前都知事・舛添 要一氏の新著『東京終了 - 現職都知事に消された政策ぜんぶ書く』ワニブックス（(2020/11/9）を読了。
「パフォーマンスのみで実質を伴わない空虚な小池都政」の解説本。ところどころ恨み節を感じさせる文章はさておき、舛添氏は結構いい仕事をしていた知事だったと認識させられる。
※朱書きは、私のコメント。
小池都知事、都市計画や街づくりには興味も関心もなく
小池都知事が都市計画に全く興味を持っていないおかげで、「新宿グランドターミナル構想」が豊洲の二の舞を避けられているという皮肉。
次は新宿だ
（前略）次にはどの地区を開発すべきなのでしょうか。答えは新宿です。小池都知事は、都市計画や街づくりといったテーマには全く興味も関心もなく、政治的指導力を発揮することもありません。事務方が、細々と作業を続けているというのが、実情のようです。
（中略）
東京都では、小池都政の下でも、事務方が新宿区と協力して、事務方の都市整備局が作業を進め、「新宿グランドターミナル構想」を、2018年3月には「新宿の拠点再整備方針～新宿グランドターミナルの一体的な再編」という案にまとめています。
（中略）
このように、私の辞任後も新宿再開発が所期の計画通りに進んでいるのはうれしいことです。皮肉を言えば、小池都知事が都市計画に全く興味を持っていないおかげで、彼女からの変な横やりが入らなくて済んだのです。豊洲の二の舞にならなくてホッとしています。（以下略）（P89-92／第2章 東京は100年輝くはずだった）
※小池都知事が都市計画や街づくりに関心を示さないから（？）、イメージ図がショボい。
東京都・新宿区「新宿の拠点再整備方針 18年3月」P15より
新たな政策がない都の空き家対策
都の空き家対策については、舛添氏が方向づけをした「空き家利活用等区市町村支援事業」などを事務方が継続しているのみだという。
新たな政策がない都の空き家対策
（前略）都内の住宅地を散歩すると、多くの空き家が目につきます。それにもかかわらず、至る所で、マンション、戸建てを問わず、住宅建設が進められています。誰が買うのだろうかと思って見ていますが、条件のよくない物件は思うように売れてないようです。空き家問題は、これからの都市経営にとって重い課題となっていくでしょう。
しかし、小池都知事は、都市計画そのものに関心がなく、この空き家問題についても、新しい政策は打ち出していません。事務方が、「空き家利活用等区市町村支援事業」など、私が方向付けをした政策を継続しているのみです。（P134／第3章 東京は世界をリードできなくなる）
※空き家が増加する要因は供給過剰と新築志向。地味な空き家問題は、事件・事故化しないと、小池都知事が張り切って取り上げることはないだろう。
冊子『東京くらし防災』、小池都知事のパフォーマンスの一つ
『東京くらし防災』という冊子は、小池都知事の意昧のない人気取りパフォーマンスの一つだという。
東京―千葉間の避難ルートが確保できていない
（前略）国民の命がかかる防災対策の実行にポピュリズムは禁物です。人命が失われてから悔やんでも、何の意味もありません。私が『東京防災』と言う冊子をつくり、東京の全世帯に無料配布したのは、そのためです。これは今でも参考にされ、高く評価されています。
小池都知事は、その評価を超えたいと思ったのか、この女性版と称して『東京くらし防災』という冊子を、2018年2月につくっています。初版100万部で、公的施設や店舗など9000カ所に置いてあるそうですが、この本など見たことのない都民がほとんどであり、全く利用されていないと言っても過言ではありません。税金の無駄使いの典型です。これもまた、小池都知事の意昧のない人気取りパフォーマンスの一つです。（以下略）（P148／第4章 危機管理ができていない首都）
※若いころスイスでも学んでいた舛添氏は、スイス政府によって全世帯に配布されている戦争や災害に備えるためのマニュアル『民間防衛』を参考に『東京防災』を作ることを考えたという。
東京ブランドを海外に発信するプロジェクトを立ち上げたり、北京やソウルとの都市外交を展開したりする一方で、都の官僚機構改革を断行するなど、結構いい仕事をしていたのだが、連日の公私混同報道によって辞職に追い込まれたのは惜しまれる。
本書の構成
全6章、268頁。
第1章 私が辞めてからの都政
第2章 東京は100年輝くはずだった
第3章 東京は世界をリードできなくなる
第4章 危機管理ができていない首都
第5章 文化・芸術が遅れている
第6章 東京が衰退すれば日本が沈没する
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