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元旦の朝、税務署が空からあなたの資産をチェック

元旦の朝から固定資産税調査のセスナ機が首都圏上空を飛び回っていることをご存じだろうか。


もくじ

元旦午前中、セスナ4機が飛び回っていた

飛行経路が確認できるFlightradar24で調べて見ると、調布飛行場を出発した4機のセスナが特定のエリアをなめるように飛行している様子が分かる(次図)。

セスナ機による空撮状況(21年1月1日)
(flightradar24 21年元旦12時現在)

 

4機のセスナは元旦の午前中、2時間から4時間かけて飛び回っていたのだ(次表)。

セスナ機による空撮状況(21年1月1日)

 

ちなみに、1月2日は2機のセスナが相模原市周辺と横浜市周辺を飛行していた(次図)。

セスナ機による空撮状況(21年1月2日)
(flightradar24 21年1月2日11時47分現在)

 

さらにいうと、12月31日には3機のセスナが埼玉県(日高市、越谷市・春日部市)と千葉県房総半島南部を飛行していた(次図)。

2機のセスナが埼玉県(日高市、越谷市・春日部市)と千葉県房総半島南部を飛行
(flightradar24 20年12月31日12時9分現在)

 

※【1月3日追記】1月30日(木)、1月3日(日)はセスナ機によるスキャン飛行はなかった。

家屋の経年変化を空からチェック

これらのセスナ機は年末年始に、いったい何をしていたのか?

「都政新報」のちょっと古い記事ではあるが、都主税局は、原則として毎年1月1日時点で23区内全域の空撮を行っているという。

新築・増改築 空撮で判別/固定資産税課税額の決定へ/前年の航空写真と比較

新築や増改築された家屋に固定資産税を課税するため、都主税局は、原則として毎年1月1日時点で23区内全域の空撮を行っている前年の航空写真と比較して、対象となる家屋を発見した後、職員による現地調査を経て、課税額を決める仕組みだ。航空写真を基に、コンピューター機器で増改築などを見極めるため、精度が高いという。(以下略)

(都政新報 14年1月14日)

 

さいたま市は空撮写真の家屋識別に20年1月からAIを本格的に活用するという記事も。

さいたま市、固定資産税の業務にAI導入 作業時間9割削減へ

さいたま市は固定資産税の評価業務で人工知能(AI)を活用する。課税対象となる家屋の新築や増築などを判断する際、これまでは年初に航空撮影した家屋の写真を委託業者や市の職員が前年の写真と目視で比較していた。これをAIに代えることで調査時間を約9割削減し、効率よく業務を進める。

本格的な活用は2020年1月から始める。AIは航空写真をもとに、前年なかった新しい家屋や増築された家屋などを自動で認識するほか、変化のあった箇所を地図上で示せる。従来、委託業者が変化のあった箇所を一覧にまとめて市職員が地図上に落とし込んでいたが、この作業がなくなる。

AIが的確に家屋の有無を判断できるため、職員が現場に赴いて調査する時間も削減できる。固定資産税の評価業務には586時間かかっていたが、AIの導入で63時間まで減らせるとみる。NECソリューションイノベータ(東京・江東)がAIの開発に携わった。(以下略)

(日経新聞 19年8月2日)

NECソリューションイノベータ社のホームページには、深層学習アルゴリズムで全家屋の異動の有無・種別を判定する「AI家屋異動判読サービス」が掲載されている(次図)。

NECソリューションイノベータ

AIで各家屋の経年異動の有無・異動種別自動判定し、最後は目視によって判読結果を確認する(次図)。

目視による判読結果確認

評価替え基準日(1月1日)に空撮が集中

なぜ、多くの国民が寛いでいる元旦の朝にからセスナ機を飛ばしているのか?

航空写真を活用した固定資産の現況調査の推進について(平成5 年 6 月22 日自治評第 26 号各都道府県総務部長、東京都総務・主税局長宛て自治省税務局資産評価室長通達)」以降、多くの自治体が空中写真撮影を活用し調査を実施している。

固定資産の評価替えが行われる3年ごとに空撮を実施している自治体が多いが(次図)、毎年撮影を行っている市町村が多い県は、埼玉県、千葉県、東京都、愛知県、大阪府となっている。

撮影周期「固定資産税調査用空中写真撮影の実態に関する調査 報告書」

国土地理院「固定資産税調査用空中写真撮影の実態に関する調査 報告書 2018年2月」P7より

評価替えの基準日は1月1日なので、この時期に空中撮影が集中するというわけだ。

空撮による固定資産調査結果が大きな収入源につながっている大都市圏では、年末年始の恒例行事となっていたのである。

 

※【1月4日追記】ブログのタイトルは「・・・税務署・・・」としているが、正確にいえば、課税主体は、「その固定資産の所在する市町村」(地方税法第5条第2項)である。また、東京23区内では、区ではなく都が課税している(地方税法第734条)。

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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