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羽田新ルート|国交省測定データ(広尾中)を元にルート直下(幡代小・松濤中)の飛行騒音を推定

渋谷区在住の方から、A滑走路到着ルート直下にある幡代小学校や松濤中学校の飛行騒音も調べてほしい旨のツイートが流れてきた。

国交省の騒音測定局は渋谷区内では広尾中学校(羽田新ルート直下ではない)にしかないので、幡代小学校や松濤中学校の騒音も測定してほしいという行政へのリクエストだ。

じつは、国交省が測定している広尾中学校の騒音データを元に幡代小学校や松濤中学校の騒音値を計算によって推定することはできる。ちょっと面倒だがトライしてみた。


もくじ

幡代小・松濤中の飛行騒音(計算結果)

各地点の位置関係は次の通りだ(次図)。

渋谷区内で国交省が設置している騒音測定局(広尾中学校)は、A滑走路到着ルートとC滑走路到着ルートに挟まれている。A滑走路到着ルートからは水平距離で800m離れている。さらに、松濤中学校は羽田新ルートに沿って1.5km、幡代小学校は3.6kmそれぞれ離れている。

各地点の位置関係


上図の位置関係を元に、航空機が測定地点(広尾中学校)から800m離れた位置の上空850mを飛行したときに最大騒音レベル70dBだった場合の松濤中学校・幡代小学校の最大騒音レベルを計算するとそれぞれ71.5dB、70.0dBとなった(次表。計算方法は後述)。

計算結果から概略次のことが言える。

  • ルート直下の松濤中学校の騒音レベルは、国交省測定データ(広尾中学校)より若干大きくなる。前者はルート直下であり、飛行高度が90m高くなるが、距離減衰は小さいためである(降下角3.45度で計算)。
  • ルート直下の幡代小学校の騒音レベルは、国交省測定データ(広尾中学校)とあまり変わらない。前者はルート直下ではあるが、飛行高度が217m高いぶん距離減衰で相殺されるからである(降下角3.45度で計算)。

国交省測定データ(広尾中)を元にルート直下(幡代小・松濤中)の飛行騒音を推定

騒音の計算方法

※計算方法に興味がない方は、読み飛ばしてください。

測定地点(@広尾中)「PN1地点」の騒音レベルをN1(dB)を元に、水平方向にd(m)離れた新ルート直下の「PN0地点」の騒音レベルN0(dB)を計算する(次図)。

計算モデル


新ルート直下の「PN0地点」は測定地点(@広尾中)「PN1地点」よりも騒音源である旅客機からの直線距離が短いため、距離減衰が小さいぶん騒音レベルが大きくなる。

「PN0地点」の騒音レベル(N0)を求める概算式は次の通り。

  • N0=N1+距離減衰
      =N1+ 20×LOG10(D/H)

新ルート直下にある松濤中学校の騒音レベル(N01)は、測定地点(@広尾中)の騒音値70dBに対して、距離減衰分2.4dBを加えたうえで、飛行高度がPN0地点よりも降下角3.45度分高くなるので(90m=1500×tan(3.45°))、鉛直方向分の距離減衰0.9dBを引いた値71.5dBとなる。

同様にして、新ルート直下にある幡代小学校の騒音レベルは、70.0dBとなる。

自動計算サイトで誰でも計算できる

エクセルで毎回計算するのも大変だ。そこで、CASIOが運営しているサイト「高精度計算サイト」に筆者が作成したプログラムをアップしておいた。

測定地点(広尾中学校)の「飛行高度」と「騒音レベル」を入力し、「計算」ボタンを押すと、幡代小学校と松濤中学校の騒音レベルが表示される(次図)。

羽田新ルート|騒音計算 - 高精度計算サイト
羽田新ルート|騒音計算(1) - 高精度計算サイト

 

なお、測定地点(広尾中学校)の飛行高度と騒音レべルは、国交省が運営しているサイト「羽田空港飛行コースホームページ」の航跡動画から読み取ることができる(次図)。

羽田空港飛行コースホームページ

パラレル飛行の影響

以上の計算はA/C滑走路到着ルートを2機がパラレルに飛行する場合を考慮していない。

では、パラレルに飛行した場合の騒音レベルはどうなるのか?

A/C滑走路到着ルートの離隔距離は約2kmはあるので、A滑走路到着ルート直下にある幡代小学校と松濤中学校の騒音レベルはC滑走路到着ルートの影響はさほど大きくない、というのが結論。

 

具体的な計算を分かりやすく展開するのは難しいので、簡便な方法で説明しよう(次図)。

パラレル飛行の影響

仮に、A/C滑走路到着ルートそれぞれに航空機a/cが飛んでいたとして、直下の騒音レベルがいずれも70dBだとする。そのとき、c航空機によるA滑走路到着ルートへの騒音影響は距離減衰を考慮すると62.6dB。a航空機70dBとc航空機62.6dBを合成した騒音値がA滑走路到着ルート直下の騒音値70.7dBとなる。

  • 70.7dB=10×LOG10(10^(70/10)+10^(62.6/10))

※本計算には慎重を期しているが、データの精度について保証するものではない。これらの情報をあなたが利用することによって生ずるいかなる損害に対しても一切責任を負うものではない。

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2020年6月1日、このブログ開設から16周年を迎えました (^_^)/
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