落下物の正体は何なのか? 落下させた航空機はどこの航空会社の何便だったのか?
落下物の目撃情報(現代ビジネス記事)
フリージャーナリスト福場ひとみ氏による落下物の目撃情報が「現代ビジネス」のネット記事として掲載されている。
2月2日(日)17時1分、保育園児のご子息の習い事を終えた帰宅途上、豊島区の西端エリアで、機体と翼の付け根(西側)から、黒くて丸い物体がポンっと勢いよく飛び出し、落下していく様子を目撃したというのである。
危ない羽田新ルート、飛行機から突然「黒い物体」が落ちてきた
晴天の空を南に進む低空飛行の飛行機。自転車のスピードをゆるめつつ、注意深く見つめていると、突然、機体と翼の付け根(西側)から、黒くて丸い物体がポンっと勢いよく飛び出し、落下していった――。
それは2月2日日曜日、後で確認すると低空飛行の試験飛行の初日だった。この日の夕方17時1分、空は快晴で明るく、まだ日も沈んではいなかった。
(中略)
この日、私は保育園児の息子の習い事を終えた後、二人乗り自転車で帰宅中だった。家族連れで賑わう商店街を抜けたあと、もうすぐ自宅に到着というところに明らかに大きすぎる飛行機が頭上を次々と通り過ぎていった。(中略)
「ほらほら、また来たよ!うっわあ、大きいね!」と驚く息子。「落下物、結構多いらしいんだよ。気をつけよう、怖いよね~」と呟きながらまた見上げてみると、唖然とした。まさか、本当に……?「え、え、落ちてきてる!?黒くて丸いものが……」「本当だ!」子供も声をあげた。
慌てて自転車を止め、動画を撮ろうと自転車のカゴに置いていた携帯を取り出したが、黒い物体はあっという間に、隣の一軒家の屋根の向こうに消えて見えなくなった。
それまでの間、約15秒くらいだっただろうか。取り出した携帯に表示された時間は17時1分を示していた。一瞬「カラスがぶつかったのか?」ともよぎったが、そんなはずもない。そもそも低空飛行の機体は1.2km上を飛んでいる。カラス程度の大きさの物体が、地上からくっきりと見えるはずもないし、そんな生き物のような繊細なシルエットでもなかった。
(中略)
国交省からは「16時51分~17時15分の間、8便がこの界隈を通っていました。すべて連絡し不具合がなかったか確認しましたが、特に報告はありませんでした。8便は、ANAが4便、JALが2便、ソラシドエア1便(すべて羽田行き)と海上保安庁1機です。また何かあれば報告します」とのことだった。(以下略)
福場氏は携帯で落下部物の動画を撮ろうと試みるも、間に合わなかったようだ。
「黒くて丸いもの」の正体は氷塊?
1km以上離れた場所から「くっきりと見える」「黒くて丸いもの」とは一体何だったのだろうか?
国交省は「16時51分~17時15分の間、8便がこの界隈を通っていました。すべて連絡し不具合がなかったか確認しましたが、特に報告はありませんでした」と、部品落下の可能性がなかったことを示唆している。
国交省が部品の落下情報を隠蔽していないとすれば、「黒くて丸いもの」の正体として残された可能性としては氷塊ということになる。
当日17時1分の太陽の位置は方位角248.5度、高度1度だから(こよみの計算|国立天文台)、夕日を浴びた機影から落下する物体は逆光で黒く見えた氷塊ということなのであろうか。
ただ、氷塊にしてはいささか大きすぎるような気がしないでもない。
たとえば、15年1月15日に千葉県芝山町の民家の屋根瓦を直撃した氷塊は、地面に約20個、大きいもので10cm程度であったと報道されているからだ。
落下物防止等に係る総合対策推進会議「落下物対策の強化策(報告書)18年3月」P53
落下物の目撃情報を可視化
さて、「黒くて丸いもの」を落とした航空機はどこの航空会社の何便だったのか?
flightradar24のデータを元に調べてみよう。
福場氏は「それまでの間、約15秒くらいだっただろうか。取り出した携帯に表示された時間は17時1分を示していた」と記している。
ということは、黒くて丸いものが目撃された時刻は、17時00分45秒から17時01分44秒の間ということになる。
この時間帯に豊島区を南下していった航空機は日本航空JL910便(那覇⇒羽田)のB767-346ER(写真は同型機種)。
同便の飛行ルートを可視化したのが次図。
飛行高度1,100m前後、時速330km程度で、豊島区の上空を通過していたのである(次図)。
「黒くて丸いもの」の落下位置は、飛行高度と飛行速度に当時の風速に加味して、空気抵抗を含む水平投射問題として微分方程式を解いて推定できるのだが……。
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