国交省が5月11日に公表した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」の資料には、大規模修繕工事を実施する前に管理組合が検討すべきポイントが示されている。
- 工事内訳に過剰な工事項目・仕様の設定等がないか。
- 戸あたり、床面積あたりの工事金額が割高となっていないか。
- 設計コンサルタントの業務量が著しく低く抑えられていないか。特に業務量のウェートの多くを占める工事監理の業務量が低すぎないか。
全26頁の資料のなかから、上記3項目ごとに、見積もりの適正性を把握するためのチェックリストとして抜粋・整理しておいた。
マンションの大規模修繕工事は、実施時期・場所・条件などによって金額が大きく変わり得る。でも、同チェックリストは、素人がボラれないためにある程度の目安にはなるのではないだろうか。
悪質な設計コンサルタント(格安のコンサルタント料金で受託し、割高な工事費にバックマージンを仕込むなど)に騙されないために、ご活用いただければ幸甚。
1.工事内訳に過剰な工事項目・仕様の設定等がないか
大規模修繕工事回数と築年数の関係
大規模修繕工事は概ね1回目は築13~16年前後、2回目は築26~33年前後、3回目以上は築37~45年前後の時期で実施されている。
「1戸当たりいくらか?国交省「マンション大規模修繕工事 実態調査」」より
大規模修繕工事の全体工事内訳
- 工事内訳は、外壁関係が24.0%、防水関係が22.0%、仮設工事が19.2%となっている。
- 2回目は給水設備、3回目以上は建具・金物等が多くなる特徴が見られる。
(P5)
2.戸あたり、床面積あたりの工事金額が割高となっていないか
戸あたりの工事金額
大規模修繕工事の戸あたり75万円~100万円は30.6%、戸あたり100万円~125万円は24.7%、戸あたり50万円~75万円は13.8%となっている。
床面積あたりの工事金額
大規模修繕工事のm2あたり10,000円~15,000円は41.1%、m2あたり5,000円~10,000円は31.8%、m2あたり15,000円~20,000円は10.0%となっている。
3.設計コンサルタントの業務量が著しく低く抑えられていないか
設計コンサルタントの業務内訳
業務内訳は、調査・診断が15.2%、設計が31.8%、施工会社選定への協力が8.1%、工事監理が40.3%、長期修繕計画の見直しが3.6%となっている。また、工事回数による大きな違いはない。
(P8)
設計コンサルタントの業務量
業務量は、100人・時間~200人・時間が31.1%、100人・時間までが30.3%、200人・時間~300人・時間が8.7%となっている。
(P9)
設計コンサルタント業務実施期間
業務実施期間(全体)は、1年~1年半が29.5%、1年半~2年が18.8%、6ヶ月~1年が16.2%となっている。
大規模修繕工事金額と設計コンサルタント業務量の関係
大規模修繕工事の設計コンサルタント業務量はマンションの規模、大規模修繕工事金額が増加するにつれて、増加する傾向が見られるものの、個別性が高くバラツキがある。
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