来年6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に向けて、東京23区内では、次の11つの区で民泊条例の骨子案などが示されたことが観測されている。
23区でAirbnbの登録件数が下から3番目の江戸川区(約240件、12月1日現在)では、民泊条例の検討はどの程度進んでいるのか?
ヒントは、江戸川区議会の答弁にある。
ただ、残念ながら江戸川区議会では、定例会の「11月会議」では民泊に係る質疑応答はみられない。公開されている資料としては、10月に開催された「決算特別委員会」まで遡のぼらなければならない。
「決算特別委員会」のうち、民泊に言及しているのは、10月6日の瀬端勇議員(共産)と10月8日の小俣則子議員(共産)の二人。小俣則子議員のほうは「総括意見」なので、区の答弁がない。そこで、瀬端勇議員の質疑応答の議事録から、要点を整理してみた。
結論を先に言えば、10月の決算特別委員会の段階では、条例で宿泊事業者らの責務を明確化するに留まっている。
※質疑応答の詳細を読む時間のない方は、最後の「まとめ」をお読みください。
質疑応答のポイント
瀬端議員:民泊新法に対して具体的な対応は?
(前略)都知事への届出だけで営業が認められると、こういう新法というのは、私は違法民泊を事実上合法化するような、そういうものではないかという不安が非常に強くあります。
しかも管理組合で今年総会が終わっちゃって、実際に施行されるまでの間に期間がないというような状況のもとで、去年の本会議のさっき言った2定(第2回定例会)の一般質問で、民泊問題どうするんですかという私たち質問しました。
それに対して、まだ、新法の案が出ていないから新法の案が出たらそれに対応して、対応しますというような答弁でした。
それ、具体的に何か新法の案が去年の6月に何か出て、今年の6月に決まったわけだけれど、その具体的な対応、答弁に基づく対応って何かあったんですか。
生活衛生課長:宿泊事業者らの責務を明確化する
2定(第2回定例会)ではそのようにお話をさせていただきました
。
法律は公布されているのですけれども、その後の政省令、ここに細かい事項が入ってくる予定になっておるのですけれども、これが、当初8月といっておりました。
ところが、それがちょっと遅れていまして、どうやら今月中にはという情報も入ってきてございます。
そこで、いろいろ細かいことがつまびらかになってきますので、それ(政省令)を見た上、期間はかなりスケジュールタイトでございますが、それに基づいた対応をとっていきたいというふうに思ってございます。
先ほど申し上げたとおり、川上からインターネットの仲介業者ですとか、そういったところの業務責務、それから、管理業者の責務、それと、実際に宿泊事業をやる大本の事業者の責務というのが明確になりますので、野方図になるということではないので、その辺はご理解いただきたいというふうに思ってございます。
瀬端議員:民泊の可否を決めるマンション管理規約の改正への対応は?
(前略)不特定多数の人が出入りしたり、騒音とかごみの問題とかマナー違反とか、さまざまなリスクでトラブルにもつながりかねません。住環境にも影響を及ぼしかねない。
そういう民泊の可否を決める管理組合の改正に、総会で必要な票数は区分所有法で4分の3の賛成が必要に基づいて規約の改正があるわけです。
そういう点、ちょっとやはり政省令待ってとか、全くもう期間がない中で、どういうふうにして考えて、どういうふうにしようと考えているのか、住環境を守るために、もう一回お答えいただきたい。
住宅課長:しっかりと周知したい
区としては、この部分しっかりと周知やっていきたいと思っております。
まとめ
民泊新法に対して区は具体的にどのように対応しようとしているのかといった区議(共産)の質問に対して、生活衛生課長は下記のように、条例で宿泊事業者らの責務を明確化する旨を回答している。
- (政省令)を見た上、期間はかなりスケジュールタイトでございますが、それに基づいた対応をとっていきたい
- インターネットの仲介業者ですとか、そういったところの業務責務、それから、管理業者の責務、それと、実際に宿泊事業をやる大本の事業者の責務というのが明確になります