東京都は2月12日、「『未来の東京』戦略」(案)に係るパブコメを開始。
全370枚という膨大な資料のなかに、「羽田空港の更なる機能強化のあり方検討」が埋もれている。
羽田空港の更なる機能強化のあり方検討
「『未来の東京』戦略」(案)は次の4部で構成されている。
- 01 危機を乗り越え、「未来の東京」を切り拓く
- 02 我々が目指す2040年代の20の「ビジョン」
- 03 2030年に向けた20+1の「戦略」と122の「推進プロジェクト」
- 04 みんなでつくる「未来の東京」
全部で370枚という膨大な量だ。
第3部に示された20の戦略のうち、「戦略9 都市の機能をさらに高める戦略」の6番目「都市間競争に打ち勝つ空の港・海の港プロジェクト」のなかに、羽田空港の機能強化が埋もれている(次図)。
- 新型コロナ対策を講じつつ、羽田空港や東京国際クルーズターミナルの機能強化を継続的に推進
上図の一部を拡大した図を以下に示す。
空の港・海の港の機能強化
- 羽田空港の機能強化(ターミナル機能の拡充・ビジネスジェットの発着枠拡大など)・横田基地軍民共用化の推進
「3か年のアクションプラン(主要)」のなかに、「航空機能に関する調査」として、「羽田空港の更なる機能強化のあり方検討」が実施されることになっている。
2030年への展開
- ビジネスジェットの受入体制の強化など、空港の機能拡充を通じて増大する航空需要への対応を強化【2030年】
3か年アクションプラン「航空機能に関する調査」の中身?
3か年のアクションプランとして掲げられた「航空機能に関する調査」ではどのような調査が実施されるのか。
「ビジネスジェットの受入体制の強化など」に向けた調査じゃないのか、と思われた方はいないだろうか。
ぼーっと生きてんじゃねーよ(チコちゃん)
1年半ほど前に、東京都が19年8月22日に公表した「『未来の東京』への論点」のなかでは、「第5滑走路(E滑走路)」という言葉は使わずに、「羽田空港の更なる機能強化」が謳われていた(都の長期戦略に「羽田空港の更なる機能強化」)。
同日(19年8月22日)、読売新聞の記事「羽田滑走路 増設協議へ…都と国 機能強化へ5本目」が出て、東京都技官が都議会定例会(19年9月9日)で「都が滑走路の増設に向けて国と協議に着手する方針であるという事実はございません」と火消しに回っていたことをご存じだろうか。
今回公表された「『未来の東京』戦略」(案)が巧妙なのは、羽田空港の機能強化として、「第5滑走路(E滑走路)」という言葉を使わないだけでなく、「ビジネスジェットの発着枠拡大など」と表現していることだ。ビジネスジェットを全面に押し出して、第5滑走路の増設計画を「など」に入れ込んで目立たないようにしているということはないのか。
【参考】第5滑走路(E滑走路)増設計画
ちなみに、第5滑走路(E滑走路)増設計画は、工事費6,200~9,700億円程度、工事期間10~15年程度(地域との合意、関係者調整、環境アセスメントに必要な期間を除く)とされている(「首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間取りまとめ 参考資料」P39)。
第5滑走路(E滑走路)が運用されると、明治神宮外苑を南下して、青山一丁目、国立新美術館、六本木ヒルズ毛利庭園、麻布十番、三田の慶応、品川埠頭の上空を通過することが推測される(次図、紫色の直線)。
「羽田新ルート|次は第5滑走路の増設!? 」より
あわせて読みたい(第5滑走路増設関連の記事)