不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


羽田新ルート|渋谷区議会「20年第4回定例会」質疑応答

渋谷区議会の「20年第4回定例会」本会議の代表・一般質問(11月25~27日)で、羽田新ルートに関して4名の議員から質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約5千文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

田中正也 議員(共産)

田中正也 議員(共産)

田中正也議員(共産、区議3期、中央大学法学部卒、58歳)

田中:羽田空港新飛行ルートはきっぱり国に撤回を求めるべき

羽田空港新飛行ルートについてです。

日本共産党区議団の暮らし・区政のアンケートでは、69%と圧倒的な区民が反対であり、「うるさい」「危険」の声と共に「私たち老人は飛行機の音は、戦争のことを思い出してノイローゼになりそうです」と中止を求めています。

 

住民からは飛行差し止めを求める訴訟も起こされており、品川区では新飛行ルートへの賛否を問う住民投票を求める直接請求に必要な有権者数の3倍ものを区民が応じています。


国交省は国際競争力強化のために、国際線の増便が必要と説明してきましたが、コロナ禍の下で羽田空港利用数は激減しているにも関わらず、新ルートに自衛隊機や国内線も飛ばしており、成田空港の便の受け入れまで検討されています。


区長は国際化と関係なく、区民の安全や暮らしを破壊して飛行している現状を容認するのですか。お尋ねします。

区民の声を無視し、命や暮らしを犠牲にする羽田空港新飛行ルートはきっぱり国に撤回を求めるべきです。所見を伺います。

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長(無所属、2期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、48歳)

区長:現段階で国に撤回を求める考えはありません

次に、羽田空港新飛行ルートについてのお尋ねです。

飛行している現状を容認するのかとのことですが、羽田空港の機能強化については国の事業でありますので、区として事業の是非についてお答えする立場にありません

羽田空港新飛行ルートについては、これまでも貴会派のご質問にお答えしているとおり、国の責任において、引き続き丁寧な説明と十分な情報提供を行うよう、また騒音対策、安全対策等に対して、さらなる取り組みの強化を図るよう、必要に応じて国に対して求めていきます。

こうしたことから、現段階で国に撤回を求める考えはありません

堀切稔仁 議員(れいわ渋谷)

堀切稔仁 議員(れいわ渋谷)
堀切稔仁議員(れいわ渋谷、区議3期、東京綜合写真専門学校卒、52歳)

堀切:南風ルート、一時的に中止を求めるべき

れいわ渋谷、堀切ねんじんから3点、長谷部区長に質問させていただきます。

はじめに、羽田空港都心低空飛行です。南風ルートについてです。

令和2年の9月29日、渋谷区議会、交通・公有地問題特別委員会で、国土交通省が説明にまいりました。新型コロナウイルスの拡大により、国内大手航空会2社と国際線は9割減便となっているが依然として、落下物も84個、騒音も本来のデシベル数で言えば7.6デシベルも上がっていると説明がありました。


現在も航空機が渋谷区上空を低空飛行しており、多くの区民の皆様が悲痛の声を上げられています。

区長は区長会や国土交通省などの関係機関を通じて都心低空飛行する羽田空港新ルートの南風ルート、このルートだけで結構ですので、一時的に中止を求めるべきだと思いますが、区長のご所見を伺います。

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長

区長:現時点では一時的でも中止を求める考えはありません

はじめに、羽田空港都心低空飛行、南風ルートについてのお尋ねです。

本区としては、これまで通り国の責任において、引き続き丁寧な説明と十分な情報提供を行うよう、また騒音対策や安全対策等に対して、さらなる取り組みの強化を図るよう、必要に応じて国に対して求めてまいりますので、現時点では一時的でも中止を求める考えはありません

堀切:南風ルートだけでも是非止めるよう

再質問、3点させていただきます。

羽田空港の都心低空飛行は今回の特別委員会でも委員のほとんどが、多分皆さん、このルートをいま、国に飛ばさせてる必要がないんじゃないかという意見がほほんどです。


やっぱり意味があって、請願も議決もされております。やっぱり区長としてそこを重きをもって重視して、やはり国に、一度これ一時停止を求めるべきだと思います。

もし、例えば区長会が通さなければならないってことであれば、区長会の議題として上げていただきたいと思いますし、国土交通省に直接言えるんであれば言っていただきたいと思います。


特にいま、南風ルート一杯減ってるように見えますけども、江戸川から上がってきた飛行機は、新宿上空を過ぎてちょうど中野と渋谷の間なんかも飛行機通っています。

その影響もあって、本町、幡ケ谷、笹塚の方なんかも含めて、やはり騒音に今でも、高度3000mぐらい飛んでますけども、やっぱり苦しんでます。

せめてこの南風ルートだけでも是非止めるよう区長から、私は申し上げるべきだと思いますけど、もう一度ご所見をお伺いいたします。

区長:答弁は残念ながら変わらないです

羽田について、まず、飛行ルートについてですけども、答弁は残念ながら変わらないです

区長会や国土交通省と会う機会あれば、会うことを含めて、機会を見て、しっかりと話をしていく、そのスタンスは変わりません。

堀切:区民の方々、本当に不幸なことだと思います

いま、お答えていただきましたけども、羽田と給付金に関しては、区長は依然動かないんだなというのは、本当に区民の方々、本当に不幸なことだと思います

でも、是非とも実行していただきたいなと思います。

治田 学議員(立憲民主党)

治田 学議員(立憲民主党)
治田学議員(立憲民主、区議3期、長妻昭元秘書、専修大卒、49歳)

治田:海上ルートに戻すよう強く求めるべき

次に、羽田空港の問題についてお伺いいたします。

今年3月29日から都心上空を低空で飛行する新飛行ルートの運用が開始され、多くの区民から所管窓口や宿直、代表コールセンターに来た電話、区長への手紙、お問い合わせメールに寄せられた苦情は、8月31日までで107件ということです。

それぞれのセクションに来た苦情を集約して頂いていますが、私が確認した11月24日の時点では、「8月31日以降の数については集計をしていない」ということです。もしそうであれば、なぜ集計を止めたのか。これについて区長の答弁を求めます。


また、区民の切実な声であるので、集計については続けていただき、公表もして頂きたいと考えますが、いかがでしょうか。区長の答弁を求めます。


こういった苦情があるなか、区議会からも第2回定例会で国に対し新飛行ルートの見直しを求める意見書が提出されました。

国においても、羽田空港の新ルートの見直し可能な技術的方策を議論する検討会を立ち上げました。

先の交通・公有地問題特別委員会での国土交通省職員による説明によりますと、現在のルートの運用のなかで見直しということで、新ルート自体の見直しではない、という趣旨の発言があり、未だに自治体からの声が反映されている状況にないことがわかりました。


そんななか先月、全日空は財政負担を削減するために、当面は、国際線を羽田に集中するという報道がなされています。コロナ禍で国際線が大幅に減便されているとはいえ、現状の国内線が飛行し、今後、国際線が戻って飛ぶようになって、それが羽田空港に集中するようになれば、区民の負担はさらに大きくなることも予想されます。


民間の航空会社の運営状況が厳しいことは理解しますが、騒音、落下物の危険性などの問題がある都心上空飛行ルートについては運用の撤回をして、以前のような海上ルートに戻すよう強く求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。区長の答弁を求めます。

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長

区長:現時点では見直しや撤回を求める考えはありません

最後に、羽田空港飛行ルートについて3点のお尋ねですが、一括してお答えします。

前定例会において、貴会派、小田浩美議員の代表質問でお答えしたとおり、区民の皆さんからものご意見・ご要望については、ひとつひとつ丁寧にお聞きをし、国にしっかりとお伝えすることが重要であると考えます。


また、これまでも国の責任において、引き続き丁寧な説明と十分な情報提供を行うよう、また、騒音対策や安全対策等に対して、さらなる取り組みの強化を図るよう、必要に応じて国に対して求めてきました。


現在、国においては、「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」を設置し、新経路の固定化回避に向けた技術的方策に関する議論を行っています。

区としてはまず、その検討結果を見極めてまいりたいと思いますので、現時点では見直しや撤回を求める考えはありません。


なお、区民の皆様からのご意見・ご要望については集計することが目的ではありません。また、いただいた意見、ご要望の中には議員のご発言にあるような苦情だけでなく、ご質問などのお問い合わせもあります。

従いまして、これらを苦情件数として、一律に集計し、それを公表する考えはありません。また、集計を止めた事実はありません。以上、私からの答弁とさせていただきます。

治田:ご要望の過程などについても公表していただきたい

一点だけ再質問致します。区長が羽田空港については、「いろんな所で要望している」ということを言っておりますが、これについて、今ご要望の過程などについても公表していただきたいと思いますが、それはいかがでしょうか。

区長:「要望の過程を公表」って意味が分かんないですけども

治田議員の再質問にお答えします。

「要望の過程を公表」って意味が分かんないですけども、要望の過程を公表するっていうことは、どういうことなんでしょうか。ちょっとお答えしかねます。すいません。

治田:国に対して要望したことはしっかりと公表してください

ちょっと話が分かりにくかったんで、もう1回説明します。

国に対して要望したことはしっかりと公表してください。以上です。お願いします。

議長:治田さん、要望ですね? いまのは。

議長
(下嶋倫朗 議長)

治田:要望、要望です

須田賢 議員(無所属)

須田賢 議員(無所属)
須田賢議員(無所属、区議3期、元IT業界、立教卒、45歳)

須田:地域防災計画に航空災害対策編を追加、今後のスケジュール?

最後に、羽田空港の経路変更にかかる問題について伺います。

昨年の第4回定例会の他会派質問のなかで、防災計画について、航空災害についての対策を追加する検討をするという答弁がありました。


また、本年の第1回定例会においても、私から予定を改めて区長に伺ったところ、「地域防災計画に航空災害対策編を追加することについては、3月中に原案を作成する予定で作業を進めている」との答弁をいただきました。


実際に、本年度に入って所管に確認したところ、まだ作成してないということでした。コロナ禍でも実際に航空機が渋谷区上空を飛んでいる以上、策定していないということは大変残念です。今後のスケジュールについて区長に伺います

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長

区長:令和3年に開催される防災会議において議題として提出

次に、羽田空港の経路変更にかかる問題についてのお尋ねです。

航空災害への対策は「渋谷区地域防災計画」に航空災害対策を含めた大規模事故編を追加する形で準備を進めており、12月に開催される防災会議に素案を報告し、議論していただきます。

その後、関係機関に意見照会を行い、令和3年に開催される防災会議において議題として提出し、防災会議の委員の皆様に審議していただく予定となっています。以上、私からの答弁とさせていただきます。

雑感

国に丸投げロジックを貫く長谷部区長の姿勢には1ミリもブレはない。

「国の責任において」と「撤回(中止)を求める考えはありません」は完璧にセットになっている。

  • 田中議員(共産)に対して:現段階で国に撤回を求める考えはありません
  • 堀切議員(れいわ渋谷)に対して:現時点では一時的でも中止を求める考えはありません
  • 治田議員(立民)に対して:現時点では見直しや撤回を求める考えはありません

あわせて読みたい

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.