練馬区にお住いのKさんから、11月6日と8日の午前中の飛行高度を比べると後者のほうが高度が高い旨のリツイートを頂戴した。
日にちの違いではなく、航空機の大きさ(大・中・小型機)の違いに着目すると興味深い事象が見えてくる。
※投稿11月13日(追記11月16日)
キッカケはKさんのリツイート
北風時に羽田空港を出発して荒川に沿って北上するルートの最大騒音レベルが9月に入って上昇傾向を見せている(次図)という記事をツイートした。
すると、練馬区にお住いのKさんから、11月6日と8日の午前中の飛行高度を比べると後者のほうが高度が高い旨のリツイートを頂戴した。
そのエビデンスとして、わざわざFlightradar24のスクリーンショットまでご紹介いただいた(次図)。
11月6日と8日、飛行高度に大きな違いはなかったのだが
Flightradar24のスクリーンショットには、荒川河口付近を通過する航空機の高度と時刻が表示されていた。そこで、11月6日と8日、それぞれ午前中に飛行した69機と65機の飛行高度の違いを可視化してみた(次図)。
たしかに11月8日(赤色)のほうが、飛行高度が高い傾向に描かれている。
念のため、国交省運営しているサイト「羽田空港飛行コース」に公開されている「航跡動画」をもとに、荒川河口付近の特定の位置(次図、橙色線の交点)を通過する航空機の時刻と高度をできるだけ正確に拾ってみた。
11月6日の午前中に飛行した65機(69機)と11月8日の午前中に飛行した62機(65機)の飛行高度の違いを可視化したのが次図。
※( )内の機数はKさんから提供いただいたデータ。国交省データのほうが少ない。
国交省データを元に描いた図では11月6日と8日との飛行高度の違いは、先ほどの図ほど顕著には表れていない。
なぜ、上図と下図とで、このような違いが出てくるのか。荒川河口付近を通過する航空機は上昇中なので、少しでも計測位置がズレると飛行高度も大きくズレることと関係しているのではないか。また、そのことに加えて、Flightradar24(航空機から発信されるADS-Bの電波)と国交省データ(航空管制用レーダーの1分に1回のデータをコンピュータ処理して作成されている)で飛行位置に違いでもあるのか。
ちなみに、気象庁の過去データをひも解くと、11月6日と11月8日の午前中の風速、日照ともに特に大きな違いは見られない。
また、日本気象協会 の過去データでも、11月6日と11月8日はどちらも雨雲もなく、似たような気象状況であったことが確認できる(次図は11月8日)。
大型機は荒川河口付近を通過する高度が低い!?
上述のとおり、せっせとデータを可視化した割には、イマイチな結果(11月6日と8日とでは、飛行高度に顕著な違いは見られない)となってしまった。
では、全くムダな作業であったかといえば、決してそうではなかった。国交省のデータを元に、日にちの違いではなく、航空機の大きさ(大・中・小型機)の違いに着目すると興味深い事象が見えてくる。
荒川河口付近では、大型機(12機)は、中型機(44機)や小型機(71機)よりも相対的に低い高度で通過していたのである(次図)。
大型機(12機)の荒川河口付近での高度は1,280~1,490m。
国交省の説明資料に記載されている荒川河口付近の飛行高度(約900~1,800m)の範囲(次図)に収まっているので、高度的には問題ない。
でも、大型機は、中・小型機よりも低い高度を飛んでいる傾向が見られるうえに、エンジンを吹かして上昇中なので、とってもウルサイという状況が発生しているということは認識しておいたほうがよさそうだ。
このような事象が11月6日と8日だけのことなのかどうか、さらに分析してみる必要はあるのだが……。
FAQ冊子v6.2_P121
【追記】大型機の飛行高度の変化を可視化
※11月16日追記
Flightradar24のデータをもとに、11月6日と8日の午前中に飛行した全大型機(両日とも6機)の飛行高度の変化を可視化してみた(次図)。
大型機の荒川河口付近(ウェイポイント:ARAKA)での高度は、国交省の説明資料に記載されている荒川河口付近の想定高度(約900~1,800m)の範囲内に収まっていることが確認できる。
さらに言えば、荒川河口付近以降も上昇し続けているので、エンジンを吹かし続けている状況であることも確認できる。
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