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羽田新ルート|地価公示データを用いた不動産価値への影響調査(港区編)

羽田新ルートは不動産価値にどの程度の影響を及ぼしているのか?
国交省が実施した調査と同様に地価公示データを用いて、港区内の17~22年の「住宅地」のデータを対象に、筆者が独自に調査してみた。


もくじ

国交省「直接的な因果関係を見出すことは難しい」

国交省は住民説明会の資料などで、具体的なデータを示さずに定性的な情報を元に「航空機の⾶⾏と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を⾒出すことは難しい」との見解を示していた(次図)。

第5フェーズ資料(FAQ冊子v5.1.2
第5フェーズの住民説明会資料(FAQ冊子v5.1.2)

 

その後、国交省は19年12月5日、FAQ冊子をv5.1.2からv6.1に改訂し、定量的なデータを元に、「飛行経路が地価の下落につながることを示す因果関係を見出すことはできませんでした」との見解を示した。

※厳密には、v5.1.2からv6.0への改訂で定量的なデータが掲載されたが、v6.0の存在はほとんど知れていない(「過去の改訂履歴」参照)。v6.0からv6.01、v6.1を経てv6.2に至っている(22年5月8日現在)。

Q6 不動産価値が下落するのではないですか。

  • 一般的な不動産価値は、周辺の騒音等の環境面や立地、周辺施設等の地域要因だけではなく、人口の増減等の社会的要因、財政や金融等の経済的要因、土地利用計画等の行政的要因、あるいはそもそもの需要と供給のバランスなど経済情勢を含めた様々な要素が絡み合い決定されます。更に環境基準を満たす中であっても、音などの感じ方については個人差もあると考えています。
  • このような中で、航空機の飛行経路と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を見出すことは難しいと考えています。
  • また、離着陸回数の多い3空港(成田、伊丹、福岡)を対象に調査したところ、飛行経路が地価の下落につながることを示す因果関係を見出すことはできませんでした

第6フェーズの住民説明会(19年11月~20年1月開催)FAQ冊子v.6.0.1_P64)

不動産価値が下落するのではないですか

地価公示データを用いた不動産価値への影響調査(港区編)

調査対象データ

国交省が実施した調査と同様に地価公示データを用いて、港区に関して調査する。

具体的には、国交省が運営しているサイト「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」に掲載されている地価データのうち、港区内の17~22年の「住宅地」のデータを対象とする。同データは224件(43地点)ヒットする(22年5月24日現在。次図)。

国土交通省地価公示・都道府県地価調査
検索結果-国土交通省地価公示・都道府県地価調査

 

港区の各年の平均地価データは、国交省が公開している「変動率及び平均価格の時系列推移表」を用いた。

飛行経路までの最短距離については、筆者が作成したGoogleマップ(南風時の到着ルート)を元に計測した。

飛行経路までの最短距離と地価との関係

「飛行経路までの最短距離」と地価との関係を次図に示す。

地価は概ね100~400万円/m2に分布していることと、17年から22年に進むほど地価が上昇傾向にあることが分かる。

飛行経路までの最短距離と地価との関係

飛行経路までの最短距離と地価変動率との関係

羽田新ルートの影響を分析するために、224件(43地点)の地価を港区の平均地価で補正する。

具体的には、17年の地価データを100としたときの各年の値(18~22年)を計算し、さらに港区平均地価により補正(=各年の値-17年の地価データを100としたときの港区平均の各年データ)し、地価変動率として算出した。飛行経路までの最短距離と地価変動率の関係を次図に示す。

羽田新ルート運用開始前(18年)と運用開始以降(20・22年)データを比較すると、「飛行経路までの最短距離」が1500m以下の地点では運用開始以降、地価が全体的に下落している傾向が見える。

※一部地点の地価が突出して高く、港区平均地価を押し上げていることが影響している。

飛行経路までの最短距離と地価変動率との関係
※図が煩雑にならないように、3か年(18・20・22年)のデータを図化した。

 

A滑走路到着ルートとC滑走路到着ルートに挟まれた地点(18か所)の地価変動率を描いたのが次図。

運用開始以降、地価が全体的に下落している傾向が見える。

飛行経路までの最短距離と地価変動率との関係(2ルートに挟まれた地点)

地価変動率の経年変化(飛行経路までの最短距離別)

飛行経路までの最短距離ごとの地価の平均変動率の変化を次図に示す。

羽田新ルート運用開始以降(20・22年)、飛行経路までの最短距離が200m以下の地点(7か所)と201~400mの地点(9か所)の地価変動率が下落している傾向が見られる。

地価変動率の経年変化(飛行経路までの最短距離別)

まとめ

国交省は19年12月5日、第6フェーズの住民説明会(19年11月~20年1月開催)資料であるFAQ冊子v.6.0.1で、定量的なデータを元に、「飛行経路が地価の下落につながることを示す因果関係を見出すことはできませんでした」との見解を示している。

国交省が実施した調査と同様に地価公示データを用いて、港区内の17~22年の「住宅地」のデータを対象に、筆者が独自に調査した結果は次の通りである。

  • 羽田新ルート運用開始以降(20・22年)、飛行経路までの最短距離が200m以下の地点(7か所)と201~400mの地点(9か所)の地価変動率が下落している傾向が見られる。

地価公示データを用いた不動産価値への影響調査は、これまで品川区渋谷区についても実施したが、港区ほど羽田新ルートの明確な影響は見られなかった。港区において羽田新ルートの影響が顕著にみられたのは、ひょっとして3区のうち港区の平均地価が突出していることが一因(ブランド力の高い地区への影響)なのかもしれない(次図)。

地価公示による平均地価(宅地)の推移(3区比較)

 

今後、他区の調査を進めることと「不動産取引価格情報」を用いた「中古マンション価格への影響調査(港区編)」を行うことで、羽田新ルートの不動産価値への影響検討をさらに進める予定である。

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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