航空機事情に詳しいT氏は11月9日、羽田新ルートに係る横田空域問題についてツイッターに連投。
一連のツイートを読んで、一般にあまり知られていない羽田新ルート問題に与える横田空域の影響への理解が進んだので、備忘録としてまとめておく。
キッカケはT氏のツイート
航空機事情に詳しいT氏は11月9日、羽田新ルートに係る横田空域問題についてツイッターに連投。
羽田や成田の騒音を、千葉県が一手に担っているのは何故か?国交省は理由を2つ説明してきた。一つは東京湾内だけで便数を処理出来ない。もう一つは横田空域があって都内は飛ばせない。(略)
(省略)
都内の羽田騒音問題は、以上の様に横田空域のバリアに守られていた特権が、長年かけて徐々にはがされつつある事も原因の一つ。横田空域の一部返還前は、離陸の北回り西行コースは無く、都内東部、北部の通過は無かった。もし横田空域が無くなれば、都内に与える影響は甚大になる。
2025年に上下空域の分割という大変更が控えており、首都圏空域の変更はまだ続く...。
T氏の趣旨とは少しズレるかもしれないが、一連のツイートを読んで、一般にあまり知られていない羽田新ルート問題に与える横田空域の影響への理解が進んだので、備忘録としてまとめておくことにした。
横田空域一部削減の影響(08年9月25日~)
08年9月25日に、横田空域の一部が返還されることに伴い、羽田からの西方面へ向かう出発機の飛行経路が改編された(横田空域の一部削減に伴う羽田空港の出発経路の設定について|国交省)。
これまで23,000ft(7,010m)以上でしか飛行できなかった空域が16,000ft(4,877m)以上に拡大(次図)。
(別添資料1を筆者切り抜き・追記)
これにより、北風時・南風時ともに、羽田空港を出発した航空機は左旋回して山手線北側を通過して西に向かうルートが開かれたのである(次図、ピンク着色)。
(別添資料1を筆者切り抜き・ピンク着色)
このような経緯から時々、皇居上空を飛行する便が観測されていたのである(次図)。
横田空域一部通過の影響(20年3月29日~)
20年5月28日に3区(品川・目黒・港)の公明党の都議・区議からの緊急要望書を受けて尻に火が付いた赤羽国交大臣が立ち上げた、有識者・専門家から構成される「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」。
6月30日に開催された第1回会議で配布された資料3(最近の航空管制・航空機器の技術について)7頁に、「首都圏空域再編(東京進入管制区の拡大)」として、羽田新ルートが横田空域の一部を通過できようになった拡大エリアが記されている(次図、ピンク色部分)。
「議事概要」をひも解くと、資料3では、管制空域の再編については僅かしか触れられていない。
管制空域の再編によるルート設定の柔軟性は今後の検討の大きなポイント。曲線の進入経路ができると、かなり柔軟なルートを設定できる。
筆者はこの文章を初めて読んだとき、「曲線の進入経路」という文言に着目し、「非直線進入方式」を採用した見直しルートの可能性をブログに書いた(羽田新ルート|見直しルート(推定)が通過する地域名)。
でも今回、K氏のツイートを読んで、別の可能性も知ることとなった。
現在では悪天候時にこの様なルートを指示する事も出来る。横田空域の高度制限があるので、羽田のA,C滑走路に西側から直接降りるのは難しい。しかしB,D滑走路や成田への着陸に、都心通過するコースを選択する事は不可能では無くなった。
管制空域の再編により、D滑走路に向かう着陸ルートとして、世田谷上空を通過する事例が7月26日に観測されているのである(次図)。
7月26日世田谷区の上空2164mを通過するANA272便(福岡発⇒羽田22:15D滑走路着陸)ボーイング787型機
↓ 三軒茶屋駅周辺の拡大図
羽田新ルート運用のために横田空域の一部の利用が可能になったことで、世田谷区上空の飛行も可能になったということはあまり知られていないのではないだろうか。
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