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富士山噴火と地震は連動する!『首都防衛』講談社現代新書

東京都知事政務担当特別秘書という肩書に惹かれて、宮地美陽子氏著『首都防衛』講談社現代新書(2023/8/23) を読了。

首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山大噴火という「大連動」が生じたらどうなるか。最悪の被害想定を知っているか否かで、明暗が分かれるかも……。

朱書きは、私のメモ。


もくじ

首都防衛

東京湾封鎖

巨大地震が連続発生すると、湾沿岸の埋め立て地にある「浮き屋根式」約600基のうち約1割のタンクの中にある油が揺動により流出する可能性かあるという。

東京湾封鎖

(前略)東京湾沿岸の埋め立て地には、大型タンクにみられる「浮き屋根式」が約600基ある。これらに巨大地震の長周期地震動か生じた場合には、「スロッシング」と呼ばれる現象が起きる。コップを揺らすと中の水が揺れるのと同じだ。南海トラフで巨大地震が連続発生するという条件でシミュレーションをしたところ、約600基のうち約1割のタンクの中にある油が揺動により流出する可能性かあるという。東京湾の埋め立て地は液状化によって耐震化していない防油堤や護岸が破壊されることも考えられる。

(中略)
復旧まで約2週間と仮定すると、その間の物流は途絶え、エネルギー供給が麻痺する危機的状況を迎える。東京湾岸には9ヵ所のLNG火力発電所が稼働中で、濱田名誉教授は「海域の安全性は防災の盲点だ」と指摘する。(以下略)

(P39-40/第1章 首都直下地震の「本当の恐怖」)

タワマンは大丈夫なのか

長周期地震動によって建物にひびが生じたり、外壁や天井が落ちたり、配管に亀裂が入ったりするといった損傷が生じても、専門家でなければ被害の詳細を把握するのが難しい。

タワマンは大丈夫なのか
(前略)高層ビルの研究を続ける名古屋大学の福和伸夫名誉教授は「首都圏は、地盤の構造から、西で起きる地震で揺れやすい」として、理由を二つ挙げる。

西日本は「付加体」と呼ばれる海底生物の死骸など海の中のゴミが折り重なるようにへばりついた軟らかい地盤があるため、揺れを通しやすい。さらに首都圏が盆地のようになっていることから、日本海溝沿いの地震より、南海トラフ沿いの「西」の地震の揺れを集める特徴があるという。

超高層ビルの課題は大きく揺れた後、そのまま使用してよいのかどうかの判断が難しい点だ。長周期地震動によって建物にひびが生じたり、外壁や天井が落ちたり、配管に亀裂が入ったりするといった損傷が生じても、専門家でなければ被害の詳細を把握するのが難しい。(以下略)

(P106-107/第2章 南海トラフ巨大地震は想像を超える)

※新築の場合は、2017年4月1日以降に申請する「高さが60mを超える建物と4階建て以上の免震建物」の長周期地震動に対する安全性の検討が義務化されている。それ以前に申請されたタワマンは……。

詳しくは、「「長周期地震動」が超高層マンションの資産価値に影響を与える!? 」参照。

富士山噴火と地震は連動する

首都直下地震、南海トラフ巨大地震の襲来に加え、富士山の噴火が重なる「大連動」にも備えなければならない時期を迎えているのは間違いない、と断言する東大の藤井敏嗣名誉教授。

富士山噴火と地震は連動する

(前略)言うまでもなく、日本は世界有数の「火山国」だ。世界には約1500の活火山かあるといわれるが、その1割近くが我が国に存在する。気象庁は今後100年程度に噴火の可能性があることを踏まえ、富士山を含む50力所の火山を24時間態勢で監視している。だが、西村教授が指摘するように「地震が噴火のトリガー」となることがあれば、大地震の襲来とともに富士山の噴火が誘発される急展開も想定しなければならない。

実際、今から約320年前の宝永噴火が起きた直前には巨大地震が襲来しており、その恐怖が再来しない保証はまったくない。東京大学の藤井敏嗣名誉教授(山梨県富士山科学研究所所長)は、「南海トラフは富士山の近くを揺らす。富士山がそれまでに噴火をしていなければ、南海トラフ巨大地震が噴火を誘発する可能性は高い」と警鐘を鳴らす。高い確率で発生すると予想される首都直下地震、南海トラフ巨大地震の襲来に加え、富士山の噴火が重なる「大連動」にも備えなければならない時期を迎えているのは間違いない。

(P188-189/第4章 富士山噴火・気象災害・弾道ミサイル)

※富士山噴火に警鐘を鳴らしているおススメの本:

本書の構成

4章構成。全222頁。

  • はじめに 最悪のシミュレーション
  • 第1章 首都直下地震の「本当の恐怖」
  • 第2章 南海トラフ巨大地震は想像を超える
  • 第3章 大災害「10の教訓」
  • 第4章 富士山噴火・気象災害・弾道ミサイル

首都防衛

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