不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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丸山穂高 衆議院議員の質問主意書(タワマンの維持管理等)

第201回国会(20年1月20日~6月17日)の衆議院の質問主意書276件(6月18日現在)のなかに、230番目として タワマン係る次の質問主意書が埋もれている。

丸山穂高 衆議院議員(N国党)が6月4日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。

読みやすいように、一問一答形式に再構成しておいた。
※以下長文。時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。

※下記朱書きは、関連情報。


質疑応答のポイント

丸山穂高 衆議院議員
丸山穂高 衆議院議員(3期、維新除名⇒N国党、元経産官僚、東大経済卒、36歳)

民間の調査(株式会社東京カンテイ)によれば、いわゆるタワーマンション(本主意書では、20階建て以上の分譲マンションを指すものとする。)については、特に平成15年から平成21年にかけて毎年70棟以上の大量の新規供給がなされ、令和2年の累積供給量は予定値で1,371棟、35万9千戸にも上るとされる。


一般に大規模修繕は12年程度の周期で行うものとされていることから、現在、大量供給期のタワーマンションが一斉に最初の大規模修繕の時期を迎えているものと考えられる。

適時適切な大規模修繕の実施は、マンションの良好な居住環境を維持していく上で不可欠なものであるが、タワーマンションにおいては、その費用の大きさや区分所有者間の合意形成の難しさ等の課題が指摘されており、結果として適切な維持管理がなされず、将来において、周辺地域も含めた居住環境の悪化などの深刻な問題を引き起こす事案が多数発生する懸念がある。

以上を踏まえ、以下質問する。

問1:タワーマンションの大規模修繕に要する費用の実態

問1-1:タワマンの修繕工事費の実態?

タワーマンションについては、外壁等の修繕のための特殊な足場が必要であること、共用部分の占める割合が高いこと等により、修繕工事費が大きい傾向にあると指摘されているが、政府として、タワーマンションの修繕工事費の実態について把握しているのか


把握しているならば、その金額についてタワーマンション以外のマンションとの比較の上で回答されたい。 

答1-1:「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると・・・

国土交通省が平成29年に実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、マンションの大規模修繕工事における一戸当たりの工事金額(消費税相当額等を除く直接工事費に限る。)は、20階建て以上のマンションにおいては約103万円、3階建て以下のマンションにおいては約114万円、4階建て以上5階建て以下のマンションにおいては約87万円、6階建て以上10階建て以下のマンションにおいては約99万円、11階建て以上19階建て以下のマンションにおいては約94万円となっている。

※「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」を概説したブログ記事:

問1-2:「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」適時に改訂する必要

タワーマンションの建築が活発に行われるようになったのは、比較的最近のことであるため、エレベーター等の機械設備や配管設備等の更新を行った事例は限られており、それらに要する費用の実態については必ずしも十分な知見が蓄積されていないことが考えられる。

また、一口にタワーマンションといっても、最高階数の違い等により、修繕工事費には大きなばらつきがある可能性もある。


これらに鑑み、政府はタワーマンションの修繕工事費の実態把握を継続的に行うととともに、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(国土交通省、平成23年4月)を適時に改訂する必要があると考えられるが、政府の見解を問う。

答1-2:必要に応じてその見直しを検討

マンションにおける修繕工事費については、政府としては、今後も継続的に調査を行い、実態把握に努めてまいりたい。


また、御指摘の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」については、政府としては、引き続き、当該ガイドラインの周知徹底に努めるとともに、必要に応じてその見直しを検討してまいりたい。

※「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に基づいて、修繕積立金の額(目安)を簡単に計算できるアプリ『修繕積立金の妥当性チェック・ツール』を作ってみた。

問2:修繕積立金の積立ての現状

問2-1:積立額が不足しているマンション、政府の取組方針?

平成30年度において、計画上の修繕積立金の積立額に対して、積立額が不足しているマンションの割合は34.8%であり、さらに不足の割合が20%超のマンションが15.5%にも上るとされる。
この状況の是正に向けた政府の取組方針を問う。

答2-1:「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」周知徹底

政府としては、マンションの修繕積立金が不足することがないよう、長期的かつ計画的に積み立てられていくことが重要であると考えているところ、国土交通省において、平成20年6月に「長期修繕計画作成ガイドライン」(以下「長期修繕計画作成ガイドライン」という。)を、平成23年4月に一の2(答1-2)についてで述べた「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を、それぞれ策定し、公表しており、引き続き、これらの周知徹底に努めてまいりたい

※「長期修繕計画作成ガイドライン」を概説したブログ記事:

問2-2:新規分譲時の修繕積立金の積立方法の是正、取組方針?

「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は、修繕積立金の積立方法について、増額時に合意形成ができない懸念がある段階増額積立方式ではなく、安定的な積み立てができる均等積立方式が望ましいとしている

しかしながら、実際には、築年数が新しいマンションほど段階増額積立方式を採用している割合が多く、平成22年以降に完成したマンションにおけるその割合は67.8%にも上る(平成30年度)。


この理由として、新規分譲時の積立方法を決定する分譲事業者が、購入予定者にマンションの維持費を極力低く見せるために、段階増額積立方式を採用しているとの指摘がある。

また、購入予定者が均等積立方式を望んでいたとしても、多くの分譲事業者が段階増額積立方式を採用しているために、選択の余地が小さくなっていることも考えられる。


この状況を是正するには、購入予定者への啓発のみでは不十分であり、分譲事業者に対して安定的な積み立てが可能となる方式を積極的に採用するよう要請すべきではないか。

新規分譲時の修繕積立金の積立方法の是正に対するこれまでの取組及び今後の取組方針を問う。 

答2-2:長期修繕計画作成ガイドラインの周知徹底

長期修繕計画作成ガイドラインでは、「長期修繕計画の作成者(分譲事業者及び管理組合)は、本ガイドラインを参考として、長期修繕計画を作成し、これに基づいて修繕積立金の額の設定を行います」、「修繕積立金の積立ては、長期修繕計画の作成時点において、計画期間に積み立てる修繕積立金の額を均等にする積立方式・・・を基本とします」、「分譲事業者は購入予定者に対して・・・修繕積立金の積立方法について十分に説明することが必要です」等とされているところ、政府としては、引き続き、分譲事業者を含め、長期修繕計画作成ガイドラインの周知徹底に努めてまいりたい

問3:長期修繕計画に基づく修繕積立金の設定、早期に100%を達成すべき

計画期間25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は、平成30年度において53.6%である。


この数値について、「住生活基本計画(全国計画)」(平成28年3月閣議決定)は、平成37年度(令和7年度)に70%とする目標(成果指標)を掲げている。しかし、長期修繕計画に基づき修繕積立金を積み立てることは、適時適切な修繕実施の確保のための最低限の前提であり、令和7年度に70%という目標は十分なものとは言いがたい。


令和7年度に70%という目標としたのはなぜか、回答されたい。
また、この数値については可能な限り早期に100%を達成すべきものであり、強力に施策を推進する必要があると考えるが、政府の見解を問う。

答3:長期修繕計画作成ガイドライン等の周知徹底

お尋ねの成果指標については、過去の実績等を勘案して設定されたものであるが、政府としては、それぞれのマンションの長期修繕計画に基づき、当該マンションの修繕積立金が計画的に積み立てられていくよう、引き続き、長期修繕計画作成ガイドライン等の周知徹底に努めてまいりたい

問4:タワマン、合意形成を促進するためのガイドライン等が必要

適時適切な修繕の実施には、区分所有者間の円滑な合意形成が不可欠であるが、意識、価値観、経済力等が異なる所有者間で合意形成を図ることは容易ではない。


とりわけタワーマンションにおいては、高層階と低層階の住戸に大きな価格差があることや、投資目的の区分所有者が少なくないといった特性により、一般のマンション以上に合意形成が困難であると指摘されている。


これらに鑑み、タワーマンションの特性を踏まえた合意形成を促進するためのガイドライン等が必要であると考えるが、政府の見解を問う。

答4:「外部専門家の活用ガイドライン」周知徹底

政府としては、国土交通省において、御指摘の「タワーマンション」など様々なマンションを念頭に置きながら、管理組合によるマンションの管理規約の制定又は変更の際の参考となるマンション標準管理規約や、管理組合の管理者等としてマンション管理士等の外部専門家を活用する際の留意事項等を示す「外部専門家の活用ガイドライン」(PDF:1.3MB)の策定等を通じ、マンションの管理に係る合意形成の円滑化を図ってきたところであり、引き続き、これらの周知徹底に努めてまいりたい

問5:新規タワマン、建築の抑制に舵を切るべき

タワーマンションは、平成9年の「都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律」(平成9年法律第79号)による規制緩和等によって、職住近接の都市構造を実現する等の観点から、政策的にその建築が後押しされてきたものである。

他方で、タワーマンションは、周辺の地域社会に大きな負荷を与えることや、将来における維持管理の難しさといった様々な課題を抱えている。

また、我が国は人口減少下にあり、空き家の増加が社会問題となっていることなどから、新築中心の住宅市場の在り方を見直す必要性がつとに指摘されているところである。


これらに鑑み、政府は、既存のタワーマンションについては、適切な維持管理がなされるよう必要な施策を講じるとともに、その一方で、これまでの規制緩和路線を見直し、新規のタワーマンションについては、建築の抑制に舵を切るべき時期に来ているのではないかと考えるが、政府の見解を問う。 

答5:それぞれの地方公共団体において、適切に判断されるべきもの

御指摘の「既存のタワーマンション」の「維持管理」については、政府としては、引き続き、御指摘の「タワーマンション」を含めたマンションの管理の適正化を推進するため、マンションの管理に係る各種のガイドラインの周知徹底及びこれらの必要に応じた見直しに努めるなど、必要な施策を講じてまいりたい


また、御指摘の「新規のタワーマンション」の「建築」については、御指摘の「規制緩和路線」の意味するところが必ずしも明らかではないが、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成9年法律第79号)による改正内容等を踏まえ、それぞれの地方公共団体において、適切に判断されるべきものと考えている。

雑感

北方領土滞在中の言動で物議を醸し、日本維新の会を除名され、現在N国党の副党首である丸山穂高衆議院議員。マスメディアのこれまでの扱いはさておき、この質問主意書も含め同議員がこれまで提出したの質問主意書(文末の「あわせて読みたい」参照)を読む限り、地味な分野ではあるが重要な問題としてよく勉強している印象を受ける。

この重要な質問主意書に対して、政府答弁を一言でいえば、すでにいくつかのガイドラインを策定しているので問題ないというスタンス。「周知徹底に努めてまいりたい(努める)」という文言が5回も出てくる。まるで、これらのガイドラインを実践していないほうが悪いといわんばかりだ。

あわせて読みたい(丸山議員の質問主意書)

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2020年6月1日、このブログ開設から16周年を迎えました (^_^)/
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