不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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『マンション管理のトリセツ』幻冬舎ルネッサンス新書

NPO近畿マンション管理者協会の代表理事である増永 久仁郎氏(元外航船士官)の『目からウロコ マンション管理のトリセツ』幻冬舎ルネッサンス新書(2020/1/20)を読了。

マンション管理組合やコンサルタントの財布にならない道標として、17年間の実践と経験が記された良書。輪番で管理組合の理事を任されて右往左往している人にとっての必読書。

朱書きは、筆者コメント。


もくじ

マンション管理業界、買い手市場から売り手市場に

採算の悪いマンションや管理費の値上げに応じない管理組合は管理会社から一方的に管理委託契約の解除の通告を受ける事例が増えてきているという。

管理会社丸投げ方式

(前略)平成30年頃から人手不足の影響とタワーマンションに人員を投入するために、採算の悪いマンションや管理費の値上げに応じない管理組合は管理会社から一方的に管理委託契約の解除の通告を受ける事例が増えてきています。その代表格がS不動産サービスです。したがってマンション管理業界は買い手市場から売り手市場に変わってきました。

 たとえば大阪市城東区の団地型マンションで、管理会社変更(リプレース)を検討していた理事長の動きに気付いたフロントにたき付けられた旧理事長が彼を解任に追い込んだ事件がありました。

当時の担当フロントは「当社は日本一の管理会社なのでリプレースなんてあり得ない」と言いながら、管理会社が自ら契約解除を申し出るモラルのなさに私は驚いたことがあります。(中略)

 今後ますます少子高齢化、人手不足が深刻化していく中で、管理会社丸投げ方式の管理組合の行く末は気になるところです。
 この方式を選択している管理組合は、マンション管理業務を委託している管理会社の動向に注意した方がよいでしょう。

(P37-38/第一章 マンション管理のトリセツ)

※2020年3月末マンション管理受託戸数ランキング9位の住友不動産建物サービスの管理戸数が昨年から17,574戸減少(▲9.2%)。昨今の人手不足、人件費高騰を受けて同社がサービスの品質を保てないとして「契約辞退」を申し入れた結果の表れ。

サービス精神に乏しい大手、フロントが疲弊している合人社

サービス精神に乏しい三菱地所コミュニティ・三井不動産レジデンシャルサービス・住友不動産建物サービス。数十の担当を持たされてフロントが疲弊している合人社計画研究所。

良い管理会社の見分け方(3)

(前略)フロントのグレードは会社の規模の大小や親子のあいだでも大きな差はありません。反対に、たとえば、三菱地所コミュニティや三井不動産レジデンシャルサービス、住友不動産建物サービスのフロントはサービス精神に乏しく、管理組合を上から見下す傾向がありますので私は違和感を覚えます。

 一方、合人社計画研究所では数十の担当を持たされますのでフロントは疲弊しています。その上フロントに与えられる予算が厳しいので、業者からのピンハネやフロントを呼べば一回あたり幾らと請求するなどあの手この手で売り上げ増を図ります。同社は管理委託契約に記載されていない業務は別会計と割り切っていますので、ある意味、国土交通省的には優良管理会社です。

(中略)

 管理会社は各社とも標準管理委託契約書を利用していますので、フロントの業務内容に差はありません。あるのはフロントの志、業務への取り組み姿勢、洞察力です。フロントが機械的に事務処理をすればマンションは死にます。(以下略)

(P108-109/第三章 マンション管理業務のトリセツ)

※2020年3月末マンション管理受託戸数ランキングを俯瞰すると以下。

  • 日本ハウズイングと大京アステージが40万戸超えで2強。
  • 第2グループは、30万戸超えの3社(長谷工コミュニティ、東急コミュニティー、三菱地所コミュニティ)。
  • 第3グループは、20万戸超えの3社(大和ライフネクスト、合人社計画研究所三井不動産レジデンシャルサービス)。

マンション総合管理戸数の推移(上位10社)
マンション管理会社、総合管理受託戸数ランキング2020」より

管理会社・設計事務所の9割は商道徳がマヒ

管理会社や設計事務所の90%は商道徳がマヒしているという。

管理組合は消費者団体ではない

(前略)管理組合は弱い立場の消費者の団体ではありません。
 国土交通省やマンション管理業界、大規模修繕業界は多額の資金を保有する事業主と思っています。だから契約書に押印する際は慎重の上にも慎重にした方が良いです。(中略)

 私たちがショツピングセンターで高級なスーツやドレス、高級家具を買っても契約書は交わさないけれど、商品に問題があれば返品やクレーム対応してくれます。これは販売店が私たちを消費者と見なしているからですが、自家用車やマンションなどは返品には応じてくれません。だから私たちはそれらの購入には慎重です

 それに対して管理組合となると自分のお金でないので杜撰な契約を平気で交わします
 そろそろ騙されて泣き言を言うより、騙されない方法を考えてみましょう。

 私の十数年にわたる経験から言えば、管理会社や設計事務所の90%は商道徳がマヒしています。近江商人が発祥の日本を代表する大手商社・伊藤忠商事グループの管理会社でさえ、「売り手良し、買い手良し、世間良し」の企業理念を知りません。彼らの頭には「売り手良し」しかないのでしょう。これは伊藤忠商事グループの問題より業界に漂うモラルの問題ではないかと私は思います。


 いずれにしろ、管理会社と管理組合の関係はBtoCではなく、BtoBと思った方が無難です。

(P183-184/第五章 マンションのその他の業務のトリセツ)

※マンション管理会社の商道徳がマヒしているのは、監督官庁である国交省のやる気のなさも一因ではないか。同省によるマンション管理会社への是正指導率は13年度以降、40%前後で変化なし。

マンション管理業者の全国一斉立入検査結果(調査対象数と是正指導率の推移)
国交省は改善させる気なし!? マン管業者への全国一斉立入検査」より

本書の構成

全5章、214頁。

第一章 マンション管理のトリセツ
第二章 マンション管理組合のトリセツ
第三章 マンション管理業務(管理会社)のトリセツ
第四章 マンション大規模修繕工事のトリセツ
第五章 マンションのその他の業務のトリセツ

目からウロコ マンション管理のトリセツ

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2020年6月1日、このブログ開設から16周年を迎えました (^_^)/
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