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荒川沿い北上ルート、9月26日「騒音発生回数」は過去最大の104回!?

東京都が平日の毎日公表している羽田新ルートに係る騒音モニタリングの測定結果をチェックしていて、妙なことに気がついた。
江戸川区立小松川図書館の測定値のうち、9月26日(日)の「騒音発生回数」が104回となっているのである。
104回という値は、江戸川区立小松川図書館で測定された過去最大。極めて大きな値。

備忘録として以下に整理しておいた。

※投稿21年10月1日(追記21年10月7日)


もくじ

荒川沿い北上ルート、9月26日(日)の騒音発生回数104回!?

東京都が平日の毎日公表している羽田新ルートに係る騒音モニタリングの測定結果をチェックしていて、妙なことに気がついた。

江戸川区立小松川図書館の測定値のうち、9月26日(日)の「騒音発生回数」が104回となっているのである(次図)。

騒音モニタリングの測定結果

しかも、104回という値は、江戸川区立小松川図書館で測定された過去最大。極めて大きな値だ(次図、ピンク丸囲み)。

騒音発生回数(北風時)都測定データ
羽田新ルート|東京都の騒音測定データを可視化」より

 

9月に入ってからの「通過機数」「騒音発生回数」の推移をみてみると、たしかに9月26日の通過機数は多いが、騒音発生回数104回は他の日と比べて突出している(下図、ピンク丸囲み)。

「通過機数」「騒音発生回数」の推移 (荒川沿い北上ルート)
※機数データは、マン点フォロアーであるK氏が毎日カウントしTwitterで発表しているデータを用いた。騒音発生回数は、東京都「騒音モニタリングの測定結果」

なぜ、9月26日に過去最大の104回が測定されたのか?

考えられる可能性としては、次の4つケース。

  • 暗騒音がいつもより極端に小さかった
  • 大型機の割合がいつもより大きかった
  • 計測機・計測データ処理の不具合
  • その他

以下、順に検証していく。

暗騒音がいつもより極端に小さかったからなのか?

計測地点である江戸川区立小松川図書館は、暗騒音が大きかった江戸川区立小松川第二中学校(首都高7号線に隣接)が測定局としては不適切であるとして移設された地点である(次図)。

騒音測定場所

 

ひょっとして、9月26日(日)の小松川図書館地点は、極めて静かな特異日であったのだろうか。

騒音発生回数がカウントされるのは、航空機の騒音レベルが暗騒音+10dB以上の場合だから、測定地点の暗騒音が小さいと騒音発生回数は多くなる(次図)。

航空機騒音の測定データ(イメージ)


9月に入ってからの「通過機数」と「騒音発生回数」の差の推移を可視化したのが次図。

「通過機数」と「騒音発生回数」の差の推移 (荒川沿い北上ルート)

「通過機数」と「騒音発生回数」の差が小さい(暗騒音が小さい?)日は9月26日(日)以外にも出現していることが確認できる。従って9月26日(日)だけが極めて静かな特異日だったということではなさそうだ。

9月26日は通過機数が多い日でかつ暗騒音が小さかった、というのが過去最大の104回が測定された要因と言えるのではないか。

※この点については、東京都に照会中(9月30日現在)⇒都からの回答は下記の【追記】を参照。

大型機の割合がいつもより大きかったからなのか?

大型機の数が多いと暗騒音を上回る航空機騒音として確実にカウントされる(騒音値が小さいと暗騒音+10dBルールによって騒音発生回数にカウントされない)。

そこで、荒川沿い北上ルートを通過した機数の機材別実績を確認してみた。

9月26日(108機、104回)とその前日25日(95機、57回)の機材別(大型機・中型機・小型機)の機数を比較したのが次図。

特に、9月26日が大型機の割合が大きかったというわけではないので、これが104回の要因ではないと言える。

荒川沿い北上ルート通過機数の実績(機材別)
※国交省が運用しているサイト「羽田空港飛行コース」の「航跡動画」データを元に作成

計測機・計測データ処理の不具合?

計測機・計測データ処理の不具合の有無の可能性については、上記暗騒音に係る東京都への照会結果と合わせて、都からの回答待ち。

【追記】東京都環境局からの回答

※追記21年10月7日

都民の声総合窓口」を介して問合せをしてから1週間(土日を除く)で、東京都環境局 環境改善部 大気保全課からの回答が送られてきた。

9月26日(日)の北風運用時間帯の江戸川区立小松川図書館の暗騒音レベル(LA90,1h)は、45dBから50dB程度でした。
比較のため、同じく北風運用が実施された9月25日(土)の暗騒音レベルを示しますと、同時間帯で50dBから52dB程度でした。
25日と26日の暗騒音レベルを比較すると、26日の方が低い状況であることから、測定回数に影響を及ぼした可能性があると考えられます。

ようするに9月26日はいつもより暗騒音のレベルが小さかったから航空機騒音の発生回数が多くなったのではないか、というのが都の回答。計測機・計測データ処理の不具合ではなかったようだ。

ちなみに、環境省の「航空機騒音測定・評価マニュアル」によれば、「測定地点の周辺条件」として次のように記されている。現在の小松川図書館が測定地点として適切なのかどうかという問題は残るのでは……。

主要な航空機騒音の最大値が暗騒音より 10dB 以上大きくない地点は避ける(P11)

まとめ

なぜ、9月26日に過去最大の104回が測定されたのか?

  • 9月26日は通過機数が多い日でかつ暗騒音が小さかった、というのが過去最大の104回が測定された要因と言えるのではないか。
    ※【10月7日追記】都の回答:25日と26日の暗騒音レベルを比較すると、26日の方が低い状況であることから、測定回数に影響を及ぼした可能性がある
  • 特に、9月26日が大型機の割合が大きかったというわけではないので、これが104回の要因ではないと言える。
  • 計測機・計測データ処理の不具合の有無の可能性について、上記暗騒音に係る都への照会結果と合わせて、解明できるようであれば、後日、追記予定(【10月7日追記】都の回答では触れられていない)。

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