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羽田新ルート|「不動産取引価格情報」を用いた中古マンション価格への影響調査(港区編)

羽田新ルートは不動産価値にどの程度の影響を及ぼしているのか?

国交省が実施した調査と同様に地価公示データを用いて、港区内の17~22年の「住宅地」のデータを対象に、筆者が独自に調査したところ「羽田新ルート運用開始以降、飛行経路までの最短距離が200m以下の地点と201~400mの地点の地価変動率が下落している傾向が見られる」という結果だった。

※詳細は「羽田新ルート|地価公示データを用いた不動産価値への影響調査(港区編)」参照。

そこで本日は、国交省が公開している「不動産取引価格情報」を用いて、港区内の17~21年の中古マンション取引データを対象に、筆者が独自に羽田新ルートの影響を調査してみた。


もくじ

調査対象データ

国交省が公開している「不動産取引価格情報」を用いて、港区に関して調査する。

具体的には、国交省が運営しているサイト「不動産取引価格情報」に掲載されているデータのうち、港区内の17年第1四半期~21年第4四半期の「中古マンション」の取引価格・面積データからm2単価を算出する。対象データは29地区・3,958件(22年6月5日現在。次図)。

不動産取引価格情報

※29地区:海岸、元赤坂、元麻布、虎ノ門、港南、高輪、三田、芝、芝浦、芝公園、芝大門、新橋、西新橋、西麻布、赤坂、台場、東新橋、東麻布、南青山、南麻布、白金、白金台、浜松町、北青山、麻布永坂町、麻布十番、麻布台、麻布狸穴町、六本木

 

取引時期は四半期単位で3か月の幅があるので、便宜的に次のように中間の月を取引時期とした。

  • 第1四半期(1~3月)⇒2月
  • 第2四半期(4~6月⇒5月
  • 第3四半期(7~9月⇒8月
  • 第4四半期(10~12月⇒11月

飛行経路までの最短距離の計測方法

「不動産取引価格情報」には取引対象の住所は匿名化されていて地区名までしか公開されていない。そこで、取引対象地点は便宜的に地区の概ね中心にあるものとして、飛行経路までの最短距離を計測することとした(次図、品川区荏原地区の例)。

飛行経路までの最短距離の計測方法

飛行経路までの最短距離については、筆者が作成したGoogleマップ(南風時の到着ルート)を元に計測した。

飛行経路までの最短距離と中古マンション単価との関係

「飛行経路までの最短距離」と中古マンション単価(各地区の平均値)との関係を次図に示す。

中古マンション単価は概ね100~200万円/m2に分布している、というか下図から分かるのはこの程度。

飛行経路までの最短距離と中古マンション単価との関係

飛行経路までの最短距離と中古マンション単価変動率との関係

羽田新ルートの影響を分析するために、3,958件(29地区)の中古マンション単価を港区の平均単価で補正する。

具体的には、17年第1四半期(1~3月⇒2月)の中古マンション単価データを100としたときの各年月の値(18~21年)を計算し(いずれも地区ごとの平均値で計算する)、さらに港区平均単価により補正(=各年の値-17年2月の中古マンション単価データを100としたとき港区平均の各年月データ)し、中古マンション単価変動率として算出した。飛行経路までの最短距離と中古マンション単価変動率の関係を次図に示す。

必ずしも「飛行経路までの最短距離」が近いほど中古マンション単価が下落しているわけではないことが分かる(中古マンション単価が下落している地点もあれば上昇している地点もある)。

飛行経路までの最短距離と中古マンション単価変動率との関係
※図が煩雑にならないように、各年2月のデータを図化した。

中古マンション単価変動率の経年変化(飛行経路までの最短距離別)

飛行経路までの最短距離ごとに中古マンション単価の平均変動率を次図に示す。

飛行経路までの最短距離が200m以下の地点(4地区)の中古マンション単価の平均変動率が羽田新ルート運用開始前後でマイナスに変化しているわけではない。このことから中古マンション単価が羽田新ルートの影響を受けた可能性は見出せない。

中古マンション単価の変動率の経年変化 (飛行経路までの最短距離別)

まとめ

国交省が実施した調査と同様に地価公示データを用いて、港区内の17~22年の「住宅地」のデータを対象に、筆者が独自に調査したところ「羽田新ルート運用開始以降、飛行経路までの最短距離が200m以下の地点と201~400mの地点の地価変動率が下落している傾向が見られる」という結果だった(羽田新ルート|地価公示データを用いた不動産価値への影響調査(港区編))。

今回、国交省が公開している「不動産取引価格情報」を用いて、港区内の17~21年の中古マンション取引データを対象に、筆者が独自に調査した結果は次の通りである。

  • 必ずしも「飛行経路までの最短距離」が近いほど中古マンション単価が下落しているわけではないことが分かる(中古マンション単価が下落している地点もあれば上昇している地点もある)。
  • 飛行経路までの最短距離が200m以下の地点(4地区)の中古マンション単価が羽田新ルートの影響を受けた可能性は見いだせない。

※上記の結果は、港区内で取引された中古マンションの位置が「地区」の概ね中心に建っているとした前提(具体的な住所が公開されていないゆえ)によるものであることに要留意。

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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