南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートの運用が開始されたのは20年4月3日。
新型コロナの影響により国内線・国際線ともに大幅な減便が続いているなかで、羽田新ルートの運用が強行されている。
2020年の運用実績(南風時の到着ルート)7千機超を可視化する。
- 【月次変化】8月ピーク(23日間、1,800機超)
- 【機/日】8月初旬ピーク:Aルート30機超、Cルート60機超
- 【機/時】8月初旬ピーク:Aルート10機超、Cルート20機超
- 【機材】国交省計画よりも大型機の割合が小さい
【月次変化】8月ピーク(23日間、1,800機超)
南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートが運用された機数・日数ともに、9月以降大幅に減少している(次図)。
猛暑になるとゴーアラウンドが増えるというような事象は、20年夏は特に確認できなかった(次図)。
※気温が上昇して空気密度が低くなると、揚力が小さくなるので、操縦難度が上がりゴーアラウンドが増えると指摘されている。
猛暑に関連した記事については、以下参照。
【機/日】8月初旬ピーク:Aルート30機超、Cルート60機超
5月まで続いていた減便は、6月、7月と回復に向かい、8月初旬には、A滑走路到着ルートは1日あたり30機を、C滑走路到着ルートは1日あたり60機を超えた。
8月中旬を過ぎて減少傾向の後、9月下旬に入り足踏み状態が続いていたが、10月下旬から増加の兆候あり(次図)。
※ところどころ機数が大幅に少ないのは、当日の運用時間が短かったことによる。
※実機飛行確認の機数はflightradar24で、運用開始後の機数は「羽田空港飛行コース」の航跡動画をもとに調べた(以下、同じ)。
上図を月の平均値・中央値に集計したのが次図。
(到着ルート説明図)破線は「悪天時」ルート
【機/時】8月初旬ピーク:Aルート10機超、Cルート20機超
1時間当たりの通過頻度の推移を下図に示す。
国交省の計画では、A滑走路到着ルートは1時間当たり14回(4分17秒ごと)、C滑走路到着ルートは1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で飛ぶことになっている。
ところが、新型コロナの影響による減便が著しく、4月下旬以降、A滑走路到着ルートでは1時間当たり5機程度、C滑走路到着ルートでは1時間当たり10機程度だった。
6月、7月はA・C滑走路到着ルートともに回復に向かい、8月初旬にはA滑走路到着ルートは1時間あたり10機を、C滑走路到着ルートは1時間あたり20機を超えた。
8月中旬を過ぎて減少傾向が見られたが、9月下旬に入り足踏み状態が続いたあと、10月下旬から増加の兆候あり(次図)。
※ところどころC滑走路到着ルートの通過頻度が跳ね上がっているのは、当日同ルートの運用時間が短かったことによる。
上図を月の平均値・中央値に集計したのが次図。
【機材】国交省計画よりも大型機の割合が小さい
機材区分別(小・中・大型機)の通過機数の推移を可視化したのが次図。
4月初旬に45機前後飛行していた小型機は、4月下旬以降半減。中型機も同様の傾向が見られた。
6月以降8月中旬まで、小・中・大型機ともに増加。8月中旬を過ぎて小・中・大型機ともに減少傾向が見られたが、10月下旬から増加傾向が見られる。
国交省の説明資料によれば、羽田空港で使われている飛行機は、小型機48%、中型機25%、大型機26%となっている(次図)。
FAQ冊子v6.2_P58
一方、筆者の調査では、国交省データ(19年1月時点)と比べて大型機の割合が小さく、そのぶん小・中型機の割合が大きくなっていることが分かる(次図)。
したがって、本来の飛行騒音状況はもっと酷いことに要留意。
年間を通して最も多い機材はボーイング737-800(小型機)の2,671
機(38%)。
※機材区分は概ね、大型機(300席以上)、中型機(200~300席)、小型機(200席未満)とした。
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