不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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『年収200万円でもたのしく暮らせます』PHPビジネス新書

経済アナリスト森永卓郎氏の新著『年収200万円でもたのしく暮らせます コロナ恐慌を生き抜く経済学』PHPビジネス新書(2020/7/8)読了。

7月に出版されたこともあり、新型コロナを踏まえた内容に仕上がっている。

※朱書きは、筆者コメント。


もくじ

「東京」という仕組みは間違いなく終わる

テレワークで仕事が済むなら、高い家賃や住宅ローンを払い続けて、大都市に住み続ける必要もなくなるという指摘。

「東京」という仕組みは間違いなく終わる
(前略)新型コロナによる自粛要請が出されるなかで、私が最も驚いた変化は、テレワークが大きく進んだことでした。IT企業では、ある程度進むだろうと考えていたのですが、一般企業でもかなり進みました。

(中略)
 ただそうなると、コロナ後に大都市の住人には、「なぜ大都市に住み続けないといけないのか」という疑問が生まれます。テレワークで仕事が済むなら、何も満員電車で都心まで通勤する必要もないし、高い家賃や住宅ローンを払い続けて、大都市に住み続ける必要もなくなります
 また、大都市の大きな魅力となっていた華やかな文化的刺激も、アフターコロナの時代には失われていく可能性が高いのです。(以下略)

(P96-97/第3章 これから日本経済はこう変わる!)

※世の中はテレワークが可能な職種ばかりではないのだけどね。
建設現場や製造現場で働く人や接客業、医療・福祉業に従事している人達を忘れてはいけない。

都心の地価は崩壊寸前

富裕層と、その富裕層の”しもべ”がたくさん集まってきている「東京」の構造が崩れるという筆者の見立て。

都心の地価は崩壊寸前。投資目的なら東京五輪後に底値で買うべし
(前略)東京都心の地価は、2021年の東京オリンピック前に大暴落を起こします。
これは一般常識で考えても当たり前の話です。

(中略)
 なぜ、こんなに都心の土地が高騰しているのでしょうか。
 東京都心の不動産を賃貸に回した時の利回りは、わずか1%か2%程度。物件によってはゼロです。それなのに物件を買う人がいるのは、「買えば上がる」からです。土地を保有しているだけで地価が上がっていくなら損はしないだろう、ということです。

 佃のタワーマンションは数億円します。麻布、赤坂となると、10億円はくだりません。ところが、サラリーマンの生涯年収は2億円程度。どうして10億円のマンションが買えるのかというと、「金に金を稼がせている」からです。バブルを起こしてマネーゲームで金を稼ぎ、それが東京という街を形づくってきたのです
 そのおこぼれに預かる富裕層と、その富裕層の”しもべ”がたくさん集まってきているのが東京の構造であり、私はその構造が崩れると考えています

(P165-166/第4章 日本株が危ない!)

※コロナ禍であるにも係わらず、23区の新築マンション発売単価は上昇傾向を見せている(次図)。森永氏の見立て通り、2021年の東京オリンピック前に大暴落が起きるのか……。

m2単価の推移(1都3県)
首都圏新築マンション市場動向(20年7月)」より

田舎で起業するビジネスパーソン

家賃が劇的に安くなるトカイナカの勧め。

田舎で起業するビジネスパーソン
 東京の人たちが必死に働き続ける理由の一つに、高い家賃と住宅ローンが挙げられますが、私が住むトカイナカに住めば、家賃は劇的に安くなります

 さらに都心から離れたイナカに行けば、地価は0円に近くなると言っても過言ではありません。たとえば地方の中山間地域に行くと、畑が1ヘクタールぐらい、家があって、山がついて800万円程度です。1000万円台はほとんどないと思います。
 少し頑張ってお金を貯めていれば、キャツシュで買える価格です。
 もちろん、田舎はユートピアではありません。近隣にコンビニやカラオケがなく、夜になると真っ暗になる。現金収入を得るための生業のほかに、祭祀事や町内会の集まり、清掃活動など共同体を支えるための仕事を分担するなど、それなりの苦労があります。時として近所の人が生活エリアに入ってくることもあります。東京の生活に慣れた人には人間関係が濃厚すぎると感じるでしょう。
 その人の人生観に応じ、東京や大阪から適切な距離をとるのが一番よいと思います。
私の場合、その距離が所沢というトカイナカだったわけです。(以下略)

(P187-188/第5章 都会を飛び出し「トカイナカ」で暮らせ!)

※現役バリバリのホワイトカラーであればトカイナカへの移住は良しとしよう。でも、定年後あるいは定年が近づいてきたシニア社員にはどうだろうか。人生100年時代の住宅すごろくの上りは、郊外住まいではないと思う。

さらに言うならば、地方都市の消滅回避策として、都市高齢者の地方への住み替え支援を提言している有識者らがいるが(日本創成会議「東京圏高齢化危機回避戦略」16年6月4日)、まあこれは、体のいい”姥捨て山政策”なので注意が必要だ。

本書の構成

全5章、214頁。

  • 第1章 過去最大級の経済不況に備えよ!
  • 第2章 最大の敵は国内にあり!
  • 第3章 これから日本経済はこう変わる!
  • 第4章 日本株が危ない!
  • 第5章 都会を飛び出し「トカイナカ」で暮らせ!

年収200万円でもたのしく暮らせます

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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