不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


UR賃貸が外国人の増加に貢献!? 西新小岩2丁目

西新小岩2丁目(葛飾区)は、外国人が占める人口の割合が23区で4番目に多い。

なぜ、同地区では外国人が増えているのか……。


もくじ

外国人の割合は23区で4位

先日のブログ記事「東京23区で外国人が多く住んでいる場所はどこか?」で、最新(2015年)の国勢調査データをもとに、外国人が多く住んでいる割合が高いエリアTOP10を紹介した。

葛飾区西 新小岩2丁目は、4位(37.8%)。

  • 1位:江東区 青海2丁目 777人/1,035人(75.1%
    東京国際交流館として留学生・研究者宿舎4棟(総戸数・室数796)

  • 2位:港区 愛宕2丁目 206人/512人(40.2%)
    高級賃貸タワーマンション「愛宕グリーンヒルズ フォレストタワー(42階建て、総戸数353戸)」の影響

  • 3位:新宿区 大久保1丁目 1,703人/4,402人(38.7%)
    大久保から百人町にかけて、コリアタウン

  • 4位:葛飾区 西新小岩2丁目 364人/963人(37.8%)
    UR都市機構「西新小岩リバーハイツ(2棟、総戸数339戸)」の影響

4位の葛飾区 西新小岩2丁目について、もう少し掘り下げて分析してみよう。

外国人の割合が5割を突破

葛飾区のホームページに、平成15年(2003年)4月以降の「世帯と人口」データが公開されている。特に、平成24年(2012年)8月1日以降のデータには町丁名別の「世帯と人口」データが日本人と外国人別に公開されているので可視化してみた(次図)。

この5年間、日本人と外国人を合わせた人口は1千人前後とあまり変わらないものの、日本人の減少と呼応する形で外国人(中国人とは限らない)が増えている。

特に、14年4月以降、外国人の割合が上昇し、17年5月には遂に5割を上回った。2人に1人が外国人!

葛飾区西新小岩2丁目の人口推移

なぜ、2014年度以降、外国人が増加し続けているのか?

考えられる主な原因は3つ。

1. UR賃貸と都営住宅だけという地区性

ひとつは、西新小岩二丁目(Google マップ)には、居住施設として、UR都市機構の賃貸マンションと都営住宅しか建っていないという特殊性がある。各建物の概要は次のとおりだ。

  • UR都市機構西新小岩リバーハイツ
    1981年竣工、2棟、総戸数339戸、14階建て
  • 都営西新小岩二丁目アパート
    1979年竣工、総戸数55戸、5階建て

URの賃貸住宅は礼金・手数料・更新料・保証人なしを売りにしていて、外国人が入居しやすい条件が整っている。

※都営住宅のほうは、ある一定の所得以下でないと入居できない。

2. UR賃貸の入居促進活動の成果!?

二つ目に考えられる理由としては、2014年4月以降に外国人の割合が増加した時期と関係している。

政府は2013年12月24日に「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(PDF:436KB)を閣議決定した。特に都市再生機構に対して、講ずべき措置として、「適切な家賃収入を確保する」ことが掲げられている。

(略)平成26年から、稼働率など需給の状況に応じた募集家賃の引下げや引上げを機動的かつ柔軟に行うとともに、平成27年度中に継続家賃の引上げ幅の拡大等の家賃改定ルールの見直しを行い、適切な家賃収入を確保する。また、低所得の高齢者等に対する政策的な家賃減額措置について、公費で実施することを検討し、平成26年度中に結論を得る。(略)

同閣議決定を踏まえ、UR都市機構が2014年3月31日に発表した「経営改善に向けた取組みについて」(PDF584KB)には、「入居促進・販売活動による収益の確保に努め」と記されている(P1)。

UR都市機構が14年度から空き家を埋める努力を強化した結果、外国人の入居数が増加し始めたのではないのか。

3. 外国人住民に係る入管法等改正法

3つ目に考えられる理由は、外国人住民に係る入管法等改正法が2012年(平成24年)7月9日に施行されたこと。これに伴い、住民基本台帳法の一部を改正する法律が施行され、外国人住民が住民基本台帳法の適用対象に加えられた。その結果、同地区の外国人が時間の経過とともに増えていった(?)

世帯数が総戸数の1.4倍の怪

西新小岩2丁目の世帯数は2017年11月1日現在、日本人250世帯、外国人304世帯、複数国籍(日本人と外国人の混合世帯)13世帯。合計567世帯。

一方、「UR都市機構西新小岩リバーハイツ(総戸数339戸)」と「都営西新小岩二丁目アパート(総戸数55戸)」の合計戸数は394戸。

この地区には、総戸数394戸に対して1.4倍もの567世帯が住んでいることになる。その差173世帯(=567-394)は何なのか?

戸建てであれば二世帯住宅というのも考え得るが、マンション/アパートで1戸を二世帯がシェアしているということなのか?

住民票の登録住所をダミーでシェアしていることはないのか?

少なくとも、UR都市機構西新小岩リバーハイツで、中国人が運営している家主不在型の違法民泊が1件観測されている(11月22日現在)。住民票と実態が乖離している1例である。

UR賃貸の運営資金のかなりの部分が、財政融資資金という企業や国民の預金を源泉とした低利な融資に依存している(URは賃貸マンションを適切に管理できているか?)。UR都市機構は国民に対して、住民票と居住実態をキチンとチェックする義務がある。

あわせて読みたい

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.