不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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これまでの常識が通用しない時代『不動産2.0』

不動産(投資)コンサルタント長谷川高氏の新著『不動産2.0』イースト・プレス(19/12/15)を読了。

長い間信じられてきた不動産に関する常識が通用しない「不動産2.0」の時代が訪れようとしているという。

※朱書きは、筆者コメント。


もくじ

「マンション契約率」は下駄を履かせた数字

著者の経験から、「マンション契約率」は、ある程度、または相当に下駄を履かせた数字だと考えるのが妥当だという裏話。

「マンション契約率」の正体

(前略)「課長、うちのマンションの初月の契約率は、何パーセントと回答しましょうか?」
 「あまり売れていないと見かけが悪いから、70パーセントくらいにしておくか」

 じつは「マンション契約率」というのは、こんなふうに決められていたのです。売買契約書の写しなどの事実を根拠にしているのではなく、物件の担当者が鉛筆を舐めながらアンケートに答えているものなのです。
(中略)
 よって、この「マンション契約率」は、ある程度、または相当に下駄を履かせた数字だと考えるのが妥当でしょう。
 アンケートベースですから、数値の真偽を確かめる方法はありません。ただ、たとえば「契約率が70パーセントを切った」という数値が公表された場合、「実態はさらに悪い」と考えるべきなのです。

(P30-31/第1章 「不動産の常識」が変わろうとしている)

※16年度以降、首都圏新築マンションの平均契約率は70%を下回り、さらに悪化していることはあまり知られていない(次図)。

発売戸数と契約率の推移(首都圏新築マンション)
首都圏新築マンション市場|契約率の落ち込みは続くのか」より

日本版・サブプライムローン問題

年収500万円前後の層がワンランクもツーランクも高額の物件を購入するのが当たり前になっているという指摘。

超低金利時代の落とし穴

(前略)あるデベロッパーの役員は、こう危惧していました。
 「近年はかつてはマンションを買うことができなかった層にも、販売するようになっている。これが将来、日本版・サブプライムローン問題を引き起こす可能性がある」と。

 私もまったく同感です。
 一方、年収500万円前後の層の方々も、20年ほど前に比べ、ワンランクもツーランクも高額の物件を購入するのが当たり前になっているようです。
 仮に今後、金利が上がっていったときに、返済を続けていくことが可能なのでしょうか?

 読者のみなさんの中に、住宅ローンを変動金利で組んでいる方がいらっしゃったら、将来の破綻を避けるために、固定金利に切り替えることを強くおすすめします
 経済は生きものです。金利の上昇も含め、これから何が起こるかは誰にも予想できないのです。

(P99/第4章 金融サイドから見た不動産の危機)

※従来、返済負担率は年収の20%以内が住宅ローンの目安とされていたのだが、最近はどうも違うようだ。”お金が借りられるから新築マンションを買う”という人の割合が増えているのである。

首都圏新築マンション購入価格の内訳推移
新築マンション購入は世帯年収1200万円以上ないと厳しい!?」より

AIが不動産業界カタチを変える!?

宿泊予約サイトが、旅行代理店の役割と仕事を奪ったように、不動産業界でも同じようなことが起こりうるかもしれないという予想。

AIは人間の仕事を奪うか?

(前略)もしAIによって、不動産価格や賃料の「適正価格」が正確に導き出され、売買に必要な契約書、重要事項説明書もAIが作成するようになったら、不動産会社が今のままの形態やサービスで必要とされ続けるとは思えません。

 実際に、買い手と売り手、あるいは貸し手と借り手のマッチングは、他業種で広く行なわれています。ITを得意とする不動産業以外の企業が、技術的にはすぐにでも代行できるでしょう。不動産版Airbnbや「Booking.com」のような企業が出てきて、「売主」や「貸主」と「買主」や「借主」をAIによって適正価格で結びつけ、サイト上で取引の多くが完結してしまうような時代が来るかもしれません。

 宿泊予約サイトが、旅行代理店の役割と仕事を奪ったように、不動産業界でも同じようなことが起こりうるかもしれません

 中には、「不動産業界は扱っているものが高額で、しかも権利関係や法律が複雑だから、AIが仕事を奪うなんてことは起こらない」と反論する人もいるでしょう。しかし、そんな悠長なことが言えなくなる時代が、すぐそこまで来ているように感じます。

(P162-163/第7章 不動産の新しい潮流)

※米国ではデジタル仲介業者による創造的破壊(ディスラプション)が進行している。米国のいまは、10年後の日本……。

不動産テック 巨大産業の破壊者たち』(日経BP)

本書の構成

全8章、239頁。

  • 第1章 「不動産の常識」が変わろうとしている
  • 第2章 それでも不動産は会社を救う
  • 第3章 不動産の失敗は「会社の致命傷」
  • 第4章 金融サイドから見た不動産の危機
  • 第5章 不動産は本当の資産と言えるのか
  • 第6章 歴史に学ぶ不動産
  • 第7章 不動産の新しい潮流
  • 第8章 未来をとらえる不動産企業の視点

不動産2.0

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2020年6月1日、このブログ開設から16周年を迎えました (^_^)/
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