米航空各社が羽田の増便に相次ぎ申請しているとか、「第3ターミナル」に改称するなど、2020年までに羽田新ルートの運用開始を前提としたニュースを聞くようになった。
なぜ、2月に入って、2020年までに羽田新ルートを運用開始することの既成事実化が加速しているのか……。
2020年までに羽田新ルート運用開始を前提としたニュース
米航空各社が羽田の増便に相次ぎ申請しているとか、「第3ターミナル」に改称するなど、2020年までに羽田新ルートの運用開始を前提としたニュースを聞くようになった。
増便枠の半数を日米路線に、方針決定(NHK 2月12日)
NHKは2月12日、国交省が増便枠の半数を日米路線とする方針に「決めた」ことを報じた。
羽田空港の国際線発着枠 増便の半数は日米結ぶ路線に
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて増やす予定の羽田空港の国際線の発着枠について、国土交通省は、ほぼ半数にあたる24便を日本とアメリカを結ぶ路線とする方針を決めました。(以下略)
NHKニュース 2月12日)
⇒詳しくは、「羽田新ルート|増便枠の半数を日米路線に決定!?」参照。
米航空各社、羽田の増便相次ぎ申請(日経 2月23日)
日経は2月23日、米航空各社は22日までに増便申請を米運輸局に提出したことを伝えている。
米航空各社、羽田の増便相次ぎ申請 新ルート開設で
羽田空港の国際線発着枠の増加に伴い、デルタ航空など米航空各社は22日までに増便申請を米運輸局に提出した。2020年の東京五輪前に運用が始まる見込み。米国には1日あたり12便の増加が割り当てられており、各航空会社への配分が今後の焦点となりそうだ。(以下略)
(日経新聞 2月23日)
羽田増便に伴い、「第3ターミナル」に改称(NHK 2月26日)
NHKは2月26日、羽田空港の国際線の増便に伴い、現在の「国際線ターミナル」は来年3月から「第3ターミナル」に名称が変更されることを報じた。
羽田 国際線ターミナルを「第3ターミナル」に改称へ
羽田空港の国際線の増便に伴い、国内線に使われている第2ターミナルでも国際線の運用が始まることから、現在の「国際線ターミナル」は来年3月から「第3ターミナル」に名称が変更されます。(中略)
東京オリンピック・パラリンピックが開かれる来年に向けて、政府は羽田空港の国際線の増便を計画していて、第2ターミナルにも税関や出入国管理などの機能が追加され、国際線の運用が始まります。
第2ターミナルでの国際線の運用が始まるのは来年3月で、これに合わせて現在の「国際線ターミナル」は「第3ターミナル」に名称を変更します。(以下略)(NHKニュース 2月26日)
なぜ、2月に入って、2020年までに羽田新ルートを運用開始することの既成事実化が加速しているのか……。
きっかけは安倍総理の施政方針演説!?
羽田新ルート問題を語るとき「地元の理解」はキーワードの一つだった。
たとえば、18年3月2日に開催された衆院「財務金融委員会」では、宮本議員(共産)からの「地元の理解はまだ得られていない」のではとの問い掛けに、簗国交省政務官は「多くの方々にご理解をいただくことが重要」と答えている。
⇒詳しくは、「羽田新ルート|衆院「財務金融委員会」質疑応答」参照。
飛行経路の見直すには「地元の理解」が重要であるとしていたのに、なぜ最近になって2020年までに羽田新ルートを運用開始することの既成事実化が加速しているのか?
その理由の一つに、安倍総理の施政方針演説の影響があるのではないか。
昨年の安倍総理の施政方針演説(18年1月22日)では、「地元の理解を得て」発着枠拡大を実現するとされていた。
羽田、成田空港の容量を、世界最高水準の100万回にまで拡大する。その大きな目標に向かって、飛行経路の見直しに向けた騒音対策を進め、地元の理解を得て、2020年までに8万回の発着枠拡大を実現します。
ところが、今年の安倍総理の施政方針演説(19年1月28日)では、「地元の理解を得て」という表現が消えているのである。
来年の4千万人目標に向かって、海外と地方をつなぐ空の玄関口、羽田、成田空港の発着枠を8万回増やします。
安倍総理の施政方針演説から「地元の理解を得て」という表現が消えたことで、モリカケや労働時間・賃金データ不適切処理で指摘されているような官僚の忖度メカニズムが働いているということはないのか。
石井国交大臣は「地元の御了解が得られた後」と強調
石井国交大臣は2月12日の記者会見で、羽田増枠分のうち、半分程度を日米路線に割り当てる方向で最終調整に入ったことに関連して、次のように答えている。
羽田空港の増枠に関しましては、できるだけ多くの方々から理解を得られるよう、引き続き丁寧な情報提供を行っております。(略)
一方で、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでの増便を目指す上で必要なスケジュールを勘案し、その準備行為の一環として米国との意見交換を行っており、先般、発着枠数が増枠した場合に、米国へ配分されるべき発着枠数につきましては、12枠とする共通認識を持つに至りました。
なお、これを受けまして、米国航空当局におきまして、米国時間の7日から、米国当局の判断において、米国航空会社への国内配分手続きに着手したとの報告を受けております。(略)
いずれにいたしましても、現在行っております意見交換は、準備行為の一環であり、正式な手続きは今後地元の御了解が得られた後に進め、決定してまいりたいと考えております。
石井大臣の発言からは、2020年までの増便の<準備の一環>として米国と意見交換しているのであり、米国航空会社への国内配分手続きに着手したのは<米国当局の判断>であって、日本政府が決定したものではないことを強調しているように読めないだろうか。
「正式な手続きは今後地元の御了解が得られた後に進め、決定してまいりたい」という石井国交大臣の釈明は、4月に統一地方選挙を迎える首都圏民に届くのだろうか……。