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『富士山噴火と南海トラフ』20XX年、国家存亡の危機

5月20日に発売された、鎌田浩毅著『富士山噴火と南海トラフ』(ブルーバックス)を読了。

現在の富士山はかなりの量のマグマをため込んでいる。もしもそれが一気に噴出したら、そのときは貞観噴火や宝永噴火のように甚大な被害をもたらす大噴火になる可能性は否定できないという。
そのとき首都圏ではどんなことが起きるのか……。 


もくじ

20XX年、富士山噴火…国家存亡の危機

西日本大震災の被災者を医療や物資などで支えている首都圈が機能不全に陥れば、国家存亡の危機を迎えることになる。

20XX年、富士山噴火

(前略)富士山噴火の「本当の恐怖」は、富士山から100キロメートル離れた首都・東京にこそ現れる。大量に降り注ぐ火山灰が、都市機能を停止させるからだ。宝永噴火との決定的な違いがそこにある。ハイテク化された現代社会は、火山灰に対してあまりにも脆弱で無防備なのだ。

 まず、交通機関がマヒする。とくに痛手なのは航空機だ。エンジンが火山灰を吸いこむと墜落する危険があるため、南関東の全空域は飛行禁止となる。また、送電線に火山灰が数ミリメートル積もるだけで停電が起き、火力発電所もフィルターの目詰まりを起こして発電力が大きく低下する可能性も否定できない。

 さらに恐ろしいのは、さまざまなシステムを制御するコンピユータの細かい隙間に火山灰が入り込み、首都圈の機能がほぼ停止してしまうことだ。もしもいま、西日本大震災の被災者を医療や物資などで支えている首都圈が機能不全に陥れば、国家存亡の危機を迎えることになる。(以下略)

(P14-15/プロローグ)

※富土山が噴火したら、東京では目を守るゴーグルか飛ぶように売れると歴史学者である磯田道史氏は予言している。
磯田道史著『天災から日本史を読みなおす』(中公新書)

甚大な被害をもたらす大噴火になる可能性

現在の富士山はかなりの量のマグマをため込んでいる。もしもそれが一気に噴出したら、そのときは貞観噴火や宝永噴火のように甚大な被害をもたらす大噴火になる可能性は否定できないという。

富士山噴火とフィリピン海プレートの関係

(前略)現在、確かに言えることは、富士山は1707年の宝永噴火以来、300年以上もじっと沈黙を保っているということだ。(中略)古文書の記述をていねいに解読して富士山の過去の噴火史をたどっていくと、富士山は50年から100年ほどの間隔で噴火してきたことがわかる。そう考えると、現在の富士山はかなりの量のマグマをため込んでいることになる。もしもそれが一気に噴出したら、そのときは貞観噴火や宝永噴火のように甚大な被害をもたらす大噴火になる可能性は否定できないのだ。

(P192/第8章 南海トラフ巨大地震との連動はあるか)

※巨大災害が起きたら「日本が東アジアにおける小国、最貧国の1つになりかねない」(土木学会会長)という。
南海トラフ地震の対策事業費38兆円!「『国難』をもたらす巨大災害対策」 

「何月何日に噴火」に科学的根拠はない

仮に「何月何日に噴火する」といった風評がメディアやインターネットなどで流れても、科学的根拠はまったくないので信用しないでいただきたい。

「何月何日に噴火」に科学的根拠はない

(前略)たしかに低周波地震の発生から噴火までには数週間~1か月ほどの時間を要することは予測しているが、「噴火の数週間~1か月前」というスタートは、明日かもしれないし、かなり先の数年後かもしれないわけである。だが少なくとも、スタートしてから数週間~1か月ほどの時間的な猶予はあるので、その間に可能なかぎり準備と対策を講じるべきだと言っているのである。

 噴火予知は地震予知と比べると、実用化に近い段階にまでは進歩してきた。しかし、一般市民が知りたい「何月何日に噴火するか」に答えることは、残念ながら現在の火山学ではできない。仮に「何月何日に噴火する」といった風評がメディアやインターネットなどで流れても、科学的根拠はまったくないので信用しないでいただきたい

(P239/第10章 富士山の噴火予知はどこまで可能か)

本書の構成

2部構成、全11章。全265頁。

第1部 富士山噴火で起こること

  • 第1章 火山灰 都市を麻痺させるガラスのかけら
  • 第2章 溶岩流 断ち切られる日本の大動脈
  • 第3章 噴石と火山弾 登山者を突然襲う重爆撃
  • 第4章 火砕流と火砕サージ 山麓を焼き尽くす高速の熱雲
  • 第5章 泥流 数十年間も続く氾濫と破壊

第2部 南海トラフと富士山噴火

  • 第6章 地理と歴史からみた富士山噴火
  • 第7章 「3・11」は日本列島をどう変えたか
  • 第8章 南海トラフ巨大地震との連動はあるか
  • 第9章 山体崩壊のおそるべきリスク
  • 第10章 富士山の噴火予知はどこまで可能か
  • 第11章 活火山の大いなる「恵み」

富士山噴火と南海トラフ

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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