不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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近未来ノベル『東京大地震2023』(PHP文庫)

今年のブログのテーマの一つは、首都直下地震。今後30年以内に70%の確率で起きると想定されている割には、世間の危機意識は高くないように感じている。

新年早々「近未来ノベル 東京大地震2023」PHP文庫(2012/3/1)を読んで、自らの危機意識を高めることにした。

著者の柘植久慶氏(77歳)は、作家にして軍事評論家。学生時代にカタンガ国の傭兵隊の一員としてコンゴ動乱に参加するなど、特異な経験の持ち主。


もくじ

2023年12月15日17時15分、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.9の直下型地震が発生。その30分後に房総沖を震源とするマグニチュード8.2のプレート型地震が関東一帯を襲うという過酷な想定で描かれた阿鼻叫喚の世界。

昨年の12月にNHKが放送した「体感 首都直下地震」よりはるかにリアルな世界が体感できる。

壁近くに置いた家具が、伝導熱で発火

浦島都知事が大倉副知事からの報告を受ける場面。

 浦島は大きく溜息をつく。いくらコンクリー卜製の建物でも、窓ガラスが普通仕様ではどうにもならなかった。外から熱されいったん割れてしまえば、室内の可燃物はひとたまりもないためだ。
 「それに近隣の猛火により壁が熱せられて、壁近くへ置いた家具が、伝導熱で発火したというケースも少なくありません」
 と、大倉は現時点で入った情報をそう伝えてゆく。
 「揺れを防ぐ転倒防止にばかり関心がいっていたからな」
 「壁にしっかり固定していた家ほど、火に襲われたとき弱かった、という皮肉な例が――」

(P247/第11章 外国人旅行者)

※コンクリー卜造の建物でも、近隣の猛火により壁が熱せられて壁近くに置いた家具が発火する。言われてみればその通りなのだが、なかなかそこまで思いが至らない。周辺に戸建てが建ち並ぶマンションは買わないのが賢明という話。

40階建てマンションに津波で流されてきたフェリーが激突

江東区東雲の40階建てマンションの38階に住む一家。夫は海外出張中。妻の美紀子と私立高校生の弘行と由衣が直下地震のあとに起こったプレート型地震による津波で流されてきたフェリーがマンションにぶつかる場面に遭遇。

 そう弘行が言い終えたとき、マンション全体が大きく揺らいだ。直後に轟音がして、何か巨大な物体の衝突だと判る。安普請の集合住宅なら確実に崩壊したのでは、と思われる強烈な衝撃だった。
「大きな白っぽい船――フェリーのようなのがぶつかってる!」
 と、結衣が南の窓から下を見て叫ぶ。
「火だけは出してくれるなよ。低い階で燃えると一階ずつ上にくるから」
(中略)
「火が!」
 と、不意に美紀子が金切声を上げる。
 慌てて弘行も南の窓のところに駆けつけた。ガソリンに引火したらしく、爆発の際に生じるドーナッツ状の環が、フワリと空中を上がってくる。一台二台と自動車の炎上が始まり、マンションとの衝突で破損し重油が流れ出たフェリーに燃え移る。再び引火の爆発が起こって、もっと大きな環が熱気を伴い上昇してきた。ガラスが震動した。

(P303-304/第13章 ある一家の六時間)

※「いつしかフェリー全体に火が及び、火柱は7階から8階にと及んでいる」。母子3人の運命はいかに……。

全14章

14章構成、333頁。

第1章 2023年12月15日
第2章 火災広がる
第3章 津波東京湾に
第4章 被害拡大
第5章 運不運の分岐点
第6章 鉄筋コンクリート地下三階地上五階
第7章 東は水、西は火
第8章 あのときも弱体内閣
第9章 偵察衛星の画像
第10章 大爆発
第11章 外国人旅行者
第12章 暗闇からの脱出
第13章 ある一家の六時間
終章

近未来ノベル 東京大地震2023

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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