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UR賃貸・都営住宅が外国人の増加を後押し? 西新小岩2丁目の人口動態の謎(葛飾区)

葛飾区西新小岩2丁目は、東京23区で外国人比率が2番目に高いエリアだ。葛飾区の公開データ(住民基本台帳ベース)によれば、2024年度には外国人比率は6割を突破。

なぜ、この住宅地に外国人が集まるのか。その背景には、UR賃貸や都営住宅の特性、そして国の政策が絡んでいる。データを紐解きつつ、真相に迫る。

※投稿日:2017年11月22日(更新:2025年7月8日)


もくじ

外国人の割合は23区で2位(再掲)

東京23区、外国人が多く住んでいる場所はどこか?(2020年 国勢調査)」で、外国人が多く住んでいる割合が高いエリアTOP10を紹介した。

葛飾区西 新小岩2丁目は、2位(39.1%)

  • 1位:江東区青海2丁目_708人/831人(85.2%)
     東京国際交流館として留学生・研究者宿舎4棟(総戸数・室数796)が牽引
  • 2位:葛飾区西新小岩2丁目_260人/665人(39.1%)
     UR賃貸(2棟・349戸)と都営住宅(2棟・60戸)の影響
  • 3位:新宿区百人町2丁目_1,122人/4,267人(26.3%)
     大久保から百人町にかけて、コリアタウン
  • (4位以下は省略)

※国勢調査の人口と住民基本台帳による人口は必ずしも一致しない。

西新小岩2丁目の39.1%は、UR賃貸と都営住宅の存在が大きく影響している。では、なぜこのエリアで外国人比率が急上昇しているのか、データから探ってみよう。

外国人6割超えの急増トレンド

葛飾区のホームページに、平成23年(2011年)4月以降の「世帯と人口」データ(住民基本台帳ベース)が公開されている。特に、平成24年(2012年)8月1日以降は町丁名別のデータが日本人と外国人別に公開されているので可視化してみた(次図)。

  • 総人口

    2012年度は約1,000人。2015年度から増加し、2017年度に1,000人超を記録後、2018年度末に約800人まで減少。その後、2023年度に再び1,000人を突破

  • 日本人

    2013年度の約700人をピークに減少し、2022年度以降は約400人で安定

  • 外国人

    2012年度は約300人。2014年度から増加し、2017年度に500人超を記録後、2018年度末に約400人まで減少。2023年度には600人を突破

  • 外国人比率

    2012年度の約3割から上昇し、2017年度に5割超。18年度末には45%程度まで減少。その後漸増し、24年度に6割を突破した。

葛飾区西新小岩2丁目【人口】の推移

要するに、日本人が減る一方、外国人が増え続けている。

特に興味深いのは、外国人女性が男性の約2倍(次図)。

葛飾区西新小岩2丁目【人口】の推移(男女別)

国籍や年齢の詳細データがないため明確な理由は不明だが、介護職や家族帯同の女性が多い可能性が高い。

現地調査が必要だが、まずはこの急増の背景を掘り下げる。

なぜ外国人が増え続けるのか?

西新小岩2丁目の外国人増加には、3つの要因が絡んでいる。

(1)UR賃貸と都営住宅だけの特殊な地区

西新小岩二丁目(Google マップ)には、居住施設として、UR都市機構の賃貸マンションと都営住宅しか建っていないという特殊性がある。各建物の概要は次のとおりだ。

  • UR都市機構西新小岩リバーハイツ
    1981年竣工、2棟、総戸数349戸(1号棟221戸+2号棟128戸)、9~14階建て
  • 都営西新小岩二丁目アパート
    1979年竣工、2棟、総戸数60戸(3号棟32戸+4号棟28戸)、5階建て

UR賃貸は礼金・手数料・更新料・保証人不要を売りにし、外国人にとって入居のハードルが低い。一方、都営住宅は低所得者向けだが、所得制限がある。これらの住宅が外国人居住者を引き寄せている。

(2)URの入居促進策が効いた!?

2014年度から外国人比率が急上昇している。これは、UR都市機構の経営戦略とリンクする。

政府は2013年12月24日に「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(PDF:436KB)を閣議決定した。特に都市再生機構に対して、講ずべき措置として、「適切な家賃収入を確保する」ことが掲げられている。

(略)平成26年から、稼働率など需給の状況に応じた募集家賃の引下げや引上げを機動的かつ柔軟に行うとともに、平成27年度中に継続家賃の引上げ幅の拡大等の家賃改定ルールの見直しを行い、適切な家賃収入を確保する。また、低所得の高齢者等に対する政策的な家賃減額措置について、公費で実施することを検討し、平成26年度中に結論を得る。(略)

同閣議決定を踏まえ、UR都市機構が2014年3月31日に発表した「経営改善に向けた取組みについて」(PDF584KB ※リンク切れ)には、「入居促進・販売活動による収益の確保に努め」と記されている(P1)。

空き家を埋めるため積極的な入居促進を行い、外国人の入居が増えた可能性が高い。特に、新小岩駅(東京駅まで15分)の利便性や低い家賃が、外国人労働者や家族連れを惹きつけた。

(3)入管法改正の影響

2012年7月の入管法等改正により、外国人住民が住民基本台帳法の適用対象に加えられた

これにより、外国人登録が円滑化し、時間の経過とともに西新小岩2丁目の外国人住民が増加した。特に、2019年の特定技能ビザ導入後、介護やサービス業に従事する外国人女性の流入が加速した可能性がある。

世帯数が総戸数の1.5倍の謎

西新小岩2丁目の世帯数の推移を次図に示す。

葛飾区西新小岩2丁目【世帯数】の推移

2024年12月1日時点の世帯数は、日本人221世帯、外国人363世帯、複数国籍(日本人・外国人混合)10世帯、合計594世帯。一方、UR(349戸)と都営住宅(60戸)の総戸数は409戸。世帯数が戸数の1.45倍に達する。

この差(185世帯)は何か?

可能性としては、1戸を複数世帯でシェアするケースが考えられる。これは問題ないが、住民票の登録住所と実態が乖離しているケースは問題だ。

例えば、2017年11月時点で、UR西新小岩リバーハイツで中国人が運営する違法民泊が1件確認されている。住民票と居住実態の不一致の一例だ。

 

UR賃貸の運営資金のかなりの部分が、財政融資資金という企業や国民の預金を源泉とした低利な融資に依存している(URは賃貸マンションを適切に管理できているか?)。もちろん都営住宅は都税が投入されている。よって、UR都市機構と東京都は、住民票と実態の整合性を厳格にチェックする責任がある。

結論:URと都営住宅が外国人増加の鍵

西新小岩2丁目の外国人比率6割超は、UR賃貸と都営住宅の低ハードルな入居条件、URの積極的な入居促進、2012年以降の入管法改正が重なった結果だ。

特に外国人女性が男性の2倍という点は、介護職や家族帯同の影響が大きいと推測される。

ただし、世帯数と戸数の乖離や違法民泊の事例は、適切な管理が求められる課題だ。

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