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UR賃貸・都営住宅、外国人の増加に貢献!? 西新小岩2丁目(葛飾区)

西新小岩2丁目(葛飾区)は、外国人が占める人口の割合が23区で2番目に多い。

なぜ、同地区では外国人が増えているのか……。

※投稿17年11月22日(更新24年10月28日)


もくじ

外国人の割合は23区で2位(再掲)

東京23区、外国人が多く住んでいる場所はどこか?(2020年 国勢調査)」で、外国人が多く住んでいる割合が高いエリアTOP10を紹介した。

葛飾区西 新小岩2丁目は、2位(39.1%)

  • 1位:江東区青海2丁目_708人/831人(85.2%)
     東京国際交流館として留学生・研究者宿舎4棟(総戸数・室数796)
  • 2位:葛飾区西新小岩2丁目_260人/665人(39.1%)
     UR賃貸(2棟・349戸)・都営住宅(2棟・60戸)の影響
  • 3位:新宿区百人町2丁目_1,122人/4,267人(26.3%)
     大久保から百人町にかけて、コリアタウン
  • (4位以下は割愛)

※国勢調査の人口と住民基本台帳による人口は必ずしも一致しない。

2位の葛飾区 西新小岩2丁目について、もう少し掘り下げて分析してみよう。

外国人の割合が6割を突破

葛飾区のホームページに、平成23年(2011年)4月以降の「世帯と人口」データ(住民基本台帳ベース)が公開されている。特に、平成24年(2012年)8月1日以降のデータには町丁名別の「世帯と人口」データが日本人と外国人別に公開されているので可視化してみた(次図)。

ザックリ言うと、日本人の人口は減少し、外国人の人口は増加傾向にあるということ

  • 日本人と外国人を合わせた人口
    12年度に1千人弱であったが、15年度以降増加し始め、17年度に1千人を超えたあと、18年度末には800人程度まで減少。その後漸増し、23年度に1千人を突破した。
  • 日本人の人口
    13年度の700人弱をピークに漸減し、22年度以降400人程度で推移している。
  • 外国人の人口
    12年度に300人程度であったが、14年度以降増加し始め、17年度に500人を超えたあと、18年度末には400人程度まで減少。その後漸増し、23年度に600人を突破した。
  • 総人口に占める外国人の割合
    12年度に30割程度であったが、14年度以降増加し始め、17年度に5割を超えたあと、18年度末には45%程度まで減少。その後漸増し、24年度に6割を突破した。

葛飾区西新小岩2丁目【人口】の推移

なぜ外国人が増加し続けているのか?

考えられる主な原因は3つ。

(1)UR賃貸と都営住宅のみという地区性

ひとつは、西新小岩二丁目(Google マップ)には、居住施設として、UR都市機構の賃貸マンションと都営住宅しか建っていないという特殊性がある。各建物の概要は次のとおりだ。

  • UR都市機構西新小岩リバーハイツ
    1981年竣工、2棟、総戸数349戸(1号棟221戸+2号棟128戸)、9~14階建て
  • 都営西新小岩二丁目アパート
    1979年竣工、2棟、総戸数60戸(3号棟32戸+4号棟28戸)、5階建て

URの賃貸住宅は礼金・手数料・更新料・保証人なしを売りにしていて、外国人が入居しやすい条件が整っている。

※都営住宅のほうは、ある一定の所得以下でないと入居できない。

(2)UR賃貸の入居促進活動の成果!?

二つ目に考えられる理由としては、2014年4月以降に外国人の割合が増加した時期と関係してそうだ。

政府は2013年12月24日に「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(PDF:436KB)を閣議決定した。特に都市再生機構に対して、講ずべき措置として、「適切な家賃収入を確保する」ことが掲げられている。

(略)平成26年から、稼働率など需給の状況に応じた募集家賃の引下げや引上げを機動的かつ柔軟に行うとともに、平成27年度中に継続家賃の引上げ幅の拡大等の家賃改定ルールの見直しを行い、適切な家賃収入を確保する。また、低所得の高齢者等に対する政策的な家賃減額措置について、公費で実施することを検討し、平成26年度中に結論を得る。(略)

同閣議決定を踏まえ、UR都市機構が2014年3月31日に発表した「経営改善に向けた取組みについて」(PDF584KB ※リンク切れ)には、「入居促進・販売活動による収益の確保に努め」と記されている(P1)。

UR都市機構が14年度から空き家を埋める努力を強化した結果、外国人の入居数が増加し始めたのではないのか。

(3)外国人住民に係る入管法等改正法

3つ目に考えられる理由は、外国人住民に係る入管法等改正法が2012年(平成24年)7月9日に施行されたこと。これに伴い、住民基本台帳法の一部を改正する法律が施行され、外国人住民が住民基本台帳法の適用対象に加えられた。その結果、同地区の外国人が時間の経過とともに増えていった(?)

世帯数が総戸数の1.5倍!?

西新小岩2丁目の世帯数の推移を次図に示す。

葛飾区西新小岩2丁目【世帯数】の推移


西新小岩2丁目の世帯数は2024年10月1日現在、日本人220世帯、外国人366世帯、複数国籍(日本人と外国人の混合世帯)10世帯。合計596世帯。

一方、「UR都市機構西新小岩リバーハイツ(総戸数349戸)」と「都営西新小岩二丁目アパート(総戸数60戸)」の合計戸数は409戸。

この地区には、総戸数409戸に対して1.46倍もの596世帯が住んでいることになる。その差187世帯(=596-409)は何なのか?

マンション/アパートで1戸を別世帯がシェアしているということなのか(問題ない)。

住民票の登録住所をダミーでシェアしていることはないのか(問題あり)。

少なくとも、UR都市機構西新小岩リバーハイツで、中国人が運営している家主不在型の違法民泊が1件観測されている(17年11月22日現在)。住民票と実態が乖離している1例である。

UR賃貸の運営資金のかなりの部分が、財政融資資金という企業や国民の預金を源泉とした低利な融資に依存している(URは賃貸マンションを適切に管理できているか?)。もちろん都営住宅は都税が投入されている。よって、UR都市機構と東京都は国民・都民に対して、住民票と居住実態をキチンとチェックする義務がある。

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