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『「首都感染」後の日本』(宝島社新書)

日本原子力研究所研究員を経てカリフォルニア大学に留学という異色のキャリアを持つ高嶋哲夫氏の新著『「首都感染」後の日本』宝島社新書(2020/12/1) を読了。

首都感染』や『首都崩壊』など、大規模災害に係る多数のヒット小説を生み出した、高嶋哲夫氏によるコロナ後を見据えた提言書。 

朱書きは、私のメモ。


もくじ

コロナ禍における大規模災害時の遺体処理

コロナ禍における大規模災害時の遺体処理など、「総合的な準備」は何もできていないのではないのかという指摘。

多数の死者が出た場合の「遺体」処理の問題

(前略)コロナの問題以前に、災害地では当然、葬儀業者も被災しています。通常どおり機能していないことが多いでしょう。

そういう時に、一気に数千人、数万人の死者、負傷者が出たらどうなるでしょうか。コロナどころではなくなり、大混乱に陥るのは目に見えています。

阪神・淡路大震災、東日本大震災でも、近くの火葬場が満杯で、遺体を遠く離れた場所に運んで火葬し、葬儀を行ったケースが多くありました。

東京のような大都市で突然、1万人規模の人的被害が出た場合、都内だけでは到底処理できないでしょう。

数千単位の死者が出る可能性のある大災害では、遺体処理の問題を含めて考えておかなければならないことです。さらにコロナのような感染症が加わった場合は――。

大規模災害時の「総合的な準備」は、いまのところ何もできていないように思います。

(P91-92/2章 首都直下型地震と南海トラフ地震)

※大規模災害時のコロナ対応についてはかなり検討が進んでいるようである。遺体処理にまでは踏み込んでいないのかもしれない。

ただ、遺体処理にまでは踏み込めていないのかもしれない。

「最初の一撃」からいかに逃れるか

家や部屋の重要な部分だけを補強することで、いざというときに「生き残る」確率を上げる。

「最初の一撃」からいかに逃れるか

(前略)最初に訪れる危機が最大であり、そこを乗り切ることができれば、たとえ家や財産を失ったとしても、助けを求めることができるし、そこから命を失うことはないのです。

古い住宅に住み、いまさら引っ越したり、耐震強度を上げるような余裕がないという人も多いでしょう。それでも、家具の転倒を防止したり、寝る場所を工夫したり、家や部屋の重要な部分だけを補強することで、いざというときに「生き残る」確率を上げることは可能です。

家屋の倒壊を防ぐと同時に、死につながりやすい火災を防ぐことも有効です。防火の準備と避難のトレーニング、また地震時の火の元、電気の取り扱いについて、あらかじめ知識を得ておくだけで、いざというときにそれが自分の命を救ってくれることがあります。(以下略)

(P105-106/2章 首都直下型地震と南海トラフ地震)

※家具の転倒防止や配置の見直しも大切だが、木密地域にお住まいの方は、転居することを優先すべきであろう。

道州制、明治時代から続く国家の枠組みを変える

道州制を導入すれば、災害で大きなダメージを受けなかった地域が受けた地域を助けることができるという提案。

明治時代から続く国家の枠組みを変える時期にきている

(前略)政府は、「地方創生」をうたっていますが、いまのところあまりうまくいっていません。

これは、現在の日本の形に原因があると思います。

日本という国の形、47都道府県は、明治時代に作られたフォルムです。いくつかの統合はあっても、江戸時代の藩を県にした形が、戦後も続いています。しかしながら、100年以上前の日本と現在の日本とでは、人間の考え方、生活様式などあらゆることが違っています。とくに科学技術の発達は、交通、通信、運輸などに及び、まったく違う社会を生み出しています。

そろそろ「現代に合った形の日本」が生まれてもいいのではないでしょうか。

その新しい形のひとつに道州制があります。
(中略)
近隣の県がまとまって、経済単位を大きくすれば、自立できる地域を作ることも可能だと思います。

北海道から沖縄まで、人口が同じように広がり、地域が協力して魅力ある産業を生み出す。そういう産業が全国にもれなく広がっていく。そうなれば、災害で大きなダメージを受けた地域を、受けなかった地域が助けることができます。(以下略)

(P154-155/3章 道州制と日本の新しい形)

※2012年12月の衆議院選挙(自民が圧勝し政権を奪還したときの選挙)で、みんなの党がアジェンダとして道州制に言及していたのだが……。

  • 将来的には憲法改正手続きの簡略化を進め、決議要件を緩和。憲法改正によって「地域主権型道州制」を導入した後、衆参両院を統合して一院制(定数200)へと改め、「ねじれ国会」をなくす。
  • 地域主権型道州制の導入を前提として、地域交通業者の再編を進め、営業範囲の広域化を後押しする。
  • 復興庁の本庁を霞ヶ関から被災地に移転し、決裁権を持つ専任大臣を原則常駐させる。東北地方整備局を復興庁の傘下に置き、地域主権型道州制移行の先行ケースとして現地主導の復興事業を進める。

本書の構成

3章構成。全191頁。

  • 1章 新型コロナウイルスと日本の「弱点」
  • 2章 首都直下型地震と南海トラフ地震
  • 3章 道州制と日本の新しい形

「首都感染」後の日本

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2020年6月1日、このブログ開設から16周年を迎えました (^_^)/
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