受け入れの社会実験が展開されている。

※投稿18年11月17日(更新24年10月30日)


もくじ

UR芝園団地は移民受け入れの社会実験(川口市芝園町)

中国人コミュニティで有名なのは、埼玉県川口市芝園町にあるUR都市機構が運営している芝園団地だ。

外国人(中国人とは限らない)の割合がドンドン増えている。キャパシティが約5千人だから、日本人が退去し、代わりに外国人がドンドン入れ替わっている。まるでオセロゲームのようだ(次図)。

川口市芝園町の人口推移
【データで見る】外国人が多い街「川口市」」より

中国人の増加はUR芝園団地内に止まらず、川口市の南西部、蕨市と隣接した地域にも拡大を続けている。

↓ 外国人占有率(外国人人口の占める割合)

外国人占有率(川口市)
川口市南西部で外国人増加!移民受け入れの社会実験か…」より

外国人が多いのは6つの区

23区内で外国人が多いのはどこか?

東京都のHPに「外国人人口」のデータが掲載されている。グラフにしてみると、6つの区(新宿、江戸川、足立、豊島、江東、板橋)の外国人の人口の増加が著しいことが分かる。(次図)。

外国人の人口推移(23区)
※詳しくは、「【データで見る】外国人が多い6つの区とは(東京23区)」参照。

 

では、外国人が多い地区はどこなのか?

新宿区大久保2丁目(1,692人)よりも江戸川区清新町1丁目(2,273人)の方が多いことはあまり認識されてないのではないだろうか。大久保2丁目はコリアタウンの一部、清新町1丁目はインド人が多いUR団地の一部。

  • 順位:町丁目_外国人人口/人口総数(外国人の割合)
  • 1位:江戸川区清新町1丁目_2,273人/10,528人(21.6%)
  • 2位:新宿区大久保2丁目_1,692人/7,268人(23.3%)
  • 3位:江東区大島6丁目_1,624人/9,709人(16.7%)
  • 4位:江東区大島4丁目_1,606人/7,997人(20.1%)
  • 5位:豊島区池袋2丁目_1,481人/6,526人(22.7%)

※詳しくは、「東京23区、外国人が多く住んでいる場所はどこか?(2020年 国勢調査)」参照。

URが外国人の受け皿になっている(江戸川区清新町1丁目)

外国人人口第1位の江戸川区清新町1丁目は、UR都市再生機構の分譲や賃貸の高層マンション(というか団地)が立ち並ぶ地域。

この15年間で、日本人が2,781人減少する一方で、外国人(多くはインド人)は1,707人増加。その結果、外国人の占める割合は4.9%から21.6%に上昇した(次図)。 

UR都市機構の分譲・賃貸マンション(団地)が外国人の受け皿になっている。

清新町1丁目の5年毎(2005~2020年)の人口推移
清新町1丁目(江戸川区)の外国人人口を可視化」より

6割が外国人(葛飾区西新小岩2丁目)

清新町1丁目よりもさらに外国人の受け皿になっている地域は、葛飾区西新小岩2丁目。

外国人の人口では清新町1丁目が多いが、外国人が多く住んでいる割合が高いエリア では葛飾区西新小岩2丁目が高いのだ。

総人口に占める外国人の割合は24年度に6割を突破した。

葛飾区西新小岩2丁目_人口の推移
詳しくは、「UR賃貸・都営住宅、外国人の増加に貢献!? 西新小岩2丁目(葛飾区) 」参照。

なぜUR賃貸には外国人が多いのか?

URの賃貸住宅は礼金・手数料・更新料・保証人なしを売りにしていて、外国人が入居しやすい条件が整っている。

それ以外に考えられるのは二つ。

UR賃貸の入居促進活動の成果!?

政府は13年12月24日に「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(PDF:436KB)を閣議決定した。特に都市再生機構に対して、講ずべき措置として、「適切な家賃収入を確保する」ことが掲げられている。

(略)平成26年から、稼働率など需給の状況に応じた募集家賃の引下げや引上げを機動的かつ柔軟に行うとともに、平成27年度中に継続家賃の引上げ幅の拡大等の家賃改定ルールの見直しを行い、適切な家賃収入を確保する。また、低所得の高齢者等に対する政策的な家賃減額措置について、公費で実施することを検討し、平成26年度中に結論を得る。(略)

同閣議決定を踏まえ、UR都市機構が14年3月31日に発表した「経営改善に向けた取組みについて」(PDF584KB ※リンク切れ)には、「入居促進・販売活動による収益の確保に努め」と記されている(P1)。

UR都市機構が14年度から空き家を埋める努力を強化した結果、外国人の入居数が増加し始めたのではないのか。

外国人住民に係る入管法等改正法

2つ目に考えられる理由は、外国人住民に係る入管法等改正法が12年(平成24年)7月9日に施行されたこと。これに伴い、住民基本台帳法の一部を改正する法律が施行され、外国人住民が住民基本台帳法の適用対象に加えられた。その結果、UR賃貸の外国人が時間の経過とともに増えていった……。

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